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投稿日:2024年03月05日

テーマ: 理科

理科・理由説明問題の答え方 ~2024年武蔵中入試問題より~

今回は、2024年の入試問題から、注目すべき問題をピックアップしてご紹介します。理由説明問題への答え方について考えていきます。

 

【問題】2024武蔵中 理科大問1より抜粋

問4

図1(略)に示した「福徳岡ノ場」は東京から約1400kmに南にある海底火山で、2021年8月13日に噴火しました。噴出物は河口付近に厚く堆積して新たに島を作り、その周辺の海面には図2(略)のような穴のあいた白っぽい石(軽石)が大量に浮遊していました。約2か月後にそれらの軽石が沖縄本島沿岸で大量に見つかり、船の運行や漁業に支障が出ました。さらに約1ヶ月後には房総半島などでその軽石がごく少量見つかりました。

(図1:福徳岡ノ場の位置(地図)および、図2:軽石の表面の様子(写真)は省略しています)

(1)軽石の穴はどのようにしてできましたか。

(2)軽石と同じ物質でできている溶岩は水に沈むのに、軽石が水に浮くのはなぜですか。

(3)文章中の下線部について、軽石が見つかったことから考えられることを書きなさい。

 

ありましたね、こんなニュース。漁港が軽石だらけで出漁できなくなっている様子が記憶に残っています。

さて、この3題は、すべて記述形式で解答します。穴が開いていることを知っているだけでは解答できません。
あらゆる身の回りの自然現象について経験と洞察を深めてきた「理想的な」受験生がいるとするならば、
①答えるべきことが何か、すぐにつかむことができる
②説明力が高い
という条件をクリアしているため、今回の問題は比較的容易に答えられる問題と言えます。

難度については、優しい順に3→2→1だと考えます。このように考える理由は以下の通りです。

(3)知っていなくとも、状況から容易に推測可能なことが問われている
(2)知っていなくとも、類似の現象を知っている可能性が高い
(1)類似の現象が思い浮かばない可能性が少し高い

 

このことを確かめていきましょう。
まず

(3)軽石が見つかったことから考えられることを書きなさい。
を考えます。
福徳岡ノ場から沖縄本島に軽石が移動した → 海流の影響か
という自然な推測がすぐにできそうです。説明しづらいポイントもありません。

 

つぎに
 

(2)軽石と同じ物質でできている溶岩は水に沈むのに、軽石が水に浮くのはなぜですか。

 

これはどうでしょうか。

このように言い換えてみます。

 

鉄の塊は水に沈みますが、鉄でできた船舶は水に沈みません。なぜですか。

 

このように、学んだことのあるもの、知っているものに結びつけることができれば、説明の筋も見えてくるのではないでしょうか。
もっとも、軽石は船のような形になっているわけではないので、別の形で浮力を得ていることを説明する必要があります。
(1)で出てくる穴に「空気が閉じ込められる」などの表現を用いればうまくまとめられそうです。

最後に

 

(1)軽石の穴はどのようにしてできましたか。

 

を考えます。理由まで含めて知識としてすでに持っている場合は即答できますが、そうでない場合は、推論が必要となります。

 

多くの穴→ 気泡 → 気泡の入ったもの…

 

ここでどんなものが浮かんできますか。
ふくらし粉→ホットケーキ
の知識なら学習済みの可能性が高いです。
炭酸水素ナトリウム(重そう)の加熱分解を学ぶ際、必ず関連付けられる知識ですからね。
では、炭酸水素ナトリウムが加熱されて二酸化炭素の気泡が生じ、ふわふわ(多孔質)になるのと同じような原因が、この問題では何に当たるのかを推測しなければなりません。
そこで、次のように言い換えてみます。

 

弾けそこなった「不発」のポップコーンは固いのに、正常にはじけたポップコーンが柔らかいのはなぜですか。

 

間違って不発弾をかじると、痛いです。かたい殻で覆われていたトウモロコシの粒の内部で、高温高圧の状態で閉じ込められていた水分は、殻がはじけた瞬間、
膨張→減圧
を経て、一気に気化します。これによって「多孔質」な構造が出来上がるのです。
理想的な受験生であれば、ポップコーンのできる仕組みを説明できるかもしれません。そして既知のものに帰着することで、未知のものでも道筋を考えることができるでしょう。

以上のことから、理由を説明するタイプの問題では、以下のことが大切です。

 

①軽石に多数の穴があるという特徴を、理由とセットで考える習慣

②未知のものを、既知のものと結びつけて考える習慣

 

「なんでそうなるの?」
「これと同じような現象はあったかな?」

この2つが常に意識されているような取り組みをすると、内容的には「同じ」勉強であっても、説明力に差が出てくるのです。

横道にそれますが、ポップコーンの不発弾を経験しているお子さんは多くないでしょう。これは自分で作ってみないと味わえません。機会があれば親子で作ることをお勧めします。
たしかに「不発弾」は間違って噛んでしまうと痛い目にあいますが、それ以上のものを与えてくれる気がします。
作る際は、やけどに注意してくださいね。

今回はここまでです。さらに考察を続けていこうと思います。

理科ドクター