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東京大学 本郷キャンパスでの講演の動画を公開(テキスト版-算数1)

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【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(1)

皆さんおはようございます。今日は雨の中ありがとうございました。まず先に、お話する前にこういう、これ4mぐらいモデルとして書いている用紙がございます。私がこの1人目の鈴木さくらちゃんという女の子を題材にお話させて頂きたいと思いますので、こちらの方、ちょっと大体目を通して頂けますでしょうか?この子を題材に、算数を中心に大手塾には出来ないことという題材で今日15分、もうちょっとお話させて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

で、このさくらちゃん。状況ですね。今ちょっとご覧頂いていると思いますけども。まずさくらちゃんの現状分析をして、そもそもこの子は何故算数が苦手になっちゃったのか、苦手意識が本当はなかったのか?どうするべきだったのか?で、また、今日の主題である大手塾との付き合い方っていうものを最後にお話したいと思います。

さて、今もうだいたい目を通して頂けましたでしょうか?現状としては、もうやる気もある努力家であると。よくある例なんですけど、最初は順調だったんです。多分5年の7月ぐらいまでのことだと思います。5年の7月ぐらいまでは順調だった。そして現状。他の教科、現在でも成果を出しているんです。

例えば、国語は偏差値61。サピの偏差値で61ということは四谷の偏差値でいうと、もう65を超えてるぐらいでしょうか。となると、65といえば、まぁ優秀な受験生たちの中でも上位5%ぐらいに入っている。社会だって頑張っている。そういう中で算数だけがちょっと頭打ちになっている。まぁ頭打ちと言ってもサピで46ですから、四谷でいうと50ぐらい。51・2ある。だから基本的な問題はちゃんと解ける。まるで分ってないというわけではないという事だと思いますが、いずれにしても頭打ちが出ているというような例を題材に取って、ちょっとお話していきたいと思います。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(1)

これは全然珍しい例ではありません。私も毎日のように親御さんから学習相談というのを受けておりますけれども、これは本当によくある。その中でも具体的にこういうと、解説されると理解はしてるんです、当然。問題をすぐ数値を変えてやらせると、すぐ出来る。じゃあ、これはもう出来るなと思ってテストを受けると、テストやるとちょっと言い回しが変わっていますね。若干変わっても途端に解けなくなると。

それで理解してなかったかと言ったらそうではなくて、テストの解答解説を入れると、「あ、そっか。あの問題か。」と言ってすぐに分かると。じゃあ「次は頑張ろうね。」と言うと、次もまた間違えていると。こういう状況が何度も何度も繰り替えされて、分かってないわけじゃないのにという話になる。結局は、本人としては、「何か私、算数やってもやっても苦手かもしれない…」というような苦手意識になる。

じゃあ、なぜ他の教科は順調に行っているのに、こういう状況に落ち込んでしまったのか。まぁ算数が苦手になった理由ですね。大抵こういう考案、この3つの理由に集略されています。というか、広げ過ぎ。2つ目は1門1答的な勉強になっている。まぁ1門1答的な勉強の逆を言うと、そもそも根本的な考え方が分かっているということなんですね。その次は、分野ごとに理解が分担されてしまう。繋がりがない。横断的ではない。

じゃあこの3つに対して、1個1個ちょっと今から簡単な実例を挙げつつ、うちの子に当てはまるかもしれないなぁというのであれば、そこを大いに改善にしてあげればいいと思います。

苦手にしない方法の1つ目。手を広げ過ぎない。これは10問解いて何とか7問理解するというのと、6問解いて6問全て理解するというのであれば、した方が遥かに優れているということです。いやいや、7問理解と6問理解だったら、7問理解の方が勝っているんじゃないかと思われるかもしれませんけども、こういうポイントって、10問もやって何とか7問理解して、しかも理解できないのが何問か積み残しがある、というような状況をずっと続けていますと、3カ月後にはこの7対6がぐーんと下がってくるんですね。

1か月後でこのぐらいになって、3か月後には「あれ…あんなにやったのに、3、4問しか残ってない。」その瞬間最大風速の理解という点では上の方が優れているように見えますけども、3か月後、4か月後、半年後を考えたら明らかに下の方が定着がいいです。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(1)

もう算数が苦手の場合、「苦手なんだから、どんどんこの問題もやらなきゃ。この問題もやらなきゃ。」という風になります。また塾の先生から、ここからここまでが宿題だと言われます。でも、もう苦手になっている時点で、現状、手を広げ過ぎてるんです。手を広げ過ぎてなければそんなに苦手にはならなかったはずですから、意識的に問題数を減らして、むしろ空いた時間は数少ない問題、復習に回していくという事になります。

これも例えば、そんなに問題を減らしていいんだろうかと、極問すれば10問中3問にしてしまうと。3問解いて3問理解すると。これをやったらば、必ずテストでも点数を取っていきます。その3問に関してはですよ。残りは全部、白紙答案でしょうけれども。じゃあ翌週4問にしちゃうんです。5問にしたらいい。でもある時に7問にしたら、「あれ?やったはずなのに、この問題解けてないなぁ。家では理解してたのに…。」というラインが見えてきますので、そこが本人の限界ラインだと。6問解いて6問全て理解する、7問解いて7問全て理解する。そのどちらでもいいんですけども、自分の苦手にならないギリギリのラインを早めに発見してあげるということになります。それが後々の定着を変えてくると。まず「手を広げ過ぎない」ですね。

