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投稿日:2022年06月28日

テーマ: 算数

論理クイズ~帽子の色当て~

みなさんこんにちは、受験Dr.の桑田陽一です。
6月の講師ブログをお届けします。

今回は、論理クイズを1題。帽子の色当ての問題です。
似たような問題を目にした人はいるかもしれませんが、これは少し難しめかも?

では、さっそく問題にまいりましょう。

問題

ある休日の朝、そうた君とはるかさんの兄妹は、お母さんからこんな話をされました。

今日は、ちょっとしたゲームをしてみましょう。

2人に目隠しをしてもらって、その間にお母さんがそれぞれ赤か白の帽子をかぶせます。
赤と白が1つずつかもしれないし、もしかしたら2人とも赤とか2人とも白かもしれません。
2人に帽子をかぶせた後に目隠しを取るけれど、自分の帽子の色は見てはいけません。
もちろん、相手の帽子の色は見てもいいわよ。

さて、目隠しを取ったあとに、2人のうちのどちらか1人でも自分の帽子の色を当てることができたら、ゲームはあなたたちの勝ち。夕ご飯は2人の好きなものを作るわよ!
でも、2人とも色を当てられなかったら、今日は2人で1日お母さんの手伝いをしてもらおうかな…。
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帽子の色を当てるときには、2人とも黙ったまま、同時に紙に自分の色だと思う答えを書きます。
目隠しをされてから答えを書くまでの間は2人で話すことはできません。
ただし、ゲームを始める前、目隠しをされるまでの間に2人で作戦を立てることができます。
できるだけゲームに勝つ可能性を高くするために、2人はどんな作戦を立てると良いでしょうか?

問題は以上。ゲームの条件は分かりましたか?
例えば、「何かのサインを決めておく」というのは無し。
純粋に論理だけで色を当てるための作戦を考えてくださいね。

問題の意味が分かった人であれば学年にかかわらず考えることはできますが、初めてだとかなり難しいと思います。

以下、少しずつ、ヒントを。

① 「2人とも」でなく、「どちらか1人でも」当てることができれば勝ちです。

問題を読み返すと、お母さんは確かにそう言っていますね。

② 正しい作戦を立てると、実は100%確実に勝つことができます!

もし2人が当てずっぽうに色を言ったとしても…。

そうた君 ○ はるかさん ○
そうた君 ○ はるかさん ×
そうた君 × はるかさん ○
そうた君 × はるかさん ×

この4通りの場合が考えられ、このうち上の3つは少なくとも1人が当てています。
つまり、このゲームに兄妹が勝てる確率は3/4=75%。
もともと、結構有利なゲームですね。
ただ、良い作戦を立てると100%の確率で勝つことができるのです!

③ 正しい作戦を立てたとき、帽子の色を当てるのは必ず「1人だけ」です。

実は、2人とも色を当てるのではなく、どんな場合にも「兄妹のどちらか1人だけ」が確実に当たるようにする作戦があります!

さて、次の最終ヒントはこの問題のかなり核心に近いところ。
自分でもう少し考えてみたい人は、ここで一旦読むのを止めた方が良いかもしれません。





④2人の作戦会議

作戦会議を始めた2人ですが、なかなか良い案が思いつきません。
そんな中、妹のはるかさんは、ふとつぶやきました。

「なんとなく、ママは2人に同じ色の帽子をかぶせそうな気がするから、私はお兄ちゃんの帽子と同じ色を答えることにしようかな…」

それを聞いたそうた君は、「あ、そうか!」と作戦をひらめきました!

ヒントはここまで。
さて、そうた君と同じように良い作戦が思いつきましたか?

では、解答です。

解答

はるかさんは、そうた君の帽子と同じ色を、そうた君は、はるかさんの帽子と違う色を答える。
※2人の役割は逆でもOK。

「あ、そうか!」とピンと来たでしょうか?
今ひとつの人もいるかもしれませんね。

以下、少し解説します。

帽子の色の組み合わせは、以下の4通り。

そうた君もはるかさんも赤
そうた君もはるかさんも白
そうた君が赤で、はるかさんは白
そうた君が白で、はるかさんは赤

これらを大きく分けると、初めの2つは「2人の帽子の色が同じ」で、後の2つは「2人の帽子の色が違う」ということになります。

はるかさんは、そうた君の帽子と同じ色を答えるので「2人の帽子の色が同じ」ときに正解できます。
そうた君は、はるかさんの帽子と違う色を答えるので「2人の帽子の色が違う」ときに正解できます。

結局、どの場合であっても、はるかさんかそうた君のどちらか1人(そして必ず1人だけ)が確実に正解でき、ゲームに勝てることになるのです!

このような論理クイズを直接入試に出す学校もありますし、「赤の場合、白の場合…」などと場合分けをして考える作業は、規則性や場合の数の単元でよく使います。
こういうのが好きな人は、算数の勉強の息抜きに考えてみるのも良いでしょう。

また、面白い問題を紹介しますね。

今回はここまで。

算数ドクター