第11回 調べる立体図形・サイコロ|受験Dr.が「算数」の偏差値をアップさせる奥義を伝授!

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第11回 調べる立体図形・サイコロ

今後の目次

第11回 調べる立体図形・サイコロ ← 今週はココ!
第12回 数の性質と場合の数の融合問題
第13回 ゲームの達人~勝利の方程式~

今回は身近な立方体であるサイコロを題材にした問題です。
サイコロの面には数字(目)があるため、その数字の組み合わせも考えさせる問題がよく出題されます。
その多くは場合の数として調べていく必要があります。
もちろん立体図形としてどのように転がるのかを考える力も必要になります。
その意味でサイコロの問題は、「②解答にたどり着くまでの作業量が膨大で、効率良い解き方が見つかりにくく難しい」問題と言えるでしょう。
今回は、立体図形の転がる問題をどのようにまとめていけばよいのか、そのポイントを説明してまいります。

ポイントが身につく問題実践講座

問題

下の図でスタートからゴールまでサイコロを転がしていきます。
スタートの位置では1の目を上にして、そのあとは一度も1の目が上にならないようにゴールする転がし方を点線に沿って書き入れなさい。
ただし、同じところを2度通ったり、遠回りをしてはいけません。
(1マスはサイコロ1つ分の大きさです)
1999年ジュニア算数オリンピックファイナル問題
(1999 ジュニア算数オリンピックファイナル)

【解くための考え方】
まずは、先ほどの問題を直接お子様に解かせてみてください。

正解はこちら

どうでしたか?正解にたどりつけたでしょうか?
正解できなかった場合、どこまで解き進めることができたのかが重要です。
サイコロが転がり、見える目を考える問題ではそれぞれの場所でどの目がどう見えていたかを記録していくことが大切です。

今後受験Dr.では、「難問攻略イメージde暗記ポイント」カードを作成する予定です。
今回は、その中から「サイコロが転がる問題を解いていくためのポイント」を2つご紹介します。

今回使うポイント

【ポイントNo.26】「サイコロは上から押しつぶす」

サイコロを上から見て、見える面の目の数に関する問題です。
与えられた図に上から見える目の数を書き込んでいけばよいのですが、
その都度どの目が上に来るかを考えていくと、どこかでミスしてしまいそうです。
そこで、立体をつぶしてたくさんの面を平面上に描くポイントNo.26を使います。
サイコロを上から押しつぶす
図のようにサイコロを上から押しつぶすと、上の面と側面の合計5つの面を表すことができます。
目を数字に変えて、
サイコロを上から押しつぶした図
となります。
この図を使って、転がったときの目を記録します。

たとえば、右に転がると
右に転がした場合 右に転がした場合の図 となります。

【ポイントNo.27】「側面を4つまとめて考える」

スタート地点に1の目が上になるようにサイコロを置きます。
まずは、右方向にだけ転がした場合の目を考えます。
右にだけ4回連続で転がした場合
一番左と一番右は同じ目の組み合わせになっています。
このように、サイコロの側面は4面なので4回転がすと同じ目の組み合わせになります。
サイコロを転がす問題では、この4つずつを基準に考えていくと周期がわかることがよくあります。

今回、同じところを2回通ったり遠回りをしたりしないということは、
下方向に4回・右方向に4回転がすことになります。
そして、最初に下方向に転がしたときと最初に右方向に転がしたときは、線対称になる動き方が必ずありますので(下の図参照)、最初に右に転がした場合のみ考えます。
線対称になる動き方
右に4回連続で転がすと1は上の面に出てしまうのでダメです。
また、3回連続で転がすと1は左の面に来ます。
このあと何回手前に転がしても、もう1回右に転がすと必ず1の面が上に来ますのでこれもダメです。
右に3回連続で転がす
2回連続で右に転がした場合、手前に1回転がした時点で、1の目が後ろに来ます。
このあと右に何回転がしても次に手前に転がした時点で必ず1の目が上に来るので、これもダメです。
右に2回連続で転がす
残ったのは、1回右に転がして次に手前に転がすときです。
何回手前に転がしても1は常に右の面に来ます。
この状態から2回連続で右に転がすと、1が左の面に来てしまい、次に右に倒したとき、1が上の面に来てしまいダメです。
右に1回、手前に転がしてから右に2回連続で転がす
ではどうすればよいのでしょうか?
その答えは、「右に1回転がし、手前に数回転がしたあと、1回だけ右に転がし、1の面が底面にあるときに手前に転がし、1の位置を動かす」という方法になります。
何回手前に転がすかで場合分けして調べていきますと
1回右⇒3回手前→1回右⇒1回手前と動かしたときに、1の面が後ろに来ます。
1回右⇒3回手前→1回右⇒1回手前と動かしたとき
あと2回右に転がせば、1の目を上に出さずにゴールに着くことができます。
したがって、この進み方と右・手前を全て逆にした進み方の2通りが答えとなります。

