月別アーカイブ: 2013年4月

語彙を増やすには

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「ウチの子、言葉を知らなくて~。だから国語ができないんだと思うんです!」

集団塾で、保護者の方からこのテの訴えを幾度聞いたことでしょう・・・。

語彙・・・ごい・・・すなわち!
自分が使いこなせる言葉の量!!!
ボキャブラリー!!!

生まれおちた赤ちゃんは、一語の語彙も持ち合わせません。
「おぎゃあ!」
という泣き声すら、それを言語としては知りませぬ。

話しかけられ、呼びかけられ、少しずつ少しずつ、混沌とした世界を言語で彩り、形作っていく・・・

年齢に比例してボキャブラリーは増えていく。

成人になるころには、個人差はあるにせよ、子ども時代とは格段に違う膨大な数の言葉やその言い回しを使いこなせるようになるのです。

社会で自立している大人で、小学生並みの語彙しか持ち合わせない人に私はお目にかかったことはありません。
ですから、あなたのお子さまも大丈夫!
大人になるまでは立派に言葉を覚えますよ~!

それじゃ、困るんです!
受験に間に合わないじゃないですか!!!
中学入っても、高校生になっても、国語の成績で苦しむじゃないですか!!!
無責任なこと言わないで下さい!!!

・・・というお叱りが想像できますので、上記のようなことは直接悩んでいらっしゃるお母さまにお話ししたことはございません。
では、実際お話しした解決策とは?!
春野「語彙をイキナリ増やすには、本人の言葉に対する意識づけが必要なんです」
ママ「それって、本人のやる気次第ってことですか?」
春野「やる気・・・というより、言葉に対する意識をもつ、ということにつきるんですよね。言葉って実際覚えたら、他の暗記モノと違って、即使ってみることができるでしょう?たとえば、興味ある分野の言葉に対しては敏感で、『こんな使い方するんだ』って、まねて使おうとするでしょう?言葉に対して、意識が向くようになったら、語彙は自然と増えていくんですね。
使い方もよくワカラン言葉をお勉強だからと無理やりつめこまれても、どんどんこぼれおちてしまう・・・言葉に対して意識が働かなければ、本人の語彙として定着はしません。」
ママ「では、具体的な方法は?!」
春野「方法は二つあります。」

語彙を増やす二つの方法

一つは、国語の読解で文章を読むとき、知らない言葉に印をつけさせるのです。
すると、知っている言葉と知らない言葉を区別しなければならない。
知らない言葉をいやでも意識して目に心に留めます。

これが大事。
とても大事。

野に転がった石ころは、見えていても存在に気づかない。
気にも留めませんね。
つまり、存在に気づかなければ、拾うこともありません。
石ころに気づいて、意識する。 石ころの形状に目をとめてもらう。
そういう意識の働きが、石ころを拾う行為、すなわち言葉を覚えることにつながります。

読みながら、「よくわからない」と思った言葉を○で囲む。
後でじっくり前後を読んで意味を類推してみる。

辞書を引くのはそれからでいいのです。
あらかじめ類推することで、辞書を引いた時心が動く。
心が動くと記憶に残る。

もう一つは、ボキャブラリーノートを作りましょう!ってことです。

ボキャブラリーノートは、自分が出会った言葉を書きとめていくノートです。

今まで私が指導した手順を書きましょう。

ボキャブラリーノートを推奨しても、ノートを作って、自ら積極的に書きこんでいくお子さんはほとんどいません。
初めは、半ば強制です。

ノートに書くのは次の3つ

    1. テストで意味がわからず、それがわかればかなり解きやすかったと思われる言葉
    2. テキストで出会った、意味のあいまいな言葉
    3. 授業中に教わった大事(そう)な言葉
        実際は指導の段階で書く語をいちいち指示することになります。

集団授業の場合、授業時に行うと、テキストの進度に支障が出るので、大切な語に印をつけさせ、使用例とともに意味を教え、帰宅後に、復習として、ボキャブラリーノートにそれらの語を書き写すことを指示します。
その際、授業中に覚えた意味をうろ覚えでもいいからとにかく書いてから、辞書で調べる、という手順を踏んでもらいます。(一度、見当をつけてから辞書を引いた方が、何も考えずに機械的に辞書を引くよりも、格段に記憶の定着率が上がるのです。)
ノートに書き出す語の数は少なくても構いません。3つも書ければ十分です。

さらに、テストの後の振り返り作業の際、テスト内から大事そうだが、意味をはっきり知らなかった語をピックアップして、同じようにノートに書いてもらいます。
意外に盲点ですが、役立つのが、選択肢の中の語彙。
選択肢の語彙は入試頻出語が多いのです。

