最新記事 2016年07月28日

テーマ: 社会

中学受験 社会の記述問題の攻略(5つの視点 その3)

みなさん、こんにちは。受験ドクターで算数と社会の講師をしておりますM. Y.です。

今日は「社会の効果的な学習方法」の第3弾として

「文章・図表・グラフに対し分析する力・思考する力 (記述する力)」についてお話しをします。

 

記述問題。文章を書く大きめな解答らんをみただけで、テンション下がったり、「あぁ。ムリ」とあきらめてしまう生徒が実に多いですね。

気持ちはわかります。私は算数と社会の講師をしておりますので、算数の授業もしています。その際に、「先生、この問題がわからないんです。教えてください。」といわれ、問題見て、やたら文章が長い文章題や、かなり複雑な図形問題、あるいはタイトルに「難問にチャレンジ」なんて書いてあると、一瞬「げ!難しそう。ひょえ~」となります。(もちろんしっかり解説します。念のため。)だから、記述問題をみて、「げ!難しそう。ひょえ~」となること自体は、いたしかたないんです。それがしごくまっとうな考えです。

 

記述問題をみて、みんな上記のような気持ちになる。そして、最初からあきらめて解かない生徒がいる。

お!ということは!!

そんな問題こそ、がんばって取り組めば、みんなが点数とらないところで、自分はとれる可能性がある。成績をあげる、合格するためには、他の人に差をつけなければいけない。ならば、この記述問題こそ、差をつけるにうってつけの問題ではないか。しかも、記述問題は、部分点というステキなものがある。多くの人が空欄解答で0点のところ、1点でも2点でもとれれば、差になる。その差も集まれば、大きな差になる。まさに「ちりも積もれば山となる」ですね。

 

というわけで、今回は、記述問題の取り組み方、考え方について、お話ししましょう。

 

記述問題の根本的な解法は
① グラフや図表の数値的な特徴をとらえ、それを文章にする
② 問題文をよく読み(写真や図があるものはそれをよく見て)、そこからあたりまえなことを考え、文章にする。③ 知っている知識を少し応用させて、文章にする。

 

たいてい、この3つの解法のいずれかを使って考えます。

 

では、実際の入試問題でみていきましょう。

2013年に実際に出題された女子学院の問題です。

問24 次の図は、日本の河川と、外国の大河川の河口からの距離と標高の関係を川ごとに表したものです。(1)(2)の問いに答えなさい。

中学受験 社会 6

(1) 外国の大河川と比べて、日本の河川にはどのような特徴がありますか。2つ答えなさい。

(2) (1)の特徴から、河川を利用する上で、日本の河川が利用しにくいのは、どのような点ですか。

 

という問題です。

 

(1)は先ほどの①の「グラフの特徴をとらえる」です。日本の川は世界の川に比べ、横軸の距離は短く、また、縦軸の標高(上流地点~海に出るまでの高さ)は世界の川に比べ、高いことがわかります。標高差があるということは川の流れが速いということです。例えば、ゆるやかなすべり台より急なすべり台の方がスピードがでますよね。川の流れも同じです。

 

ですから、答えは「世界の川に比べ、距離が短い」と「日本の川は流れが急である」とでも書いてあげれば大正解なんです。グラフをみて特徴をとらえただけです。なんの知識もいりませんでした。

(2)は少し考える問題ですね。ですから、②の「あたりまえのことを考えて文にする」です。

流れが急ということは、船のスピードがでる。ということは人を運ぶにはちょいつらいし、ものを運ぶにも、途中で壊れちゃいそうですね。このくらいのことを考えて、答えは「流れが急なため、物や人を運ぶ輸送面には利用しにくい点」とでも書けばよいのではないでしょうか。

 

今、①と②がでてきたので、あと③の記述問題ですね。

過去に明治大学附属明治中の問題で、以下のような問題がでました。

「近年、京都の九条ネギを生産している農家が、ラーメンチェーン店で使えるように、収穫したネギを自社で業務用にカットし、販売することで業績を急速に伸ばす成長企業となった事例があります。こうした形態を「農業の六次産業化」と呼んでいます。ではなぜ「六次産業」と呼ばれるのか、簡単に説明しなさい。」