【正解】

下の図のどちらか
正解1 正解2

開成・筑駒・灘の問題で今日のポイントを使う

問題 2010 筑波大附属駒場中
サイコロは向かいあう面の目の数の和が7になっています。
サイコロを図1のように見ると、3つの面を同時に見ることができます。
このときの見えている3つの目の数の和を『三面和』ということにします。
図1の状態の三面和は6です。
平面上に置いたサイコロを、底面のひとつの辺を軸に回転させて倒したときの三面和を考えます。
図2のように、図1の状態から右に1回倒したときの三面和は7です。
また、図3のように図1の状態から手前に1回倒したときの三面和は9です。
下の問いに答えなさい。
2010 筑波大附属駒場中大問1図1 2010 筑波大附属駒場中大問1図2 2010 筑波大附属駒場中大問1図3

(1)サイコロを、右に続けて倒していきます。
図1の状態から2回倒したとき、図1の状態から3回倒したとき、図1の状態から4回倒したときの三面和をそれぞれ答えなさい。
2010 筑波大附属駒場中大問1(1)
(2)サイコロを、まず右に1回倒し、次に手前に1回倒し、次に右に1回倒し、次に手前に1回倒し、次に右に1回倒し、……というように倒していきます。
2010 筑波大附属駒場中大問1(2)
(ア)図1の状態から2回倒したとき、
図1の状態から3回倒したとき、
図1の状態から4回倒したときの 三面和をそれぞれ答えなさい。

(イ)図1の状態から、2010回倒したときまでの2011個の三面和の 合計はいくつですか。

【解説】

(1)サイコロを押しつぶした図を使って、転がしたときの目の様子を書いていきます。←ポイントNo.26
(1)サイコロを押しつぶした図を使った、転がしたときの目の様子
それぞれ上・正面・右にある数字の和が三面和になります。
2回倒したとき…12
3回倒したとき…11
4回倒したとき… 6

(2)(ア)こちらもサイコロをつぶした図を書いていきます。
(2)サイコロを押しつぶした図を使った、転がしたときの目の様子
三面和はそれぞれ求めていきます。
2回倒したとき…10
3回倒したとき…15
4回倒したとき…14

(イ)このようにとても多い回数や個数を考えるときは、何か規則や周期があると考えてよいでしょう。
サイコロの場合1~6までしかありませんので、今回は周期(繰り返し)を見つけます。
そこでさらに倒していきます。
(2)サイコロをさらに倒していく
6回倒したときの目の組み合わせが最初の状態と同じになります。
また、このあと倒れる方向も最初と同じ右なので、この目の出方が続いていくことになります。


したがって、三面和は6、7、10.15、14、11と6つずつ繰り返します。

2011÷6=335あまり1

(6+7+10+15+14+11)×335+6
=63×335+6
21111

前回のチャレンジ問題の答え

問題

図1のような立体を「三角すい」といい、その体積は、
(底面の三角形の面積)×(高さ)÷3
で求めることができます。
図1 三角すいの体積
図2のような底面が正方形の直方体があります。
辺AEを3等分する点をAに近い方から順にP、Qとします。
図3は、この立体を真上から見た図と、真横から見た図です。
この立体から、まず三角すいPEFHを切り落とし、さらに三角すいQABDのうち残っている部分を切り落としました。
図の1目盛りは1㎝であるとします。
でき上がった立体の体積を求めなさい。
図2 直方体ABDC-EFGH
図2 直方体ABDC-EFGHを真上と真横から見た図

(2014 開成中 (2))

【解説】

面BDQと面FHPが交わってできる交点を考えます。
まずは、三角すいPEFHを切り取るため、面FHPの切り口を描きます。
面FHPの切り口
次は面BDQです。
DQとHPが同じ面上に、BQとFPが同じ面上にありますので、交点が2つ見つかります。
面FHPと面BDQの側面上の交点
この2つの面で切り落とし、残る立体は下のような形になります。
面FHPと面BDQで切り落とす
この立体の体積は、もとの直方体から三角すいを2つ切り落とし、「三角すいが重なった部分」の体積を戻す、という方法で計算します。
体積を戻すのは、2つ三角すいを切り落とすことで、1回だけ引けばよい体積を2回引いてしまっているからです。
図形を使った式にすると下のようになります。
体積を表す図形を使った式
共通部分の体積を考えます。
R、SからPQに向かって垂直な線を引き、2つの三角すいに切り分けます。
2本の垂直な線の交点をTとします。
共通部分を2つの三角すいに切り分ける
RTとTQの長さは、面ADHE上で考えます。
面ADHE上でRTとTQの長さを考える
AD:TR=AQ:TQ=4:1(相似比)より、
三角すいQABDと三角すいQRTSの体積の比は、
4×4×4:1×1×1=64:1になります。

したがって、共通部分の体積は

三角すいQABDの1×21
6432

になります。

直方体 4×4÷2×6=48㎤

三角すい 4×2÷2×4×1=51
33

 

48-51×2+51×148-102137.5㎤
333236

答え 37.5㎤

今日のポイントを使って問題にチャレンジ!

問題

縦2列、横2007列のマスがあります。
図のように上の目の数が「1」の状態かのサイコロが左上のスタートのマス目から右下のゴールのマス目まですべらずに転がっていきます。
最短距離でゴールまで行ったときにサイコロの上の目の数が「6」になるような行きかたは何通りありますか。
サイコロは向かい合う面の数の和が7になります。
2007 算数オリンピックトライアル

(2007 算数オリンピックトライアル)

※解答解説は次回掲載いたします。