最新記事 2019年05月15日

テーマ: 算数

単位の話① ~キログラム原器の引退~

皆様こんにちは。大木快です。

5月20日は世界計量記念日です。メートル条約が締結された日が1875年のこの日。
そして、今年の5月20日はメモリアルな記念日になります。というのも…

この日、1キログラムの定義が変わる

からです。

どのように変わるのでしょうか。

今まではパリにある「国際1キログラム原器」という金属のかたまりを1キログラムと定め、これを基準に物の重さを表していました。

キログラムは当初、水1Lの重さと定義されていました。
リットル、ということは…元をたどれば長さの単位メートルから発生しているということになりますね。

その後、水は温度によって体積が変化するので、アバウトすぎて都合が悪くなり、
「これが1キログラムだ!」という基準となる「原器」が作られました。

時代を経て、現在の1キログラム原器(これからは「旧」1キログラム原器と呼ばれるのでしょうか)が作られたのが1889年。白金とイリジウムの合金製で、当時としては最高の技術で作られたものと思われます。

さて時が流れ、科学技術が進むと、問題が起こります。

高い精度で測ると、
重さが変わる!

この原器を洗浄したところ、わずかに軽くなっていたそうです。その重さは
5/100000000 g
だったそうです。たとえわずかでも、重さが変わってしまっては世界中が困りますね。

もう一つ、心配なことがあります。

盗まれたらどうしよう

厳重に管理しても、物は物。未来永劫絶対盗まれない保証はないですよね。
盗難以外にも、事故やテロなど、いろんな可能性が考えらます。
いや、待てよ。盗まれる以前に、
傷ついたらアウト
でした。重さが変わってしまいますから…

重さ以外の、長さや時間などの基本的な物理量が普遍的な値で再定義される中、キログラムだけは、原器頼みのままだったのです。

今回これを、普遍的な物理量(プランク定数)によって定義しなおすことになりました。

かくしてメートル原器はその役割を退き、その新しい定義に置き換わるのが、
2019年5月20日なのです。

そろっていないと、困る。

算数では、いつも単位をそろえて計算するように注意していると思います。
ところが、その1キログラムの質量が各地でまちまちだと、すべての前提が崩れてしまいます。1の大きさが異なると、もはや計する意味がなくなってしまう。

歴史をひも解いてみても、度量衡の単位が重要だったことがわかります。豊臣秀吉による度量衡の統一によって、年貢をごまかすことができなくなりました(おなじみの太閤検地)。

入試ではこう聞かれる!

さて、今春の入試で、早くもキログラムの定義に関する出題がありました。
都市大等々力の問題をご紹介します。(一部改めています)

問題

問1
国際キログラム原器は、白金イリジウム合金でできています。すべての物質の質量はこの「キログラム原器」の何倍か、で定められています。そのために求められるこの白金イリジウムの性質を1つ答えなさい。

問2
キログラム原器は何重もの容器で保管されています。この何重もの容器は、外部からの(    )の影響を少なくする役割があります。空欄に入る語を答えなさい。

問3
もし仮にこの合金が軽くなり続け、「キログラム原器の質量が現在の1/2倍になった新しい質量の定義」がつくられたとします。そのとき、以下のア~ウの量は、現在の値に比べてどのように変化するでしょうか。(  )の中から1つ選びなさい。

ア 同じ温度で測定した、水10㎤の質量
(2倍になる 1/2倍になる 変わらない)

イ 同じ温度で測定した、100gの水に溶けることができる食塩の最大質量
(2倍になる 1/2倍になる 変わらない)

ウ 同じ温度・圧力で測定した、酸素10gの体積(㎤)
(2倍になる 1/2倍になる 変わらない)

解答解説は…次回のお楽しみとさせて頂きます!