日付とどこから引き出した語か(テストの回数、種類)は明記した方が記憶に残ります。
これまた少なくてもOK。
大事なことは続けることなのです。

ところが、集団授業でノートを推奨し、保護者会で告知しても、ノートを作って実行するお子さんは、全体の4/1程度です。

個別指導の場合は当然横についているので、実行率は100%。
大事な語が出たら、その場で書かせ、例文を出して語感をつかんでもらいます。
ところが、個別指導とはいえ、こちらもやはり家庭学習の際にお子さんが自主的に書きこんでくることはありません。
宿題として予定表に書きこんで初めてやってくる。

なぜか。

語彙を覚える必然性が、動機づけが、乏しいからです。
国語のできるお子さんはたいていの場合、新しい語彙が出てきたらおもしろがります。
あからさまではなくとも、心が動くのが見て取れます。
国語に特に好意的感情を持たない場合のお子さんだと、ノートは苦行とまではいかなくとも、無駄・義務としてイメージされています。

子どもの無意識のイメージとはなかなかやっかいでして、結構手ごわい。
そのイメージを払しょくして必然性・重要性を理解させるのは、至難の業。
第一、 それがたやすくできるならば、世のお子さんのほとんどは自ら学習しますよね。
ボキャブラリーノートの作成は、
強制作業。 受け身の作業。 指示待ち作業。
でもそれでいいのです。
大事な言葉を残していく、義理だろうと義務だろうと、はたまた強制であろうと、出会った言葉を書きとめていく。
そして一週間に一回、ノートの見返しをさせ、あいまいなところは再度辞書を引かせる、質問させる、例文を作らせる。
どうなるでしょうか?
受験が近づくとこれが活きてきます。
さあ、国語で過去問がとれない、思ったより言葉の意味が問われる、どうしよう、となったときに、せめてこのノートに書かれたことは覚えてしまおう、と思う。
お尻に火がつくとわらにもすがりたくなる。
このノートはわらよりよほど役立つ丸太です。
印刷ではない、生の字で書かれた情報は頭に入ります。
しかも、過去テストやテキスト、授業内で出てきたいわば「よく出るハズの実戦型」語彙集・・・。一度覚えようとしたものだから、確実に覚えるのに時間はかからない。
たとえ、ノートが10ページにも満たなくとも、密度は濃い。(10ページでも100語近くになります。)即戦力となるのです。

春野流 語彙の増やし方

        1. 家庭学習で・・・文章を読む際、意味があいまいな語に○をつける。読み終わった後に、前後の文脈から意味を類推。その後、辞書を引いてみる。正しい意味を○をつけた語彙の横に書き入れる。設問にとりかかる。
        2. ② ボキャブラリーノートを作る。 授業、テキスト、テストで出会った意味のわからない大事そうな語を書き出し、意味を類推してから辞書を引き、意味を書き入れる。 できたら例文を作って書きこむ。一日数語でOK。 ただし、毎日続けること。 一週間単位で見返すこと。

私の提案はいつもコレ。大事なコトほど、地道に持続。ちりも積もれば山となる。
一つ一つは小さなエネルギーでも集まれば最強の敵でも倒せてしまう・・・積み重ねの力を信じましょう!

余談
例年、「先生、○○○校(の入試)で、これ(ボキャブラリーノート内の語)が出た!」という声を聞きます。嬉しい限りです。
(「でも思い出せなかった~ア! あそこ、あそこに書いた!ってわかってたんだけどねえ・・・」 というオチがつくこともしばしば・・・いいのですよ。 まったく知らない語ではないことがわかれば、文脈類推も自信をもってできるのですから。)

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

プロフィールの詳細はこちら

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生活リズムを守るには

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んなもん、ワタクシが聞きたい!!!・・・というのは冗談ということにしておいて・・・
生活リズムを守る→子どもの学習計画が守られ、リズムよく学習が進む→弱点補強がしやすい→心身ともに健やか→合格!!!わかってます。わかっちゃいるのです。しかし、生活リズムを守るのは子どもの努力というよりは、親の強い意志、親自体の生活の見直し、そして何より親の計画的家事遂行能力が大きくモノをいうフィールド。ワタクシが男だったら、生涯の伴侶には、家庭を任せて安心のしっかりものを選びます!ぜっったい、自分みたいなのはごめんこうむります!!!
その貧乏くじを引き当てたわが夫は、目標を立て、それに見合った実行案を作り、完遂するタイプ。
わが家がなんとか平均レベルの生活が営めているのも、夫の努力が大きいのですね・・・。
近頃頭頂部がうす~くなってきたのは、ワタクシのおかげかもしれませぬ。
ですから、ワタクシが語れるのは、こうすればうまくいく!!!ではなくて、自らの体験を基にした、これをしたらうまくいかなくなる!!!という失敗例にすぎません。
ここまで読んで、あきれ果て、もはや別サイトに飛ぼうとしているお母様、お待ちください!!!
こんなヒトより自分の方がはるかにマシだと知ることも、この大変な受験生活の中で必要なことかもしれませぬ。
優越意識の毒もときにはクスリ・・・ま、ま、今しばらくおつきあいを・・・!

