2020 世田谷学園中学④| 学校説明会レポート



世田谷学園中学校説明会レポート④(2020年10月5日)


本日はオンラインで行われた世田谷学園中学校の学校説明会を、受験ドクターの高田いさむがご紹介いたします。
校舎は「観性館」「修道館」「放光館」「発心館」の4つの建物で構成されています。
「観性館」は1階に学園の心臓部ともいえる禅堂があります。
60人が坐れる本格的なもので、有志による早朝座禅も行われています。
2階には図書館とコンピュータルーム、地下1階には300席の食堂があります。
「修道館」には体育施設が集められています。
アリーナは体育の授業だけでなく全校朝礼などにも利用されます。
温水プールは1年間を通して利用できます。
その他、卓球場や武道場を備えています。
「放光館」は実験室などが集まっています。
230席の視聴覚ホール、音楽室、物理・化学・生物の実験室と講義室があります。
「発心館」には家庭科室やカウンセリングルーム、保健室があります。
普通教室や選択教室もこの「発心館」の中にあります。

世田谷学園は仏教・禅の曹洞宗が母体となっている学校です。
仏教・禅を柱に据えた教育を行っていますが、信仰を強要するものではありません。
また、理系志望者が多く、理数教育に力を入れています。
2019年より算数特選入試を行っています。
また、新年度から本科コース・理数コースという2つのコース設定を行い、理数教育により力を入れていきます。
世田谷学園では、2018年度から希望者に対してITゼミを実施しています。
スマホなどのアプリを自分で開発してみるというゼミ形式の授業です。
実はその受講者の生徒が、大変な快挙を達成しました。
Apple社が年に1回世界の開発者向けに開催するプログラムコンテストがあります。
そのWWDC2020 Swiftプログラムコンテストにおいて、世田谷学園の高2生が入選を果たしました。
日本人で入選したのは唯一人という結果で、大変なことだと思います。
今後の世界は、今まで以上にプログラミングの知識が重要になる時代だと思います。
その基礎となるのは「数学の力」です。
世田谷学園では引き続き理数教育に力を入れていきます。

バス
三宿停留所下車
徒歩5分

田園都市線・世田谷線
三軒茶屋駅北口B
徒歩 約10分 小田急線
下北沢駅
徒歩 約25分 京王井の頭線
池ノ上駅
徒歩 約20分

2020年10月5日に行われた世田谷学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は世田谷学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©世田谷学園中学校

プログラム

校長ご挨拶

世田谷学園中学校校長の山本慈訓先生より、世田谷学園中学校の教育に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

教育理念について

世田谷学園の理念は「Think & Share」です。これは、お釈迦様の言葉である「天上天下唯我独尊」を世界中に伝わるように英訳したものです。この言葉の「我」というのは、自分一人のことではなく、すべての人々それぞれの「個」を指したもの。すべての人々はかけがえなく尊いということ。「Think」は仏教の人間観を示し、「Share」は仏教の世界観を示しています。「人それぞれを認め合い平和に生きる。違いを認め合って思いやりの心を持つ」ということです。世田谷学園が目指す人間像は①自立心にあふれ知性を高めていく人②喜びを多くの人と分かち合える人③地球的視野に立って積極的に行動する人の3つです。一言でいえば「智慧」のある人を育成するということです。「智慧」と「知恵」は違います。「智慧」というのは「とらわれ」がないということです。「とらわれ」と「こだわり」もまた違います。自分の「とらわれ」に気づくには座禅が大変に有効です。これはいま世界的にも注目されています。高3では大本山總持寺で一泊座禅を行います。また週1回、早朝座禅会を開いています。座禅を通して智慧のある人を目指します。

本科コース・理数コースについて

新年度より本科コースと理数コースという、2つのコース体系に変更します。定員200名のうち、本科160名、理数40名となります。2019年度より2月1日午後に算数特選入試を開始しました。これからのAIとの関りを考えたとき、プログラムが読めないといけない。そのためには「論理的思考力」「数学の力」が必要。これは文理を問わず共通することです。しかし、世界と比べて理数教育の遅れが目立つ現状を考えると、理数教育の強化が必要。また、そもそも世田谷学園は理系志望者が多い。そのためにこのようなコース設定になりました。理数コースは、低学年から理数カリキュラムが充実しています。本科コースは高2になるときに文理を選択しますが、中3から特選クラスというものを設けます。中1・中2の間は、本科・理数でコアになるカリキュラムは同じです。ただし、土曜日だけ土曜プログラムを別に行います。本科コースは、例えば英語学習の充実などを図ります。一方、理数コースでは稲作体験や自然探究会などを行う予定です。中3~高3までは、理数コースは研修旅行や研究室訪問など、体験学習を充実させていきます。

