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投稿日:2021年04月12日

テーマ: 理科

思考力up!~アイデアの生み出し方~

皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。

さて、今回は思考力の鍛え方についてお話しします。
学年も上がるにつれて様々な物事について考える機会も増えていきますが、基本的なことは理解できるけど、応用することが難しいという壁にぶつかってしまうことも多々あります。学んだ基礎的な知識をどうすれば応用して考えることができるのか?今回は思考力を育み、アイデアが生み出せるようにどうすれば良いかについて考えていきましょう。ここでいうアイデアとは、他の人が思いつかいないような奇抜なものではなく、きちんと目の前の課題を解決するためのものです。

課題を解決するためのアイデアを生み出す考え方

例えば、ある中学校の過去問を参考にした、次の問題を見てください。
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図1のように、机の上に直方体の形をした箱がのっています。箱の底面の中心(対角線の交点)が机の面の外に出ていますが、箱は下に落ちません。なぜ落ちないのか、考えられる理由を挙げられるだけ答えなさい。

実際の問題用紙には図1のような状況の写真が記載されていました。
図と問題文に目を通しただけで次々とアイデアが浮かんでくる人もいれば、う~んと悩んで固まってしまう人もいることでしょう。両者の違いはどこにあるのか?思考力があるお子さんは、自然と次のステップを踏んで、的確なアイデアを生み出しているかもしれません。

なんとなく悩むのではなく、順を追って考えてみましょう。
まずは、そもそも「落ちない理由」を聞いているということは、何か特別な理由がない限り、箱は下に落ちてしまうということを確認しましょう。では、なぜ箱は下に落ちるのか?
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図2のように、箱の重さによる重力がかかります。すると、箱の一部は机の上にのっていますが、机の角が支点となり、右回りの回そうとするはたらきが生まれるため、箱は回転します。

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実際には回転しながら箱が滑るので、図3のように完全に垂直にはならないと思いますが、箱が机の上にのっていない状態になり箱は下に落ちることになります。

ここまでの確認で、箱が落ちる原因は箱の重さにより回そうとするはたらきが生まれることだと分かります。
このように、まずは大元になっている原因を確認しましょう。

原因が分かったら、それを解決するための条件を考えましょう。
ここで必要になるのが理科の知識です。回そうとするはたらきは逆向きの回そうとするはたらきによって打ち消すことができます。そのため、左回りの回そうとするはたらきを生み出すことができれば、箱が落ちないようにすることができます。

それでは、左回りの回そうとするはたらきを生み出す方法を考えてみましょう。
もっとも思いつきやすい方法は、おそらく次のような方法でしょう。
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図4のように箱の左側におもりを入れると、そのおもりの重さによる重力によって左回りの回そうとするはたらきを生み出すことができます。

一つアイデアが浮かぶと、他のアイデアを思いつくのが多少難しくなりますが、もう一度原因に戻り考えてみましょう。左回りの回そうとするはたらきは支点より左側におもりを置き下向きの力を加える以外に、支点より右側に上向きの力を加える方法があります。すると、次のような方法が考えられます。
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ヘリウムガスは空気より軽い(密度が小さい)ため風船の中に入れると浮力が生まれます。箱の重さにもよりますが、支点からの距離が長くなるほど回そうとするはたらきは大きくなるので、このような支え方も十分可能性の一つとして考えられます。

他には画鋲やねじの摩擦力や、のりやボンドなど接着剤の粘着力によって固定する方法や、机が鉄でできていれば磁石を箱の中に入れて磁力で支えることもできますね。

思考のプロセス

上記の問題を例に考えてみましたが、思考のプロセスをまとめてみましょう。
① 問題点や課題点の原因を確認する。
 ※箱が落ちるのは、箱の重さによる重力によって右回りの回そうとするはたらきが生まれるから。
② ①の原因はどのような条件で解決できるかを考える。
 ※回そうとするはたらきは逆向きの回そうとするはたらきによって打ち消すことができる。
③ ②の条件を満たす方法を考える。
 ※おもりの重力、風船の浮力、画鋲の摩擦力、接着剤の粘着力、磁石の磁力 等々

このようなプロセスをきちんとふめば、様々な問題の解決方法が見えてきます。
ただし、①から③まですべてに必要なことがあります。それは、正しい知識を幅広く身につけていることです。思考力を身につけるために、そのような出題がなされている問題の演習を行うことは重要なことですが、各単元の知識が固まっていないうちは、その問題の解答解説を理屈が分からないまま覚えてしまい、少し話題が変わっただけで他の問題には応用できないという状況に陥りがちです。思考力を問われて考えが止まってしまう場合は、知識をしっかりと固めること、そしてその知識を正しく素早くアウトプットする練習をすることから始めましょう。

目指せ思考力UP!
それでは、またお会いしましょう!

理科ドクター