麻布中の国語 入試問題のはなし その2【vol.233】



第233号 2015-06-30

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麻布中の国語の問題のはなし その2

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いよいよ明日から7月!
夏休みまでカウントダウンが始まりました。
「夏がんばれば、なんとかなる!」
なんて思っていらっしゃいませんか?
夏休みまでの間の3週間だって、
立派な学習期間です。

この3週間の間に、
過去の模試を調べて、
課題を細かく洗い出しておきましょう。
それをリストにしておいて、
夏休み前までに極力リスト項目を減らしておきましょう。

そうですね、リスト項目は各教科30〜50個は挙げておきます。
「 四則演算の工夫 」
「 論説文の要旨 」
「 月の満ち欠け 」
「 九州地方の工業 」
など。
これくらいの細かさで30〜50個は、
結構なボリュームです。

余ったら、夏休みの隙間学習時間に充てなければなりません。
そう思えば、少しでも減らしておこうと思いませんか?

毎年この時期になると必ずお伝えするのがこの言葉。

「夏の勝負はもう始まっています!」

さて、今回は、前回から引き続き、
出題が優れている
麻布中の国語についてのお話です。

麻布中の国語の入試問題の話 その2

前回、麻布中の国語には、
小学生対象として適切な面白さとむずかしさがある、
というお話をいたしました。

今回はその続きとなります。

前回、お伝えしたように、
一般には視点人物がそのまま中心人物で、
その中心人物の成長物語が多いのですが、
この2014年度の麻布中の入試問題は、
視点人物を通した別の人物の成長物語という点が
難解極まりないんです。

ちょっと小難しくなりましたので、
わかりやすく説明いたしましょう。

視点人物とは、
物語の中で唯一心中を明らかにされる存在であるといいました。
この場合、「クリスティ」の独白(心中の独り言)で、
物語は進んでいくわけですから「クリスティ」が視点人物です。
で、その「クリスティ」の目を通して
「つよし」の成長が語られる。
つまり、「つよし」の心中は伏せられ、
クリスティの見聞きした「つよし」の表層部分(表情、行動、台詞など)
からしか「つよし」の内面は類推できないのです。

もっと簡単に言うと、
主人公の気持ちはわかりやすくとも、
主人公から見た場合の脇役の気持ちの読みとりは
より高度、難しいということ。

さすが、麻布中。

少年少女の成長物語を出題する学校は数あれど、
これほどスマートに
描かれざる内面の成長を読みとらせる出題をするとは。

ですから問十一。
ラスト問題に
「クリスティ」からしか語られない「つよし」の内面を
読み取れているかどうかを問う記述問題が
「ていねいに説明しなさい」という条件付きで
出題されるわけです。

これ、
完全解答が書けた受験生、決して多くはなかったと思います。
部分点狙いするべき記述ですが、
それでもこの記述を完璧に書きたい!
そんな国語講師のプロ魂を刺激する良問です。

実は、この問十一以外は、決して難問じゃない。
もちろん、問九・問十あたりの正答率も高くないでしょう。

それでも、
このあたりは、
一度や二度、いやもっと
塾のテキストやテストで出会っている問題の種類です。

間接的心情変化は、
直接的心情変化しか扱っていない
塾のテキスト、テストでは
出会ったことがないのですね。

でも、
もちろん、攻略可能です。
これをお読みの方々は、
心中が明らかにされない登場人物の
表情、台詞、行動、しぐさなどから
心情を読み取るという訓練をすればいいのです。
つまり、視点人物である中心人物以外の
いわゆる脇役の心情を読み取る練習をする、
ということですね。

そのために、
ひたすら「身体表現」をチェックし、
それぞれの身体表現を「心情語」に置き換える練習をするのです。

たとえば
「 次郎は唇をかんでうつむいた。 」
この「身体表現」から「 口惜しさ 」と「 落ち込む気持ち 」の
両方が読み取れたら正解です。

後は、文脈にあわせて適宜流れがいいように書き換えます。

そして、
今回の麻布中の出題は、もう一点、
重要なことを教えています。
それは、つまり
逆に言えば、
「心中の言葉というのが、どれだけ心情理解において重要か」
ということなのです。

心中が明かされている視点人物の心情把握は、
楽なのです。
ですから、
「クリスティ」の心情把握のほうが、
「つよし」の心情把握に比べて楽だということです。

ですから、
お子さまに( )でくくれる、心中のつぶやきは必ずチェックするよう、
伝えてください。

( )がついていない心中のつぶやきは、
小学生、みごとにすっ飛ばして読んでくださいますから、
訓練しがいのある部分です。

先ほどの「身体表現」を心情語に置き換える練習とあわせて、
お子さまにお伝えください。

さて、今回は、麻布中の国語のお話でしたが、
この「身体表現」を心情語に置き換える練習と
( )ついていない心中のつぶやきのチェックは、
物語文を出題する学校であれば、
どこでも重要な対策です。

ぜひ、ご活用になって、
お子さまの中学受験の成功にお役立てください!


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