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投稿日:2009年09月30日

テーマ: ニュース / 社会

やさしい経済教室

 最近、マクドナルドが期間限定で通常120円するコーヒーを無料にしたり、スターバックスが自分用のカップを持参した客に対してドリンクの割引を20円から50円に引き上げたりしています。これはなぜでしょうか? 

 29日総務省が発表した8月の全国消費者物価指数は、前年同月比で2.4%下落し、データが比較可能な71年以降最大の下落率を4カ月連続で更新しました。消費者物価指数とは、「物価」の変動を示す代表的な指標で、家計がよく消費するものやサービス500品目以上を加重平均して算出されたものです。戦後はじめて日本がデフレに陥ったのはバブル景気の崩壊の後で、デフレを脱出するのに長い時間がかかり「失われた10年」と言われましたが、今日本経済は再び強いデフレ傾向にあります。

 日本全体の需要(総需要)(注1)が日本全体の供給(総供給)より小さいときにデフレが生じます。デフレになると、消費者物価指数のような「物価」が下落し、反対に「お金の価値」が上昇します。デフレ時には、ものの値段がどんどん下がっているので、今ものを買うより将来安くなってから買ったほうが得です。それで、デフレ時には買い控えが起こります。消費とはものとお金の交換ですが、デフレ時には、消費者はものよりもお金を選択します。これがお金の価値の上昇です。簡単に言えば、消費者の財布のひもがかたくなるということです。

 マクドナルドやスターバックスの価格戦略は消費者の財布のひもをゆるめようとしているのです。マクドナルドやスターバックスのコーヒーの値段はまさに日本経済の状態を反映しているのです。

 注1 厳密にいえば、総需要とは家計の消費、企業の投資、政府支出の合計(内需)に輸出マイナス輸入(外需)を加えたものです。