指導法

私が算数を指導する際に意識している方針は以下の3つです。
① 生徒に「納得」してもらう
② 正しい言葉で説明する・させる
③ なるべく楽しく

① 生徒に「納得」してもらう
算数の解き方、公式、定理を自身の体感や経験と紐づけて理解することを「納得」と表現しています。
解き方を「知っている」からといって「理解」しているとは限りません。
「理解」しているからといって「納得」しているとは限りません。
例えば、「速さと比」の単元で「進む距離が一定のとき、速さの比とかかる時間の比は逆比になる」という定理を学習します。
この定理について生徒に「なんでそうなるの?」と聞いたときに「そう習ったから」と答えた場合、その生徒は「知っている」だけで「理解」していません。
「時間は距離÷速さだから」と答えた場合はこの定理の理屈を理解していると言えます。
しかし「納得」できているかどうかはわかりません。
「急いで行ったら早く着くから」
このように答えられると「納得」していることがわかります。
つまり、「早く着く(かかる時間を短くする)ために急いだ(速く移動した)」という経験に紐づけて理解している状態です。
私はこの「納得」を最上級の理解と考えており、授業でもできるだけ問題を自分事として体感できるような説明を心がけています。
「納得」しないままに学習を進めてしまうと、暗記した公式に当てはめないと解けない、習った型の問題しか解けない、といった「暗記算数」に陥りやすくなってしまいます。

② 正しい言葉で説明する・させる
算数で重要な能力の一つに「思考力」があります。
この「思考力」を養成するのに最適なのが思考の「言語化」だと考えています。
算数は特有の用語も多く、解法を言葉で正確に説明するのはかなり難しいですが、この「言語化」が正しくできるようになると解法の理解度はグンと上がります。
速さの「誰が、いつ、どこを、どんな速度で」といった情報や、平面図形の「図形が持つ特徴とその性質」といった情報を、細かく言葉で伝え、また生徒にも説明させます。
こうして「言語化」力を高めていくことで問題の状況を正確に理解できるようになり、ケアレスミスも格段に減ります。

③ なるべく楽しく
生徒に一番伝えたいのは算数そのものが楽しいということです。
こちらが無理に楽しく教えなくても、生徒自身が算数そのものの楽しさに気づき、自ら進んで取り組んでくれるのが理想です。
しかし、算数嫌いな子に「算数は楽しいよ」と言っても受け入れてくれるはずがありません。
なので、算数嫌いな子に「やってあげてもいいかな」と思ってもらえるように、楽しい雰囲気を作る、私自身が楽しむ様子を見せることを意識しています。
中学受験は厳しく苦しいです。「楽しむ」だけでは乗り切れない場面が多々あります。志望校に合格してもらうためにあえて厳しい態度を取ることもあります。それでも続けていくうちに算数の楽しさに気づいてほしい、中学受験を乗り切ってほしいという思いから、「“なるべく”楽しく」をモットーにしています。

指導実例

ニュートン算の問題を例に実際の指導の一例を紹介します。

まず、ニュートン算が苦手な子には
「お湯を貯めたお風呂に水を注ぎながら栓を抜くと」の話や、
「毎日300円のおこづかいをもらえるけど毎日500円おかしを買う子の貯金」の話をして、ニュートン算を身近に感じてもらいます。

【問題】
はじめにタンクにある量の水が入っています。毎分3Lの割合で水を蛇口から注ぎながら、同時にポンプを4台使って水をくみ出すと60分でタンクは空になり、ポンプ9台を使って水をくみ出すと25分でタンクは空になります。1台のポンプはが1分でくみ出す水は何Lですか。

【解説】
1分間に1台のポンプからくみ出す水の量を1とします。
まず、全部でくみ出す水の量を比べてみましょう。
4台で60分・・・4×60=240
9台で25分・・・9×25=225
4台のときの方が、240-225=15多いことがわかりました。
ここで生徒に
「なんで同じタンクを空にしたのに、くみ出した水の量が違うの?」
と聞きます。
この問いかけで、蛇口から水を注ぎ続けていることで、
「かかる時間が長いほど、くみ出す水の量が増える」ことに気づいてもらいます。
そうすると、この15の水は、60-25=35分で蛇口から注いだ水であることがわかります。
3×35=105L
→15あたり105L
→1あたり105÷15=7L
よって、1分間に1台のポンプからくみ出す水の量は7L
A.7L