母の心得5カ条

  1. 夜更かし 厳禁
  2. 午前中のダラ寝 厳禁
  3. PCはりつき TV ダラ見 厳禁
  4. 気の合わない人々とのおつきあい 厳禁
  5. 家事の後回し 厳禁

なんと低レベル。あたりまえでしょ!!!主婦失格!!!
非難の声は重々承知。でもでも、ちょっとだけ、あるあるこんなこと、と思ってくださったあなた。ワタクシと( )でくくれる同類項!!!
上記5つに関しては自分に少しでも許したが最後、生活の乱れひいては子どもの成績に直結します。
本来生活って、もっと自浄能力やら回復力やらあって、あんまりキチキチやらなくとも、なんとなく回っていくものです、ある程度の節度さえもっていれば。
でもでも、中学受験生を抱えたお宅では、この自浄作用やら回復力やらのはたらきが悪いのです。
なぜなら、母親に精神的負荷がかかっていて、知らず知らずに弱っているから。
精神のエネルギーが子どもの方に余分に流れ出ているため、日常生活を切り盛りしていくエネルギーが通常より減った状態。
こんなとき、上記の5カ条をやってしまったら・・・弱っている分、回復に時間がかかり、エントロピーの法則に従って、物事が崩れていく・・・。
積み上げるのは大変でも崩れるのはかんたんです。
ですから、母はだらだら禁止!!!くらいのテンションを保っておかないと、受験生活を回していくことができません。
特に、直前になればなるほど、ダラ禁です。
直前になればなるほど、エネルギーは受験に吸い取られ、こんなときお怠けしたら、もはや回復不能です!!!
ワタクシもこのことにもっと早く気づいていれば・・・。
「仕事もあるし、大変なワタクシ~♪ 多少のお怠けは許されてしかるべき~♪ 」 などどいう甘えに身を浸していたわが身がくちおしい・・・。
(「今からでも改めたら?」という夫の声が聞こえてきそうな、春野息子大学受験の春でございます・・・、ハイ。)
ところで。
上記のうち、4については、補足説明の必要ありかと・・・。
4 気の合わない人々とのおつきあい 厳禁
これは逆説的なんですね~。
つまり、気の合わない人とおつきあいしないための努力が必要なんです。

気の合わない人とおつきあいしないための努力3か条

  1. 所属している集団の義務を果たす
  2. 元気に明るくふるまう
  3. 相手のいうことを否定しない

まず1に関して

集団生活を営むにあたり、保護者の義務として、いろいろな仕事が回ってきます。
それが役立つ役立たない、は次元の異なる話。現行、それが義務ならば、そこに所属するものとして行うべきなのです。やることはやる!負担でもやる!最初から日常計画の中に組み込んで、子どもの受験生活をコントロールするしかありません。決められた仕事をきっかりこなす。
余分な労力は使わず、必要最低限の出来で結構。でも義務は果たす。
それが結局は気の合わない人々とかかわりを持たずにすむ最善の方法なのです。

次に2に関して

主婦はなぜか暗い人を好みません。「何考えてるのかわからない」
これは最大級の悪口だとワタクシは思っています。
そのために、お外では元気に明るくごあいさつ!
長話をせず、ひたすら元気に明るく愛想よく立ち去る・・・。
愛想の良さは武器です。
この武器は、自分の身を守るためのものじゃない、子どもを守るためのもの。
そもそも・・・少々の悪口を言われてもいい、という覚悟は、やることやったとき持つことを許されるのです。母として社会の一員として、やることもやらず、悪口なんて怖くない!という態度は開き直り以外の何物でもない。ワタクシはそう思います。

最後に3に関して

相手に否定を伝えることには責任が伴います。理由を明確にしなければならない。
「おかしいものはおかしい。いやなものはいや。」ならば黙っていればよい。
相手を面と向かって否定するなら、責任をもちましょう。説明する義務。こんな面倒なものが生じる。思うのは自由です。ですから義務が発生するようなことは避けましょう。
少なくとも、子どもの受験時に、優先順位は低いはず。
たとえ中学受験に対する偏見を聞かされても聞き流す。
私立中学の批判にも反論しません。
相手からの理不尽な働きかけには対処しても、相手の見解を否定することは避けるのです。
必要なこと、不要なこと、やるべきこと、やらなくていいこと、結局は判断、決断、実行です。
判断に迷ったら、伴侶や周囲に意見を求めることも大切。
一人で抱え込まない、思い悩まない。
そして、決断したら、あれこれ迷わない。
実行は断固として行う。
義務は果たし、周囲への気配りをしつつ、目的のために必要なことを選び取っていく、その姿勢、それこそが、摩擦少なく、精神的健康を害せず、受験生活を営むコツです。
有言実行ならぬ、有言不実行のワタクシからのささやかな提言でございます。

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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家庭教師を体験する