入試要項について

北原透教頭より、入試要項についてについてお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

入試要項

入試日程は例年通りです。2月1日の午前・午後、2月2日と2月4日のそれぞれ午前の4回です。本科160名、理数40名を募集します。試験問題は本科・理数ともに共通ですが、理数コースのみ、算数と理科の配点を2倍にします。理数コース志望者は出願時に申請してもらいますが、本科コースへのスライド合格もあります。算数特選も同様です。算数特選は2月1日の午後に3回に分けて実施します。14:30~、15:20~、16:00~の3回です。受験時間は出願時に申請しますが、申し込みより前の時間帯なら、事前連絡なしで変更が可能です。遅れる場合のみご連絡ください。合計30名の特待生選抜も実施しています。年間の学費がほぼ免除となります。ただし、1年ごとの資格更新があり、成績によって変わります。入学後の成績によって特待生になることもできます。出願・手続きはすべてwebで可能です。合格は当時にホームページで発表します。科目ごとの足切りはなく、合計点で合否を判定します。複数回受験についてですが、ボーダーライン上の選考や、繰り上げ合格の選考の際に優遇します。また、帰国生の優遇措置もあります。試験時に飲み物の持ち込みができ、休憩時間に飲んで構いません。試験終了後はグループで下校します。2020年の入試結果は、志願者2241名、受験者1768名、合格者626名、実質倍率2.8倍でした。合格最低点は6割強です。

入試問題の傾向と対策について

各科の先生方より、入試問題の傾向と対策についてお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

①算数について

試験時間は60分で100点満点です。大問が6題です。1はいわゆる1行問題、2・3・4は標準レベルの応用問題、5・6はやや難しい応用問題です。5・6は記述形式の解答を求めています。答えだけは×にしていますので、必ず解答にいたる式や考え方を書いてください。部分点も与えています。算数特選については、大問5題です。1・2は標準からやや難しい問題、3・4・5は難問で、記述形式の解答を求めます。対策としては、一般の問題の後半部分を過去問で練習してもらうのが良いと思います。合格者の傾向として、前半の1・2の得点が8割以上となっています。後半の3~6も(1)と正答率がとても高いです。算数特選も同様ですが、合格者平均は8割越え、ボーダーラインも7割越えと、非常に高いです。全体的な対策としては、まずは「特殊算」を完璧にマスターしてください。1~3を確実に得点することが重要です。記述は必ず言葉で説明をいれるようにしてください。数字や式だけでは×にしている場合もあります。分野としては、「旅人算」「比と割合」が特に重要。線分図・面積図をきちんと書けるように練習してください。

②国語について

試験時間は50分で100点満点です。素材文は、論理的文章、文芸的文章1題ずつです。論理的文章は、「相互作用」と「二項対立」を意識して読むようにしてください。文芸的文章は、「比喩表現」と「心象風景」が大切です。漢字は7割はとりたい。記述は、満点は難しいので部分点を狙って書いてください。普段から段落ごとの要約や文章全体の要約を心掛けるといいと思います。また、抽象表現を具体的に考える練習をしてください。

③社会について

試験時間は30分で50点満点です。1の地理が15点、2の歴史が15点、3の総合が20点です。総合は、地理・歴史・公民から思考力・判断力・読解力を問う問題を出題します。用語については、漢字指定がないならひらがなでも〇です。記述については、部分点があります。資料の読み取りについては、読解力・基本知識の二つが必要です。時事問題については、日ごろから自分の言葉で説明する訓練をしてください。

④理科について

試験時間は30分で50点満点です。昨年度までは大問4題で、物理・化学・生物・地学の4分野から出題していましたが、今年度から大問3題になります。観察・実験に関する出題があります。また、思考力を要する計算問題、時事問題の出題もあります。数値はすべて小数で答えるようにしてください。基本用語はすべて漢字で書けるようにしておいてください。

学校訪問を終えて

Youtubeを利用した動画配信という形の説明会でした。
テーマごとに動画が別々に区切られていて、非常に視聴しやすく工夫されていました。
音声もクリアで、パワーポイントの画面も見やすく、とても配慮の行き届いた内容でした。
先生方のお話は簡潔でわかりやすく、理路整然とした印象です。
入試問題の傾向と対策について、各科目の先生たちがお勧めの勉強法を紹介されていて、参考になりました。
塾の先生の視点でも頷く部分が多く、学びについて真剣に考えられている先生方と感じました。
信仰を強要するものではないとのことですが、学校として仏教・禅の精神をとても大切にされている印象です。
生徒たちが座禅を行っている写真が紹介されましたが、とても良い姿勢で真剣に自分と向かい合っているようでした。
2018から行われているITゼミには、校長先生もアプリ作成に参加しているそうです。
Swiプログラムで入選した生徒は、校長先生曰く「師匠」だそうで、実際に隣の席でアドバイスをもらっているそうです。
とても気さくな校長先生で、生徒と一緒に「学ぶ」ということをとても楽しまれているようでした。
全体的にとても勉強熱心な学校という印象でした。
大学進学実績も素晴らしいですし、大学受験で頑張りたいというご家庭には心強い学校だと思います。