2019 開成中学①| 学校説明会レポート



開成中学校説明会レポート(2019年10月18日)


本日は開成中学校へ、受験ドクター講師の市村 史帆先生が行ってきました。
現在新校舎の建設中です。
2021年に、高校部と体育館の一体化した新校舎が完成予定です。
来春入学の生徒は新しい校舎で授業を受けることになります。
現在高校に在籍している生徒は仮校舎で学んでいるというわけではなく、新しい校舎が完成してから現在の校舎を取りこわすそうです。

昨年度からの変更点として、①出願関連書類がすべてHPからダウンロード可能になったこと、②道灌山奨学金(従来は高校生のみ対象)が中学からの入学者も対象となったこと、➂新校舎建設に伴う入試当日の動線変更、④学費の改定 があります。
学費の改定については、消費税の税率アップ、都の最低賃金アップ等に伴うものです。また設備の拡充等学習環境の向上を目的として学費を他の私立中学並に引き上げています。
特に➂に関しては西日暮里駅からのルートに多少変更があり、混雑も予想されますので十分気をつけてお越しください。

西日暮里駅(JR、東京メトロ千代田線、日暮里・舎人ライナー)より徒歩1分。

2019年10月18日に行われた開成中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は開成中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©開成中学校

プログラム

校長ご挨拶

開成中学校柳沢幸雄先生より、
教育に関するお話がありました。

その中から一部を紹介いたします。

開成の教育について

開成学園のイメージというと、①東大への進学者数38年連続1位の超進学校、②1学年300人、高校では400人が在籍するマンモス校、➂9時間超にわたる運動会が開催される、文武両道が求められる学校 の三つが挙げられると思います。
これらには「陰のイメージ」があり、それぞれ①生徒はがり勉、歩きスマホではなく歩き単語帳でぶつかる、②一人一人の生徒に目が行き届かない、➂運動が苦手な生徒には活躍の場がない というものです。
ここで各国の「年齢別自信」のグラフを見てみると、欧米の各国や隣国である韓国の子どもたちは13~15歳のグラフが右肩上がりになるのに対して、日本の子どもたちはこの期間で下がっていきます。自己肯定感、自信の源泉とは自主的行動、自律的行動で得た達成感です。与えられたものでなく、自分で自主的に取り組んだ事柄を自分で考え、困難に遭遇しても自律的に活動して困難を乗り越え、成果に到達することができたときに人は自己肯定感を得られます。
開成学園の教育理念を見てみると、自由、自主性・自律性、開物成務(一人一人の素質を花開かせて、務めを成しとげる)とあります。そしてその上にBeyond Tradition(自分の素質を活かして社会の役に立っている)が成り立つのです。
開成学園では、運動会や文化祭、学年旅行すべての運営に生徒が主体的に関わります。開成学園の生徒たちに「学校は楽しいですか?」という質問をすると、実に95%以上が「楽しい、まあまあ楽しい」と回答します。
楽しい時間が自主性、自律性の源であると考え、楽しく感じている生徒は手厚く面倒を見ず自主性に任せ、楽しく感じていない生徒にはきめ細かく面倒をみています。学年団の教員、部活顧問、授業担当の教員が積極的に接触し、教育相談室、充実したスクールカウンセラーが生徒、保護者の相談相手になっています。
運動会に関しても、ポスターや飾りつけ、各応援団の応援歌も生徒が作成します。画才、音楽の才能、文学的才能など総合的な力が求められるのが運動会なのです。
以上を鑑みると、開成学園がマンモス校であり面倒を見てもらえない、運動ができないと活躍できない、というのは全くの誤りであることがわかります。
日本の若者の自己意識を考えた時、自主性を重んじる開成の教育が必要であると考えています。

入試要項について

中学教務委員長(教頭)の小竹 禎先生より
開成の入試要項についてお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。

入学試験について

受験番号による有利不利があるかどうか質問がありますが、発番はランダムで行います。インターネット上での申し込み時には焦らず、確実に誤りのない入力を行うよう心がけてください。
終了時は、チャイムが鳴りはじめたら筆記用具を置いてください。

教員による個別説明

理科教員の青木秀憲先生より
開成の入試要項についてお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。

教員による個別説明

20人ほどのグループに分かれ、各教室で、実際に指導にあたっていらっしゃる先生による学校説明を受けました。

開成学園では、一クラス43~44人で授業を行います。
ほぼすべての教員が独自の教材を作成しており、特に中学1年次では教科書にとらわれず、パズル等を利用してものの考え方や頭の使い方、筋道をたてて考える力を養っています。後者には理科実験室が6つ、中学生棟にも3つあり、実体験を重視して授業を行っています。
中学校では点数を取るための勉強ではなく、広く深い知識をつけ、頭の使い方、ものの考え方を学ぶための期間として位置付けています。
開成中学に入ってとても伸びるタイプの生徒は、人の話を最後まで聞ける人です。中学受験時に高い競争率を突破して入学した生徒ばかりなので、今まで「頭が良い」といわれてきた生徒がほとんどです。すると「人より早く理解した、早く分かった」ということが良いと思いがちになりますが、日本語の特性上大切なことは最後に言われることが多いです。よって人の話を最後まで聞ける生徒はよく伸びます。
高校に入ると50人クラスになります。人数が多いということには良いこともあり、人から刺激を受けられ、人数の多さにより誰もがどこかしらに自分の居場所を見つけられます。また開成学園は卒業生のつながりが強いのも特徴です。
運動会では、役割分担は立候補制で、立候補した上で選挙で決めることになっています。候補者が一人でも投票を行いますので、日頃から周囲に思いやりをもって接している人は得票数が多くなります。
高校2年生まで運動会、文化祭と全力で取り組んでから大学受験への切り替えがすっぱりとできるのも開成学園の生徒の特長です。
教員として勤務していて、個人的には働いていて楽しい学校です。学校トータルとしての方向性というものはあまりありませんが、自分のやりたいことをやることに寛容です。生徒も自分の好きなところ、居場所を見つけられる学校だと思っています。

学校訪問を終えて

校長先生、教員による個別説明会で担当してくださった先生とも、開成学園の理念である自由、自主・自律を体現し、また生徒がそのように成長する支援をしていらっしゃるように感じました。
学校紹介映像でも、部活動に打ち込んでいる生徒、金融、俳句、珍しいフォント探しなど自分の興味のある分野に没頭する生徒が多く、6年間という期間を利用して闊達に過ごしている印象を受けました。