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投稿日:2010年05月25日

テーマ: 日記 / 社会

口蹄疫が投げかけるもの

宮崎県は、北海道、鹿児島に次ぐ肉牛の生産県です。その宮崎県がいま口蹄疫で苦しんでいます。

口蹄疫とは、牛、水牛、豚、山羊、羊、鹿、イノシシなどの蹄(ひづめ)が二つに分かれている動物(偶蹄目)が感染するウィルス性の伝染病です。感染すると、口の中や蹄のまわりに水泡ができるので「口蹄疫(foot-and-mouth disease)」と呼ばれます。口や蹄の水泡は破れて傷口ができます。牛や豚はその傷みでものを食べることも、歩くこともでなくなり、ミルクが出なくなったり、肉ができなくなったりします。そのため畜産業者には大きな打撃となる病気なのです。

口蹄疫は、毎年世界各地で発生しています。なかでも2001年イギリスで発生したものは非常に大規模なものでした。殺処分された家畜の総数は1100万頭、被害総額1兆4000億円。日本では、10年前にやはり宮崎県で92年ぶりに口蹄疫が発生しています。

口蹄疫のウィルスは非常に感染力が強いので、感染拡大を防ぐため感染地域の家畜は感染の有無にかかわらず全頭殺処分されてしまいます。今回の宮崎県ではわが国ではじめてワクチン投与もなされましたが、これは予防の目的ではありません。感染の拡大のスピードをおさえるためです。ワクチンを打ってしまうと抗体ができ、口蹄疫に感染したものかどうか区別できなくなってしまうため、ワクチンを投与した後家畜は殺処分されます。

ワクチンを打たれる宮崎の肉牛の姿をニュースで見ましたが、なんともいえない気持ちになりました。

家畜はたとえ口蹄疫にかからなくとも最終的には屠殺されてしまいます。

つまり、ヒトは他のいきもの(動物、植物)を食べるしか生きることができないのです。

今回の口蹄疫の問題は、あらためて、「ヒトの責任」について考えさせられます。