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投稿日:2020年09月14日

テーマ: 算数

対策・2021年問題

皆様こんにちは。大木快です。
年号の数字をテーマにした問題が、毎年多くの学校で出題されます。

年号という共通の素材をどう料理するか…個性と手腕が感じられる部分でもあります。問題を見てみると、対策不要なものがほとんどですが、中には対策が有効なものも見られます。

2021年はどうなるでしょうか?
今回は、対話形式で問題を作ってみました。

【問題】 次の会話を読み、問いに答えよ。

父:来年は2021年だね。
良夫:うん。東京オリンピック、開催されるか心配だな。新型コロナウイルスの問題とかあるし。
父:政府関係者は「高い緊張感を持って警戒する」と言ってるけど。
良夫:それって何もやってなくても言えるんじゃない?もし僕が居眠りしてて「神経を研ぎ澄まして本日の学習内容をじっくりと反芻していました」なんて言ったら?
父:張り倒すかもな(笑)。そんな言い訳、通用するもんか。
それより良夫、2021は素数だと思うか?
良夫:うーん、かなり素数っぽい。一の位が1だし、ぱっと見3,7,11では割れそうにないし。
父:何で一の位で分かるの?
良夫:2以外の偶数は素数じゃないから、一の位は奇数に限定される。それから奇数のうち一の位が5だと5の倍数になっちゃうから素数にはならない、だから5より上の素数は一の位が1,3,7,9しかないって。(1)
父:お、お前、ずいぶん賢くなったじゃないか。
良夫:へへへ。実は塾で習ったんだ。
父:なるへそ。じゃあ2021って数が本当に素数なのかどうか、どうやって確かめる?
良夫:さっきの続きで13,17,19…と順に素数で割って、割り切れるかどうか確かめていくしかないかなあ。
父:どこまでやるの?
良夫:えーっ?!永遠に終わらないのかなあ。
父:簡単な例で考えてみようか。(2)
良夫:うん。
父:良夫、36の約数は全部書けるか?
良夫:積が36のペアの形で書いてみたけど…
算数20200914_01
父:うん、これでいい。この表、どうやって書いた?
良夫:まず小さい約数から順に、÷1、÷2…と、36を割っていって、
…割り算の商も36の約数だから、ペアにして書き出してみたんだけど。
父:そうか。漏れを防ぐうまいやり方だ。それで、÷36まで計算したのかな。
良夫:ああっ!÷6までやったら、あとは商の方が割る数より小さくなっていくから、もう終わってる。÷6から先は必要ない!
父:じゃあ2021はどうなる?
良夫:36と違って平方数じゃないし…どこで相手の方が小さくなるか、予想が付けばいいんだけど。(3)
父:表をもう一度見て。6の手前は4だった。6×6=36だったが、4×4=16だな。
良夫:ああっ!2回かけてその数を上回ったら、折り返し地点を過ぎたってことじゃない?
2021の場合は、
ア×ア=イ、
ウ×ウ=エ
エで初めて2021を超えてるから、ウは折り返しを過ぎている。
ってことは、÷アまで調べればいいのか。
父:アは素数じゃないから…?
良夫:アまでで最大の素数はオだから、実際にはオまでの素数で割ってみればいいんだ!
2021は大きな数だから、どうなることかと思ったけど、結構早く終わりそうだね。
 
問1 文中のア、イ、ウ、エ、オにあてはまる数を答えなさい。ただしウはアより1大きい数とします。
問2 この方法で調べたとき、得られる正しい結果を選びなさい。
2021は(①素数である ②素数ではない)

 

【解答】

問1 ア=44、イ=1936、ウ=45、エ=2025、オ=43
問2 ②

 

空欄に答えの数値を入れて、解説します。
44×44193645×452025だから、45で初めて2021を超える。このことから、45は折り返しを過ぎている。
44までで最大の素数は43だから、実際には43までの素数で割ればよい。

その結果、最終的に43×472021に行きつきます。これで、2021は素数でないことが示されました。それほど早くは終わりませんでしたが、見通しがついていたので安心して作業できそうです。

 

 

どうでしたか。
43×47=2021になるということを「対策」として覚えると、どのくらい有利になるでしょうか。
問題によっては役に立ちそうですが、大切なのはむしろ、ここで見てきたように、しっかりした理屈を身につけることだと言えそうです。

 

今回の会話で、実戦に強くなるための考え方をさりげなく(?)示しています。確認しておきましょう。

傍線部(1) 理屈で覚える
良夫君の素数判定法は、かなり理論的で説得力がありましたね。結果だけでなく、なぜそうなるのかという理屈とセットで覚えていることは、忘れにくく、応用がききやすいものです。
傍線部(2) 簡単な例で考える
いきなり作業を始めるのではなく、小さなサイズで試すことは、見通しが立たない問題に遭遇したときの常套手段です。
傍線部(3) 当たりを付ける
調べる系の問題では、一発で答えが出ないのが普通。当たりをつけて、徐々に答えに近づいていくのがセオリー。

小6生の皆さんはこれから過去問などの演習を通じて、このような実戦力に磨きをかけていただきたいと思います。
それでは、また。

算数ドクター