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投稿日:2024年04月22日

テーマ: 国語

言い換える力と語彙力

こんにちは、太田 陽光です。
今回は言い換え問題、および、語彙力強化の一つの方法について書きます。

国語のテストでは、言い換え問題が非常によく出題されます。

問いの文言に、「どういうことですか。」とあるのが、言い換え問題です。
SAPIXでは、「どのようなことですか。」と表記されることもあります。

記述での言い換え問題では、本文の言葉をそのまま使って書くものもあります。
記述問題ではとくに記述の基本を身につけるために、まずはそのままの言葉を使って書かせることが行われます。
私の授業でも、記述問題を基本から教えていくときには、本文そのままの表現で書かせています。

ただし、実際の入試では、本文そのままの表現では、多くの点数を取れないことがあります。
特に最難関校でその傾向が強いようです。
例えば開成中学は、問いに「自分の言葉で説明しなさい」という文言を用いていた時期もあります。(2014年・2015年)
自分の言葉で書く=言い換える
ということです。
これは、受験生が問いの答えをきちんと理解しているかを確かめるのに、非常に有効ですが、難度も非常に高くなります。

SAPIXのテスト・教材でも、記述問題では、本文の表現を言い換えた模範解答を作っています。
言い換える力が最難関の中学校に受かるのに必要なものだというSAPIXの考えがうかがえます。

ではどのようにして、言い換え力をつけていけば良いのでしょうか。

私は言い換え力の入門編として、選択肢問題の解き直しを勧めています。

例えば次のような問題があったりします。

 

今度の日曜日に一緒に釣りに行くとお父さんと約束していた。
僕はその日が来るのが楽しみで、首を長くして待っていた。
ところが、である。
なんとお父さんはその日に仕事を入れてしまったのだ。
当然釣りに行くのは中止。
僕は父をずっとにらみつづけていた。

問題 「父をずっとにらみつづけていた」とありますが、そのときの僕の気持ちとして適切なものを次から選び、記号で答えなさい。

ア 父が一緒に釣りに行く約束をやぶったことに怒(おこ)る気持ち。
イ 父に仕事よりも釣りに行きたい気持ちにさせられなかった自分に怒(いか)る気持ち。
ウ 父が自分と釣りに行くことを忘れて、仕事を入れてしまったことに立腹する気持ち。
エ 釣りに行くことが中止になったことに対し、憤(いきどお)る気持ち。

 

答えは、アになりますが、
そのときに、怒(おこ)るの類義語が他の選択肢にあることに注目して下さい。
「怒(おこ)る」 「怒(いか)る」 「立腹する」 「憤る」
これらが似た意味の言葉であることが、選択肢問題の解き直しで学習することができます。

さらに、「おこる」と「いかる」が同じ漢字であることや、
「憤る」という小学生には難しい言葉を知り、
語彙力も鍛えられます
私は、1つの意味をいくつもの言葉で表現できること、つまり「言い換える力」は語彙力だと考えます。

この選択肢問題で解き直しを行うことで言い換え力を身につける方法は、
記述問題において、本文と模範解答の表現を比較するというやり方で応用もできます。
本文の表現を模範解答ではどのように言い換えているのかを確認することで、語彙力がつきます。

語彙力をつける市販の教材も、新しい言葉を知るという点でよいのですが、
自分の知っている言葉を、別の表現で言い換えるトレーニングをすることで、語彙力を鍛えてほしいと思います。

国語ドクター