六次産業!なんだそりゃ!となるわけです。

聞いたことないからできないや、とはならずに、少し知っている知識を思い出してみましょう。

知っている知識といえば、第1次産業は農業・林業・水産業。第2次産業は工業。第3次産業はサービス業。これは聞いたことがある。

ここで、少し考えましょう。

1,2,3。う~ん。1,2,3。

あ!1+2+3=6になる。

そういえば、問題にねぎを生産している農家(これが第1次産業)が、ネギを業務用にカット(加工しているから食料品工業。工業だから第2次産業)し、販売する(これが第3次産業)とあるから、1カ所で第1次産業から第3次産業全部やっているんだ。と、気がつけばもう完璧です。

答えとしては「第1次産業である農家が、自分たちで加工し、販売まですることで第1次産業から第3次産業まで全部やってしまうところから、1+2+3=6になるので(第6次産業と呼ばれる)」とでも書けばよいのではないでしょうか。

どうですか。記述問題もそんなにおそれなくてもよさそうですね。

せっかくですから、もっと強烈なのをやりましょうか。

2014年の海城中(第1回)です。

問題文は一部のみ抜粋します。

温泉発電は、地球内部のエネルギーによって暖められた熱水・蒸気を利用する、再生可能エネルギーであるという点で地熱発電と共通していますが、いくつか異なる点もみられます。地熱発電では《図》のように、地下1000~3000mの深さまで新たに穴を掘り、150℃以上の熱水や蒸気を利用します。そのため、(A)熱水のくみ上げによって、近くから湧き出す温泉の量の減少や、泉質の変化などの悪影響が出る可能性があります。それに対して温泉発電では、新たに穴を掘ることは行わず、すでに湧き出ている源泉を活用します。しかし、源泉は地下数百mの浅い部分から湧き出ているため、温度は高くても100℃程度です。そのため発電量は地熱発電におとり、現在実用化にはいたっていませんが、積極的に導入を進めている温泉地もあります。

長崎県雲仙市の小浜温泉は、雲仙普賢岳で知られる島原半島の西部にある小さな温泉街です。海沿いに20軒ほどの温泉宿が並ぶ風景は、地域の人々によって江戸時代から守られてきました。

小浜温泉の大きな特徴は、源泉の温度としては非常に高い105℃の熱水が湧き出ているということです。しかし、(B)源泉の温度が高いことは、長年温泉宿や入浴場の経営者たちを悩ませておりそれを何とか活用できないかという声が地元の温泉組合からあがっていました。

そこで、地元の温泉組合や観光関係者、雲仙市、長崎大学、エネルギーの専門家などをメンバ一とする「小浜温泉エネルギー活用推進協議会」が2011年に発足しました。かつて、⑥2004年に行政主導で地熱発電の開発計画が進められた際には地元の温泉組合は開発に強く反対していましたが、協議会のメンバーが議論を重ねた結果、2013年には環境省や長崎大学による温泉発電の実証実験を、積極的に受け入れることになりました。

中学受験 社会 2

問6 下線部⑥について、かつて地熱発電の開発に反対した小浜温泉で、温泉発電の実験を行

うことが積極的に受け入れられたのはなぜでしょうか。本文中の波線部(A)・(B)および

《資料4》を参考に、その理由を190字以内で説明しなさい。その際、以下の2点にふれる

こと。

1 温泉地にとって、温泉発電は地熱発電と比べてどのような点がすぐれているのか。

2「経営者たちを悩ませて」きたこととはどのようなことか。

資料4

中学受験 社会 3

さて、この問題、190字の記述だそうです。

しかも、小浜温泉が地熱発電の開発に反対したことも習っていない。ましてや、反対していたのが受けいれられるようになったなんて、知ったこっちゃない。本人たちにきいてくれ!とでもいいたいですね。

しかし、そんなこと書けません。よく考えてみてください。これは全員小学6年生が解く問題です。ですから、基本的に解けるはずなんです。

まず、解答例として挙げてみましょう。こんな感じで書いてあげればよいのではないでしょうか。

温泉発電のすぐれた点は、地熱発電のように新たな穴を掘る必要がなく、温泉に悪影響を与える可能性が少なく、また、小浜温泉では源泉の温度が非常に高いので、温泉として利用するには水を加えなければならないので、水道代の費用が経営者にとって負担となっていた、温泉発電を導入すれば、源泉を発電の過程で自然に冷めるので、水道代を削減でき、さらに、電力を地域に供給できるという利点があるため。

