第14回 西暦問題いろいろ|受験Dr.が「算数」の偏差値をアップさせる奥義を伝授!

  • ログイン
  • 新規会員登録
  • サイトマップ
  • 採用情報

第14回 西暦問題いろいろ

今後の目次

第14回 西暦問題いろいろ ← 今週はココ!
第15回 数当て問題~ヒントの読み方~
第16回 数表の読み方・考え方

いろいろな学校の入試問題で、その年の西暦を使った問題が出題されます。
その内容も、計算問題から規則性、数の性質と様々です。
西暦問題は大きく分けて
①数字そのものの性質(約数など)を使った問題
②数字そのものに意味がない(2016回目など)問題

の2種類あります。今回は①の数字そのものの性質を使った西暦問題を題材に、どのように考えていくかのヒントを学んでいきましょう。

ポイントが身につく問題実践講座

問題

ある整数に、その整数の各位の数字をたしたら2008になりました。
そのような数字を2通り求めなさい。

(2008 算数オリンピックトライアル)

【解くための考え方】
まずは、先ほどの問題を直接お子様に解かせてみてください。

正解はこちら

どうでしたか?正解にたどりつけたでしょうか?
正解できなかった場合、どこまで解き進めることができたのかが重要です。

今後受験Dr.では、「難問攻略イメージde暗記ポイント」カードを作成する予定です。
今回は、西暦の数字の特徴をとらえて解く問題です。
その特徴をとらえるためのポイントを2つご紹介します。

今回使うポイント

【ポイントNo.1】「記号・文字を使って問題文を式に表す」

この講座でも何回が使用しているポイントです。
文章で書かれた内容を理解するために、数字・式で表現することは算数の世界では大切な方法です。

数全体を記号で表す方法もありますが、ここでは一つの位ごとに記号を設定する方法を使います。

まず、条件を満たす整数が何ケタの整数かを考えます。
5ケタ以上の整数の場合、各位の和をたしても5ケタ以上になりますので、条件を満たせません。

3ケタの場合、最も大きい999の場合でも
999+9+9+9=1026 になり、2008より小さいので
3ケタで条件を満たす数はありません。2ケタ以下も同じです。

したがって、求める整数は4ケタの数だとわかります。
そこで、4ケタの数をABCDと表します。

このABCDを用いて問題文を式にすると、
ABCD+A+B+C+D=2008
となります。

このままでは解けませんので、各位ごとに文字を分けていきます。
つまり、ABCD=A×1000+B×100+C×10+D×1
としていきます。

そうすると、問題文の式は
A×1001+B×101+C×11+D×2=2008
となりました。
あとはこの式を満たすA、B、C、Dを探していくだけです。

【ポイントNo.4】「候補が5個以下になったら調べの作業」

A×1001+B×101+C×11+D×2=2008
を満たすA、B、C、Dを探していきます。

ここで「探す」という表現をしましたのは、ここからさらに数の性質を考えていき、条件を見つけて絞り込むことも可能ですが、今の段階で正解となる数字の候補も少なくなったため、新たな条件を考える時間よりも作業して答えを見つける時間のほうが少なく効率的であるからです。

まずはAに注目します。
Aは千の位の数ですから、1以上9以下の整数です。
そのうち、この式を満たすAは1か2になります。
そこで、A=2の場合とA=1の場合に分けて考えます。

①A=2の場合
B×101+C×11+D×2=2008-2×1001=6
B、C、Dは0以上9以下の整数です。
したがって、B=0、C=0がまず決まり、
D×2=6よりD=3となります。

②A=1の場合
B×101+C×11+D×2=2008-1001=1007
ここで、C×11+D×2だけ考えます。
この式の答えの最小値は、C=0、D=0のときの0です。
また、この式の答えの最大値は、C=9、D=9のときの117です。

よって、B×101の最小値は、1007-117=890
最大値は1007になります。

Bの値として考えられるのは、
890÷101=8あまり82
1007÷101=9あまり98 より、8か9となります。
そこで、A=1の場合をさらに場合分けをして、
②-ア A=1、B=9の場合と
②-イ A=1、B=8の場合とに分けて調べます。


②-ア A=1、B=9の場合
C×11+D×2=98
この式を満たす、0以上9以下の整数C、Dは
C=8、D=5だけになります。

②-イ A=1、B=8の場合
C×11+D×2=199
この式を満たす、0以上9以下の整数C、Dはありません。

以上の結果から、条件を満たす2つの整数がわかりました。

他の西暦の数字でも、この問題に当てはめることができます。

例題 ある整数に、その整数の各位の数字をたしたら2016になりました。
そのような数字を2通り求めなさい。

ぜひ先ほどのポイントを参考に考えてみてください。

【正解】

2003、1985

例題の正解…2007、1989

開成・筑駒・灘の問題で今日のポイントを使う

問題 2015 開成中(3)