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親子だとどうしても感情的になる。それは仕方のないこと。
だって親はわが子には過剰な期待があるし、子は愛されているが故の甘えがあるし・・・。
で、外注することにしました。何の話?もちろん中学受験のためのお勉強のお話しです。
さっそくネットでいくつかHPを見比べる。探したのは中学受験専門の家庭教師センターです。
地味そう、真面目そう、堅実そう、って結婚相手を選ぶわけではないが、いくつかに絞りました。
中でも、手堅そうなイメージのところにさっそく電話をかける。塾名、現在の偏差値、希望科目、志望校を伝え、一番苦手な国語での指導を希望。予算の関係上、講師のランクの希望も一番下です。二度ほどのやり取りの後、「当センターのベテランを派遣します。ただし、彼は一番ランクの高い講師ゆえ、お客様のご希望の金額に見合うランクの講師ではありません。やはり、お客様のケースですと、志望校が高い(S光学院)ので、それに見合った指導ができる人間ということで、一番高いランクがお勧めです。とりあえず、わがセンターの最高ランクの指導をご体験ください、うんぬん」。一番高いランクの講師がモデル授業をする・・・しかし彼は人気なのでたとえ体験で気に入っても、直接指導するのは同ランクの別講師だということでした。初めから指導可能な講師を体験させてくれ~と思いましたが、当時知識の薄いワタクシは、家庭教師ってこんなシステムなのね、と納得したのです。さてさて当日、ベテランというにはびっくりするくらい若いお兄さんが現れました。聞けば、去年までW大学の大学院生だったそうです。態度はもう会社を背負って立つ!というくらいテキパキして、世慣れています。さっそくリビングで指導が始まりました。
ワタクシは、夕飯の支度をしながら隣のダイニングをうろうろ。
当然、指導内容は筒抜け。相手もぜひ聞いていてください、というスタンス。
出口の論理エンジンがいかに優れているか、いかにこの論理の構築が大切か、を強調してから、彼が用意してきたプリント問題へ。(以下、口調等は記憶が薄れているので、ワタクシが受けた印象のままにアレンジしております。)
「・・・ここは反対のこと言ってるから逆接だよね。逆接ってさあ、たとえば、友達と『昨日映画見に行ったけど、面白かったよ!』みたいに使うでしょ。『けど』、とか、『しかし』、とかさ・・・こういうの、逆接の接続詞っていうわけ。」
読解に入りました。
「ホラ、傍線部の理由を聞かれているわけじゃん。だから、理由を探せばいいのね。したら、ここにあるじゃん。 わかった? OK? じゃあ、次行ってみよう!」
一時間の指導が終わり、親との面談タイム。
「いやあ、基本はできているんですが、やっぱり読解部分が甘いですかね~。」
ここで言い訳させていただくと・・・私はいつもわが子に関しては一母親であり、子どもの通う塾や学校の先生を前に、国語のプロ講師の肩書を意識したこともありません。母親の時は、国語を専門に大学で10年学んだプライドもへったくれもありません。
サピックスの先生にも、学校の先生にも、個別面談時には「国語、どうやったら上がるんでしょうか?漢字、どうやったら覚えようという気になるのでしょうか?」と真剣に訴え、謙虚にお話を聞く模範的保護者であったと自負しております。
しかし、このときのワタクシは、そのプロ家庭教師のお兄さん相手に、今思えば、実にサイアクな行動をとってしまったのです・・・。
「実は、ワタクシ、Nの国語講師なんです。」
「えっ・・・」
「で、今一時間指導して頂いて、隣で聞いてましたが・・・」
「は、はい。」
「先ほど接続詞の例として挙げた文章、適切ではないと思うのですが、いかがでしょう?たしか『昨日映画見に行ったけど、面白かった』というような会話文でしたよね。会話の際の文法は、書き言葉の文法とは異なる場合があります。早い話、逆接の接続語が順接のように使われる。先ほどの例も、どの点が逆接なのかわかりづらく、子どもが混乱するもとになります。例として出すときは、日常会話と書いた文章とは区別して頂けたらなと思いました。
それと、あなたの例文で用いられた「けど」は品詞でいえば助詞になります。接続語、というなら正解ですが、接続詞、というのは明らかに誤りです。」
「読解の際、傍線部の理由を探すとき、どんな手がかりから理由を探すのかを指導しないと。まず解答ありき、のように、「ほら、これが理由でしょ」では解法を学べない、と思うのですが、いかがでしょう?」
誓って言いますが、いじめるとか、嫌味をいうとか、ひけらかすとか、そういった邪な意図はまったくありませんでした。
ただ、考えなしに「ありえん!態度だけ大物でも、勉強不足もはなはだしい!プロとしていかがなものか?!」という義憤に任せての行動だったように思います。
ワタクシ、頭に来れば来るほど、態度は落ち着きます。
ゆえに穏やかに微笑みながら言ったのですが、
お兄さん、思ってもみなかった反撃に出ました。
「ご自分がプロなら、先に言ってほしかったですね。
ご自身で教えたらいいんじゃないでしょうか?」
「親子だとむずかしいんですよね。」とためいきをつくワタクシをさえぎるように
ま、じゃ、僕はこれで。
もうそちらからのお申し込みはないとは思いますが、まあ、なんかあったら連絡してください。
センターには僕の方から報告しときます。
あのーワタクシ、今後の話は一切していないんですけど・・・。
態度が急変したことにあっけにとられているワタクシをしり目に、硬化した態度で慇懃無礼にそそくさと帰っていくお兄さん。
プライドの山を崩された怒りは大きかったようです。