私ならこう書きます。

さすが先生!すごいね。

いえいえいえいえいえ。タネあかししますよ。

問題文と本文をもう1回書きます。そして、赤も入れてみました。

問6 下線部⑥について、かつて地熱発電の開発に反対した小浜温泉で、温泉発電の実験を行

うことが積極的に受け入れられたのはなぜでしょうか。本文中の波線部(A)・(B)および

《資料4》を参考に、その理由を190字以内で説明しなさい。その際、以下の2点にふれる

こと。

1 温泉地にとって、温泉発電は地熱発電と比べてどのような点がすぐれているのか

2 「経営者たちを悩ませて」きたこととはどのようなことか

温泉発電は、地球内部のエネルギーによって暖められた熱水・蒸気を利用する、再生可能エネルギーであるという点で地熱発電と共通していますが、いくつか異なる点もみられます。地熱発電では《図》のように、地下1000~3000mの深さまで新たに穴を掘り、150℃以上の熱水や蒸気を利用します。そのため、(A)熱水のくみ上げによって、近くから湧き出す温泉の量の減少や、泉質の変化などの悪影響が出る可能性があります。それに対して温泉発電では、新たに穴を掘ることは行わず、すでに湧き出ている源泉を活用します。しかし、源泉は地下数百mの浅い部分から湧き出ているため、温度は高くても100℃程度です。そのため発電量は地熱発電におとり、現在実用化にはいたっていませんが、積極的に導入を進めている温泉地もあります。

長崎県雲仙市の小浜温泉は、雲仙普賢岳で知られる島原半島の西部にある小さな温泉街です。海沿いに20軒ほどの温泉宿が並ぶ風景は、地域の人々によって江戸時代から守られてきました。

小浜温泉の大きな特徴は、源泉の温度としては非常に高い105℃の熱水が湧き出ているということです。しかし、(B)源泉の温度が高いことは、長年温泉宿や入浴場の経営者たちを悩ませておりそれを何とか活用できないかという声が地元の温泉組合からあがっていました。

中学受験 社会 4

私の書いた解答

温泉発電のすぐれた点は、地熱発電のように新たな穴を掘る必要がなく温泉に悪影響を与える可能性が少なく、また、小浜温泉では源泉の温度が非常に高いので温泉として利用するには水を加えなければならないので水道代の費用が経営者にとって負担となっていた温泉発電を導入すれば、源泉を発電の過程で自然に冷めるので、水道代を削減でき、さらに、電力を地域に供給できるという利点があるため。

赤色のところは問題文をしっかり読んで、本文からそれっぽいところを拾ってきただけ、下線部分のところは、下線部分をちょっと文章にあうようにアレンジしてあげただけ。枠で囲ってあるところは、資料4を参考にしただけ、だって「資料4を参考に」って書いてありましたから。

あえていうなら、緑色のところは、「経営者を悩ましていた問題」ってなんだろう、だけ考えました。でも、資料4には今までは「水を加えて冷ます」って書いてあり、温泉発電だとそれが必要ないってあったので、違いは水を使うか使わないか、あ、水道代かな。と判断しただけです。

これも最初に書いた②の「問題文をよく読み(写真や図があるものはそれをよく見て)、そこからあたりまえなことを考え、文章にする。」ですね。

 

 

このように、最初に書いた①~③の原則で、190字の記述だって書けてしまうんですね。

これからは、「記述だ。ラッキー。部分点でもいいから、しっかり得点とっちゃおう!」という姿勢で頑張ってみてください。

まずは、書いてみる。ここからスタートしましょう。いきなり上手には書けません。何事も練習が必要です。そして、練習すれば誰だって上手に書けます。

 

 

今日は長かったですね。次回は視点の④「問題作成者側の視点(選択肢のつくられ方)を見抜く力」のお話しをします。

なお、⑤「最近のニュースなどの時事的問題の知識」は、11月に書こうかなと思います。「重大ニュース2016」「ニュース最前線2016」といった時事問題集が書店にならぶのは、たいてい11月くらいですので、そのころに書いた方が、より有意義かなという判断です。けっして社会のブログ書くのが飽きたわけではありませんよ。念のため。