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投稿日:2024年04月16日

テーマ: 算数

中学受験生も解ける大学入試数学~2024年度編②~

みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。

今回は「中学受験生も解ける大学入試数学」2024年編の第2弾。
前回は慶應義塾大学理工学部の問題を紹介しました。今回も、同じ慶應大学から商学部の問題を見てみます。

問題

a<b<c.かつ1/a + 2/b + 3/c= 2を満たす自然数の組(a、b、c)をすべて求めよ。
(慶應義塾大学 商学部 2024)

今回は、このままでも理解しやすい問題文ですが、念のため少し補足しておきます。

「かつ」という言葉は聞き慣れない人もいるでしょう。「そのうえ」「しかも」という意味で、数学ではよく使われます。
「自然数」という用語は、前回の問題にも登場しましたが、「1以上の整数」のことです。
小学生のみなさんにとっては「整数」という用語とほとんど同じですが、「整数」には0も含みます。

整数→0、1、2、3、4、…であるのに対して、
自然数→1、2、3、4、…という違いがあります。

小学生向けに書き直してみるとこんな感じ。

1/a + 2/b + 3/c = 2を満たす整数の組(a、b、c)で、a<b<c.であるようなものをすべて求めなさい。

「前回の問題よりも解きやすそうだ!」と感じる受験生も多そうです。
実際、この問題には、意欲のある5年生以上であれば充分に取り組むことができます!

やってみようかな、と思った人はここで読むのを止めてチャレンジ!





解説

では、解説です。

a<b<cという条件に注目し、aの値が小さい方から順に調べていきましょう。

①a=1のとき
元の式にa=1を入れてみると、1/1 + 2/b + 3/c = 2、つまり2/b + 3/c = 1です。
a<b<c.であることから、bは2以上の整数です。bの値も小さい方から調べていきます。

b=2とすると、2/2 + 3/c = 1、つまり3/c = 0となりますが、このようなcの値は存在しません。
b=3とすると、2/3 + 3/c = 1、つまり3/c = 1/3となり、c=9であれば条件を満たします。
b=4とすると、2/4 + 3/c = 1、つまり3/c = 1/2となり、c=6であれば条件を満たします。
b=5とすると、2/5 + 3/c = 1、つまり3/c =  3/5となり、c=5であれば条件を満たしそうですが…。
そう、b=c.=5では、a<b<cの条件を満たしませんね。

そして、これ以上bを大きくすると逆にcは小さくなり、もうb<cの条件を満たすことはありません。
よって、a=1のときの調べ上げはこれで完了!
まずは、(a、b、c)=(1、3、9)、(1、4、6)の2組が得られました。

②a=2のとき
元の式にa=2を入れてみると、1/2 + 2/b + 3/c = 2、つまり2/b + 3/c = 3/2です。
a<b<c.であることから、bは3以上の整数です。b=3から順に調べていくのですが…。

とりあえず、b=3としてみると、2/3 + 3/c = 3/2、つまり3/ = 5/6となります。
これを満たすcの値を求めるには、まずc/3 = 6/5と両辺の逆数を取ると良いでしょう。c = 6/5×3=18/5=3.6と、値が整数になりません。

b=4とすると、2/4 + 3/c = 3/2、つまり3/c = 1となり、c=3という値が得られますが、これはb<cの条件を満たしません。
bをこれ以上大きくすると、cは小さくなるので、a=2のときに条件を満たすb、cの値はもうありません。

さて、この先a=3、4、5…と、どこまで調べたら良いのでしょうか?

実は、a<b<cであることから、a=2であれば、bは3以上、cは4以上の整数です。ここでa=2、b=3、c=4と、考えられる中で1番小さい数を式に入れて計算してみると、1/2 + 2/3 + 3/4 = 23/12 となり、条件式の値である2よりもわずかに小さくなっています。

ここから、分母にあるa、b、cの値を大きくしていくと式の値は小さくなっていくので、a=2以上の範囲には条件式を満たすような(a、b、c)の組は存在しないことが分かります。

以上より、求める(a、b、c)の組は①で得られた(1、3、9)、(1、4、6)の2組で全てであるということが分かりました!

答えの2組を求めることができた人も、その2組以外には存在しないことまできちんと確かめられたでしょうか?

まとめ

この問題のように、a→b→cのように順番を決め、3つの数のうちの1つを固定しながら他の2つを書き出していくような解法は、「場合の数」や「いもづる算(不定方程式)」など、中学受験算数の中でもよく出てきますね。

例:大中小3つのサイコロを振ったとき、出た目の和が10になる場合の数は?
10円、20円、50円切手を組み合わせて260円を作るとき、組み合わせは全部で何通り?

せっかく最後まで読んでくれたみなさんは、ここで見た「3つのうち1つを固定して、順に考える」という考え方を、これまでの経験と関連付けて再確認しておきましょう。

今回はここまで。

算数ドクター