ワタクシとしては、彼自身の「指導法」も聞きたかった。
言われっぱなしでふてくされる前に、プロなら「確かにそうですね。でも、子どもに細かいことをいちいち言うより、勢いで理解させた方がいいときだってあるんです!」くらいの反撃はしてほしかった。今でも自己嫌悪に陥る苦い失敗談です。お兄さんの帰宅後、後味の悪さにぷりぷり怒っているワタクシの横で終始長男はノーコメントでした。彼は決して人の悪口は言わない。 母親に似ぬ感心なトコロ。本当は年上のお兄さんというだけでうれしかったんだろうな、とは感じていました。
指導中も一生懸命うんうん聞いていたし。言うべきではなかった。
その場は黙って穏便に流し、後日適当な理由をつけてお断りすべきだった。
彼のためというよりも、息子のために。かくしてなんとなく、出鼻をくじかれた春野家では、しばらく自力で頑張ろう、とふりだしに戻ったのです。 疲れとむなしさが残りました。

家庭教師体験を通して得た教訓

  1. 体験する講師と指導する講師は同じ方が望ましい。⇒講師の質にばらつきがあるから。体験でいいなと思っても、実際の指導には、トンデモ講師が来る可能性も。
  2. 学歴だけ見ずに、大切なわが子に接する人間、人間性もみよう!マイナスの感情を表に出すようではプロとしては失格。
  3. 子どもの目の前で講師の面目をつぶすようなやりかたは好ましくない。⇒講師も子供も傷つく。要望があれば、子どものいないときに!!!

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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わが家の受験騒動記

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春野家が中学受験界に足を踏み入れたのは、ひとえにもふたえにも、ワタクシが中学受験経験者であった、ということに尽きると思われます。
公立に不満があるも何も、ワタクシは公立中学を知らない。
公立中学にマイナスイメージはない。
ただ、知らないがゆえに、内申制。これが引っ掛かっていたのです。
聞けば、内申には提出物、校外活動、部活動、といった要素も加味される、さらには音楽・体育・美術・家庭科等の副教科も重要らしい。
副教科に至っては、技能的に優れているだけではだめ、とも言われており、判断基準は学校、担当教員によってかなり変動があるとか・・・。
ごめんなさい、すべてお友達ママさん方からの情報ですので、伝聞です。
でも・・・何をどう頑張ればよいか、基準が明確な方が努力しやすい。
と思っているワタクシからすると、内申の評価を上げることは、とてもとてもハードルが高いことに感じられました。
多くのご家庭やお子さまには問題にもならないような制度なのでしょうが、モノグサ母が君臨した春野家では、これは決して「なんとかなるさ」と楽観的に構えられない制度に思えたのです。
これが中学受験を決めた消極的理由です。
積極的理由としては、私立文化が好きで、その環境に身を置かせたかった、ということだったと思います。
私立にはそれぞれ個性があります。
その文化を共有することで生まれる、一生ものの連帯感。
思春期の6年間ではぐくまれる、親だけでは伝えられない価値観、ものの見方、考え方。
それが「選べる」という点で、非常にワタクシには好ましいものと思えたのです。
夫は違います。彼はずっと公立、国立。自由闊達、いろんな奴がいる、それでいい、それがいい、という人。
それでも受験することを抵抗なく受け入れたのは、彼も内申制に怯えがあったこと、ともう一つ。
大学受験を見据えたら、6年間通して学べる方がいいだろう、と思っていたからのようです。
しかし、入塾をいつにするか、は考えていませんでした。
ワタクシの子どもの頃は中学入試は早くても5年生からの入塾が一般的でした。
英国から戻ってきたのが、長男が4年進級時。
現在の中学受験事情も調べず、まだまだ時間はあるだろうとのんきに構えていたのです。
PTAの役員にもなりました。
そんなワタクシが帰国後、まもなく起こした行動は、教育現場に復帰する運動、でした。
英国の子どもの小学校で、授業補助を志願し、毎日刺激的な日々を送った私は、「教育現場で働きたい!」という欲求が強くなっていました。
まずは、夫の説得。
学校の非常勤なら・・・という許可を得たけれど、ここでもワタクシのモノグサが足を引っ張る。
あるはずの教員免状が見つからない!(未だに・・・)。
引っ越しを繰り返したため(結婚して3回)か、とにかく無い・・・。
で、一番可能性のある天井裏の物置を荒らすには、相当の手間と気力、体力が必要でした。
小学校2年生と4年生を抱えたワタクシには、これ以上家を荒らしまわる勇気もなく、夫に再度交渉。塾で働きたい。
でも、塾業界は夜のお仕事。
帰りがとっても遅いのです。
そんなある日、たまたま目にしたNの新聞募集広告。
小学生ならば、終了時間は予備校ほど遅くはない!英国での楽しい小学校生活の日々がよみがえりました。
「3日だけ!」
「子どもの中学受験にも役立つ!」
「家事は一切手抜きしない!」
等々を条件にしぶしぶ夫の了承を得、無事に講師試験を受けることができたのです。
季節は既に夏。
長男は4年生。
中学受験は始まっています。
遅ればせながら多くは4年から入塾することを知ったワタクシは、あわてて近隣のサピックスの入塾テストに申し込みました。
Nにしなかったのは、単純に、同僚の方々にプライバシーが筒抜けになるのは勘弁!と思ったからです。
あれこれ見て回ったり、パンフレットを比較することもせず、「どこもたいして変わらないハズ。頑張るのは本人!」とわかったような理屈で安直に塾を決めたことを今でもちょっぴり後悔しています。
サピックスに入れて、うんざりしたのは、教材のわけわからなさ、でした。
いや、これは塾のせいではない。 決して、ない。
整理すればいいのです。
わかっちゃいる。
でも教員免状すらどっかにやってしまうワタクシに、あの毎週累積される教材を仕分けして、宿題の範囲、試験の範囲をチェックして、なんて技は無理でした。
そのころのワタクシは、始まった仕事に夢中で、余裕もなく、約束した仕事と家事の両立にあっぷあっぷして、手順も要領も悪かった。
・・・いや、それはいいわけでしょう・・・本当は無理ではなかったはずなのです。
ワタクシがそれに一生懸命になっていれば、ワタクシがおっくうがらなければ、いくらズボラでモノグサなワタクシでも、かわいいわが子のため、ちゃんとできたはずなのです。
きつかった。気持ちが長男の受験から逃げていたのだと思います。
しわ寄せはダイレクトに長男に響いていました。
長男の第一志望校はS光学院。
5年現在アルファベット組の中~上位をさまよっている彼に合格の目は少ない。
夫も、日曜限定で勉強を見ていました。しかしいかんせん、激務の人。テストは次々と押し寄せる、学校見学、入試説明会、外部模試参加、5年生は怒涛の一年間でした。
おまけにワタクシは子ども会の副会長。
ワタクシの住む地域では5年生の時に子供会の役員をする決まりだったのです。
ついに、ワタクシはいつまでたってもαに遠く及ばない息子に、外部の手を借りることをもくろんだのです。