いろいろな整数や分数について、<>を次のように決めます。
が整数のとき、<>=とします。
が0と1の間の分数のとき、はじめにをこれ以上約分できない分数で表します。

これがとなったら、
>=<>=

とします。
が1より大きい分数のとき、はじめに数を帯分数にしてから、これ以上約分できない分数で表します。

これがとなったら、
>=<>=

とします。

<3>=3、

20>=<10>=10、
>=3+2=5、
16>=<>=4+5=9、
20
<2>=2+6+5=13、
42>=<4>=4+5+1=10
10

(3)アとして、

、…、20142015
2727272727

のように、分子が1以上2015以下の整数で、分母が27である分数を考えます。
この中で、<>=54となる数をすべて取り出して、小さいものから順に並べます。
このとき、小さいほうから5番目の数と、大きいほうから5番目の数をそれぞれ求めなさい。

【解説】

どこから手をつけてよいか迷います。
しかし、問題文にヒントは隠されています。
問題文に下線が引かれて強調されている部分がヒントになります。
つまり、下線が引かれた3つの場合に分けて考えていくと解きやすくなります。

①アが整数のとき <ア>=ア=54より、

54となる数です。
27

27×54=1458より、

1458が条件を満たします。
27

②アが0と1の間の分数のとき

<ア>=<>=イ+ウ=54です。

ここで、

と表すことができます。
27

ポイントNo.1
イは27の約数になりますので、3、9、27が考えられます。
しかし、イのほうがウより大きい数ですので、考えられる(イ、ウ)の組み合わせはありません。

③アが1より大きい分数のとき

<ア>=<イ>=イ+ウ+エ=54です。

②の場合と同じく、ウは27の約数ですから3、9、27になります。
そこでイ、ウ、エの組み合わせを「ウはエより大きい」「ウとエは互いに素(最大公約数が1)」という2つの条件に注意しながら表にしていきます。
ただし、小さいほうから5番目と大きいほうから5番目を答える問題なので、整数の部分(イ)の5番目までを書き出せばよいことになります。
整数の部分(イ)の5番目までを書き出す

よって、小さいほうから5番目は

209になります。
27

大きいほうから5番目は、

①の場合の1458がありますので、
27
1167になります。
27
小さいほうから5番目 209
27
大きいほうから5番目 1167
27

前回のチャレンジ問題の答え

問題

3枚の皿に石がそれぞれ1個、4個、5個のっています。
その皿からA君、B君の順に交互に石を取っていくゲームをします。
ルールは次のようになります。

・自分が取る順番のときは、石の残っているいずれか1枚の皿から1個以上の石を取る
・最後の石を取った方が勝ち

石の入った3枚の皿
最初の石の状態を(1、4、5)と表します。
例えば、最初にA君が5個の石ののっている皿から3個の石を取ったとき、残りの石の状態は(1、4、2)となります。
次の各問いに答えなさい。

(1) A君が取る順番のとき、残りの石の状態が(0、2、2)となっていたなら、必ず勝つ方法があるのはA君、B君のどちらですか。
(2) A君が取る順番のとき、残りの石の状態が(1、3、3)となっていたなら、必ず勝つ方法があるのはA君、B君のどちらですか。
(3) このゲームは正しい手順で行うと、先手、後手のどちらかに必勝法があります。必勝法があるのは先手A君、後手B君のどちらですか。

(2011 高輪 改題)

【解説】

(1)A君の石の取り方は、「2個の石を取る」「2個のうち1個の石を取る」の2通り考えられます。 それぞれの場合を考えていきます。

①2個の石を取る場合
B君が取る順番のとき、残りの石は(0、0、2)になっています。
この場合B君は残った2個とも取れば勝ちになります。

②2個のうち1個の石を取る場合
B君が取る順番のとき、残りの石は(0、1、2)になっています。
ここでB君の取り方は「1個ある皿から1個取る」「2個ある皿から1個取る」「2個ある皿から2個取る」の3通り考えられます。

しかし、「1個ある皿から1個取る」場合と、「2個ある皿から2個取る」場合は、次のA君の順番で必ずA君が最後の石を取り勝ってしまうため、B君はその取り方を選べません。