その次。1問1答的な勉強をしないと。ほとんどの場合はつるかめ算とか色んなパターン、10パターン20パターンあります。仕事算でも。それをつるかめ算のCパターン、仕事算のDパターンという風にパターンごとに勉強していると、後々これは次の話に繋がりますけども、実際の入試では分野を融合した問題が出てくる。しかも分野を融合して、つるかめ算のCと仕事算のDが融合したような問題が出たときに、それを見抜けなくなるんですね。上半分のところばっかり。

ところが、各分野には根本メインと言われる、根本的に理解しておけば、まず色んなパターンに通用するだろうと。さらにその根本原理同士が結びついたものが、後々、分野融合問題として出てくるわけですから。まずつるかめ算のC、仕事算のDが解けることはもちろんの事ながら、その背後にある根本的な原理を理解してもらう。「じゃあ、それって例えばどういう事なんですか?根本原理って。」と言いますけども、と。

その簡単な例を次に挙げてみました。これは平均算で根本原理の一例ですけども、まぁ3%と8%。8%の方を多めに混ぜると実は、例えば平均算を習ったと。「60点と80点の平均は何点ですか?」って言われたら、みんな70点って答えます。それはみんな出来ます。平均ってそういうものだとみんな理解していますから。ところが、それはパターン理解なんです。平均の根本原理は何かと一言でいうと、平均というのは量の多い方に引っ張られるということです。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(1)

どういうことか。この次のページ。ちょっとりんごとみかんでやりますけども、100円のりんご3個と60円のみかん1個だったら平均は90円。その逆だったら、平均は70円。りんごの方が多ければ、平均はりんごの値段に引っ張られます。引き寄せられていく。みかんの平均が多ければ、平均はみかんの方に引き寄せられていく。これは、平均の根本的な考え方です。

いったん1ページ戻ってみますと、8%と3%足せば11ですね。半々で混ぜれば、同じ量を混ぜれば中間の5.5になるはずです。8%の方を多めに混ぜたんですから、必ず8%に寄ってくるはずです。だから、5%はあり得ないというのはすぐに分かる。ところが、そういうのを理解してない子供がいるということです。

食塩の問題があったとしても、平気で量の少ない方に近い平均を出してきたりするんですね。それが、根本的な所が分かってないという意味になります。そういう各分野における根本的な理解というものをちゃんとしていかないと、後々次の話になりますけれども、分野を横断した問題になった時に、途端に解けなくなってしまうということです。算数が苦手な子の特徴の1つとして、その分野を横断して理解できないというのがあります。

最近こういう…実際にこういうテキストがありました。ある生徒の親御さんから、「ここ3年ほど芝中では食塩算・食塩の問題が出てないんだけども、食塩の問題ってやらなくていいんですか?」という質問がありました。でもそもそも、芝中は別に食塩を聞きたいわけじゃないんです。食塩の濃度が何%かとかどうでもいいんです、芝中にとっては。

ただ、その食塩を題材として食塩算という舞台の上で、その背後にある逆比の概念とか、平均の概念というのがちゃんと使いこなせているかどうかを聞きたいだけで、その題材がたまたま食塩であったということです。ですので、食塩算として出てなくてもその背後にある平均・逆比の考え方が別の分野として出てくる場合もあります。

だから、食塩算が出てないんだから食塩の勉強しなくていいとか、そういう話では一切ない。そもそも入試では、その分野ごとの問題でもその背後にあるものを聞かれているわけなんですから。でも、「最初に勉強するのは分野ごとなんじゃないですか?」と思われるかもしれません。それはまぁ書いた通りですね。4年生・5年生、最初のうちは、つるとかめがどうだとか、りんごとみかんがどうだとか、そういう身近な題材を元にせざるをえませんから、あたかも分野ごとに成立しているかのように勉強していきます。

ただ6年生も、ある時期を超えていきますと、仕事算がどうだ、旅人算がどうだ、ではなく、その背後にある共通点を聞かれますし、実際の入試でもそうです。例えば1つの例を言いますと、仕事算と旅人算。これ一見すると全然別のものであるようにも見えます。まぁ数字が似か寄ってますからあれですけども。で、子供たちも5年生の時は、仕事算、旅人算というのは全く別物として勉強します。

ところが、実際の解法はどうかと言いますと、次のページ。ちょっと見づらくなってますね。ただ、解法自体は式がまったく一緒になる。全体量をちゃんと設定してそれぞれの速さなり仕事量を求めていくという風に、解法自体はまったく一緒なんです。旅人算であろうが、仕事算であろうが、共通の解法を使っていくということになります。結局これは、「仕事算が3年出てないんだから、3年やらなくていいですか?」というのと同じことです。仕事算として出てなくても、旅人算として同じ考え方を聞かれる事はもちろんあります。

例えば僕と言えば、1番よく出るつるかめ算なんていうのはつるかめ算の問題全て平均の問題として解くこともできます。最初はみんなつるかめ算の面積図・平均の面積図という風に習いますが、これはどちらを使っても実は解ける問題になっています。ですから、別々のものではなくて、分野というのは最終的には横断的に融合してくるんだと。分野というのは最初の勉強上、設定されたものでしかないんだというところに気付かずに、分野ごとの勉強をしていると、やる頃に算数を苦手に、結果的に苦手にしてしまう位置になるかと思います。

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