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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はじめに~なぜ「失敗」を語るのか~

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いきなり「失敗」とは、エンギでもない、と思われる向きもおありでしょうが、みなさまは成功から学ぶタイプですか?それとも失敗から?
もちろん、ご自身の体験であれば、成功からも失敗からも多くを学んできて、今のみなさまがおありなのだと思います。
しかし、人から聞かされるお話の、成功談と失敗談、どちらが学ぶべき点が多いか?
世の中、書店やネットで「私はこうやって成功した!!!」的ノウハウ本があふれ、目からウロコの気づきがあちらこちらに転がっておりますね。
幼少時から伝記物語の類が大好きであったワタクシも、何をかくそう、このテの成功者のお話にはめっぽう弱く、読めば読んだですぐさま影響感化され、3日ならぬ1日くらいは成功者の心がけを実践するのでございます。(ああ、『お釈迦様』とかいう伝記本を読んだときは、一週間近く、ささいなことで腹を立てない、を実行した小学3年生・・・あれが一番長かった)。
しかし、なにぶん、続かない。
あら、一緒にしないでよ、と思われるでしょうが、どうもこれはワタクシの根性のなさの問題だけではないと、(いや、それもかなりありますが、でも決してそれだけではないと)、そう思うのでございます。 かんたんに申し上げると、成功したやり方をいきなり実行しようとするのは、今の自分が飛べるハードルの高さよりずっとずっと高いハードルをいきなり飛ぼうとするようなものではないかと。実は、売れている成功本や人気サイトのブログでは、いきなり「私はこうやって成功した!」ではなく、試行錯誤した経過や、失敗した例を織り交ぜながら、成功にいたる方法が示されているのが常なのです。
成功だけが書かれた成功本や成功話は、あまり読まれないのですね。
成功のエッセンスだけを語られても、そのときは「すばらしい!ぜひぜひワタクシもあやかりたいワ~~」(春野の実体験)とモチベーション向上に役立っても(それはそれでカンフル剤としてと割り切ればOK)、長期にわたっての効果として役立つかといえば、思ったよりツカエナイ・・・
成功本や成功話から学ぶべき点は、実は「成功にいたるまでの失敗談」にこそあるのでは?とワタクシは考えました。 人間、どうしてもきらびやかなお話、すばらしい行為、に心惹かれるものでございます。
と同時に、「人の不幸は密の味」というアクマ的心情も宿しているのが凡人のサガなのでございましょう。しかし、きらびやかさに目を奪われ、失敗談を単なる「他人の不幸」として楽しむ姿勢では、何も得られず、学べない。失敗談をわがこととして受けとめ、自分だったら、と擬似体験することで、成功に至るそれぞれの鍵が見えてくる・・・のではないかと、そう思うのでございます。
なが~~くなりましたが、ワタクシが中学受験の体験談を書くにあたって、あえて「失敗」という言葉を選択した理由は以上でございます。主旨をくみとっていただき、このサイトがつたないながらも、みなさまの「成功」の糧(の一粒)になれば幸いでございます。余談・・・。そもそも春野家の受験は成功か?失敗か?という話になりますが、これは世間一般の基準で申し上げることができないのではないかと・・・思いますです、ハイ。
「アンタはそもそも幸せなの?不幸なの?」と聞くようなものでして、成功か否かを決めることができるのは、受験したご家庭のみではないかと僭越ながら思うしだいでございます。
極端な話、第一志望に合格しても、「特待生になれなかった」という理由で「成功」という言葉を拒むご家庭も実際にありましたし、開成、桜陰合格でも、テストのとき万全ではなかった、自分のチカラが発揮できなかったと悔やむお子さまも(ごくごく少数ですが)いらっしゃいます。
逆に我が家のように、(一般的な見方はさておき)本人の意向と親のニーズが一致した結果、ととらえ、「成功!!!」と思いこんでいる例もあります。親も子も、結果にそれなりに納得できたら、それは良い受験であり、「成功!!!」。でよろしいのではないかと。どうか、みなさまも良い受験を!この業界に愛着をもつ者として、また子どもを愛する者として、
中学受験されるご家庭の幸せを心より祈念し、全力で応援いたします!!!