「2個ある皿から1個取る」場合、次のA君の順番のとき(0、1、1)になっています。
このときA君は1個取るしかできずその次のB君の順番のときに、B君が最後の石を取ることになります。

したがって、A君がどのように取ってもB君が必ず勝てる取り方が存在するため、必ず勝つのはB君になります。

答え B君

(2)石の取り方がたくさん考えられますので、表に整理して考えます。
ただし、(1)の結果から次のことがわかっています。
★相手に(0、0、□)の状態で順番を回すと相手が必ず勝つので、そのように残る取り方はしない。
★相手に(0、1、2)の状態で順番を回すと相手が必ず勝つので、そのように残る取り方はしない。
★相手に(0、1、1)の状態で順番を回すと自分が必ず勝つので、そのように残る取り方を選ぶ。
★相手に(0、2、2)の状態で順番を回すと自分が必ず勝つので、そのように残る取り方を選ぶ。

Aは1回目で自分が必ず勝てる(0、1、1)や(0、2、2)にはできません。
そこでまず「1個の皿から1個の石を取った場合」を考えます。
1個の皿から1個の石を取った場合
この場合、B君がどのように取っても、それぞれの場合に対してA君が必ず勝つ取り方が存在します。
したがって、必勝法があるのはA君になります。

なお、A君が最初に「3個の皿から1個取る場合」も必ずA君が勝ちます。
なぜなら、B君の全て取り方に対して、
A(1、2、3)⇒B(0、2、3)⇒A(0、2、2)必勝
A(1、2、3)⇒B(1、1、3)⇒A(1、1、0)必勝
A(1、2、3)⇒B(1、0、3)⇒A(1、0、1)必勝
A(1、2、3)⇒B(1、2、2)⇒A(0、2、2)必勝
A(1、2、3)⇒B(1、2、1)⇒A(1、0、1)必勝
A(1、2、3)⇒B(1、2、0)⇒A(1、1、0)必勝
と必ず勝てる取り方があるからです。

逆にA君が最初に「3個の皿から2個取る場合」や「3個の皿から3個取る場合」はB君が(0、1、1)の状態になるように石を取れるため必ずB君が勝つことになります。

答え A君

(3)
(1)と(2)の結果より、
(0、□、□)または(1、2、3)と残るように石を取れば必ず勝つことがわかりました。(□は同じ数が入ります)
例えば(0、□、□)のときは、相手が取った個数と同じだけ別の皿から石を取れば、必ず(0、1、1)の状態を残すことができます。

ではこのゲームのスタート(1、4、5)のときはどうでしょう。
A君が1回目で必勝となる個数を残せれば、A君が必ず勝ちます。
A君の考えられる取り方とその残り個数は、
(1、4、5)⇒(0、4、5)
(1、4、5)⇒(1、3、5)
(1、4、5)⇒(1、2、5)
(1、4、5)⇒(1、1、5)
(1、4、5)⇒(1、0、5)
(1、4、5)⇒(1、4、4)
(1、4、5)⇒(1、4、3)
(1、4、5)⇒(1、4、2)
(1、4、5)⇒(1、4、1)
(1、4、5)⇒(1、4、0)
となり、必勝パターンにすることはできません。

逆にB君は自分の順番のときに、A君がどのように取っても必ず必勝となる個数を残せる取り方があります。
(1、4、5)⇒(0、4、5)⇒(0、4、4)
(1、4、5)⇒(1、3、5)⇒(1、3、2)
(1、4、5)⇒(1、2、5)⇒(1、2、3)
(1、4、5)⇒(1、1、5)⇒(1、1、0)
(1、4、5)⇒(1、0、5)⇒(1、0、1)
(1、4、5)⇒(1、4、4)⇒(0、4、4)
(1、4、5)⇒(1、4、3)⇒(1、2、3)
(1、4、5)⇒(1、4、2)⇒(1、3、2)
(1、4、5)⇒(1、4、1)⇒(1、0、1)
(1、4、5)⇒(1、4、0)⇒(1、1、0)
したがって、このゲームで必勝法があるのはB君になります。

答え B君

今日のポイントを使って問題にチャレンジ!

問題

下のア、イ、ウ、エに当てはまる整数を求めなさい。

ア×ア+イ×イ+ウ×ウ+エ×エ=2017

ただし、ア、イ、ウ、エは以下の条件を満たす全て異なる数です。

(条件)
・イ、ウ、エはアの約数
・ウ、エはイの約数
・エはウの約数

(受験Dr.オリジナル問題)

※解答解説は次回掲載いたします。