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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こんな親子が成功する!

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中学受験に成功する親子とは?

塾側のホンネなんて、成績の良い子がありがたい、ってことに尽きるのでは?!
と思っている保護者の方は多いと思われます。
たしかに塾もサービス産業。利益を生み出してナンボの世界。理想があっても、資金が無ければ、思うような経営はできません。その点、合格実績で塾を選択する顧客が多いこの業界、成績が良い子がありがたがられる、は嘘ではないでしょう。
しかし、コトはそんなに単純ではありません。多くの保護者の方は、中学受験塾の現場を誤解しています。良くも悪くも経営側(管理職含む)と現場側の意識が乖離しているのが、中学受験塾の現状です。
すなわち・・・現場感覚でいえば、損益にはあまり意識が働かず、日々接している子どもがかわいい、仕事に熱意とやりがいをもっている、こういうスタッフ・講師が大多数なのです。
にわかには信じられないかもしれませんが、これはホント。
教えるのが好き、教授法を究めたい!というマニアックな方もいますが、これはどちらかというと大学受験予備校に多い。(かつてワタクシもいた業界です。)
中学受験塾の講師や現場スタッフは、基本、子どもが好きでないと到底勤まるものではない。
子ども嫌いの方にはおそらく相当辛い職場です。
自分のサポートで子どもが合格することをやりがいと感じ、対象となる子どもの成績の良し悪しが子どもへの接し方の基準になることはありません。
自分のがんばりがご家庭の喜びとつながり、その対価としての報酬を得る、それこそがプロなのだと思っている講師やスタッフがほとんどです。まあ、ビジネスマンとしては致命的にオメデタイ。でもそのオメデタサが毎年の感動を生んでいるのも事実なのです。
では、よく講師サイドやスタッフサイドで、評判がよく、受験結果もうまくいきやすい親子の特徴をまとめてみましょう。

中学受験に成功する子供の例

  1. 言われた課題をこなす子
  2. あいさつができ、スタッフの働きかけに反応できる子
  3. 授業後、質問や自習もないのに、ぐずぐず居残って時間をむだにしない子。
  4. 授業中、一生懸命話を聞き、大事だと思ったことはメモする、授業を大事にしていることが伝わる子
  5. がんばる子

5が一番のポイント。そう、塾の現場では、けなげに一生懸命がんばる子がスタッフや講師からの評価も高く、結果も伴いやすいのです。
上記のうち、特に1、4、5の一つでもあてはまれば、受験に成功する確率はぐっと高まるはず。
ちなみに春野息子のうち、特に次男は上記5つのうち4つはあてはまりませんでした、ハイ。(あてはまるのは、3!授業が終わったら、最短時間で校舎を出ることが目標の子でした・・・ウーン…。)では親は?

中学受験に成功する親の例

  1. 保護者会や面談など、塾側の働きかけには応じる
  2. 提出書類の形式が守られ、期限内に提出する
  3. 面談時には一方的に話さず、塾側の話を真剣に聞く
  4. 面談のアドバイスを実行に移す
  5. こどもの生活管理が行き届いている

全てをクリアするのは到底無理!というワタクシタイプのお母様、それならば、逆にこれだけはやめておこう!NG集なら、お役に立つでしょうか?

親の行動NG編

  1. 提出物を出さない
  2. お子さんの家庭環境がみえにくい
  3. 一方的な要求が多い
  4. 感情的になりやすい
  5. 話し合いを持っても、その後それが活かされていない

かんたんな話。手間を惜しんでいてはだめなのです。
子どものために親ができることは何か、常に考え、子どもをかわいがっていることが、態度や表情や行動でうかがえる親。そういう親御さんの子どもは塾としても必死で応援したくなるのです。「なんとかしてくれ」の丸投げが最も嫌われます。
「これだけの努力はしている。その上で、助けてほしい」
という自助努力を「見せる。」「高いお金を払ってるんだから。何とかしてくれよ!」の丸投げでは、結局相手は動きようがないのです。そりゃ、塾は色々言います。「お任せ下さい!」でもそれは何もかも、という意味ではないのです。生活のリズムを整え、学習計画をたてるという、外枠、フレーム作りは親の仕事。
学校説明会に足を運び、必要な書類をそろえ、過去問のコピーにいそしむ、等、事務的な面も親の仕事。生活環境にかかわる部分も親の仕事。そして、子どもの変化に気づくのも親の仕事なのです。塾にお任せ下さい!は「ウチのカリキュラムにしたがって、授業を受け、課題をこなせば、合格できる。ついてきてください!」という話。集中して授業を受けるには睡眠不足はだめです。気力体力もある程度必要。そんな態勢作りまで塾ができるわけがない。モチベーションもそうです。「子どものやる気を引き出してくれるって宣伝で謳ってるじゃない!」それはします。できます。でも完全じゃない。家庭が主導権を握って、塾がサポートする、という意識でないとクレームばかりが頭によぎります。時間とエネルギーの無駄になります。
家庭学習だって、塾からの働きかけには限界がある。
なかなか動かない子どものお尻をぱんぱんするのは、塾側ではなく、本来親の仕事なのです。
受験に主体的にかかわる意識、依存しないで利用する意識、これが必要。
ここを踏み外すと、親子で迷走を始めてしまいます。
それでは利用する価値のある良い塾とは?

利用価値の高い塾のチェックポイント5つ

  1. 子どもの学習状況、成績を把握し、どこをどう補強すべきかを提案できる
  2. 学習計画を立てるアドバイスができるor学習計画のモデルを提示してくれる
  3. 時期別に今なすべきこと、到達目標を具体的に提示できる
  4. 合格のために必要なことと不要なことを振り分けてくれる
  5. 学校情報、入試情報に精通し、志望校選定、受験日程を戦略的に提案できる

上記5つに関しての質問、相談は積極的にしましょう。
この5つに関して、自塾の対応がプロとして頼りない、と感じるならば、それは残念ながら利用価値の低い塾に入塾してしまったということ。熱意があっても、スキルが伴わないスタッフ、塾講師は、残念ながらプロとはいえません。早い時期なら撤退!別の塾へ。微妙な時期、遅い時期なら、塾側の与えられるサポートのみを利用して、あとは自助努力で補う。他機関の学習相談やアドバイスを利用する。いずれにせよ、主体的に塾とかかわっていれば、手遅れになる前に気づいて対処できるのです。

主体的に塾と係るコツ

  • 志望校合格に向けて、今何をなすべきか、どうすれば実行にうつせるか、具体的方策を明確にしましょう。
  • 子どものノート、テキスト、ときどきチェックしましょう
  • 今何を学習しているのか、単元についてのかんたんな知識を入れましょう
  • 親も中学受験について勉強しましょう

そしてこれらのことについてわからないことがあれば、その都度、塾に聞けばいいのです。

私の座右の銘は「天は自らを助くものを助く」です。自助努力、これなくして人は動きません。あ~~やっぱりモノグサ体質の親の子は不幸なのです・・・(反省)。

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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中学受験塾とは

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中学受験塾とは

塾や予備校はサービス産業ですから、顧客の満足が第一。
そしてその顧客満足は、生徒さんの志望校合格に足る学力の養成にあります。
ですが、通常、対象が中学生以上にもなれば、カリキュラムを消化して学力を伸ばせるか否かは本人次第、という部分が肯定されることが多い。
早い話、不合格は「落っこちた当人の努力不足・戦略ミス」として受け止められることが多いのですね。
が、中学受験塾はちょっと異なります。
聞いたことありませんか?
「○○塾でウチは失敗したわ。ほかのところに行かせるべきだった。」
そうなんです。
小学生だと、不合格は塾の責任、と考えるご家庭が少なくないのです。
なぜか。それはおそらく対象が周囲の影響を受けやすい小学生であることに起因しているのでしょう。

ご家庭が、塾側が指導料として受け取っているはずの費用の対象である指導内容に、さまざまなサービスを暗黙の裡に期待するのです。
つまり、塾側が指導料として受け取っているはずの費用の対象である指導内容に、学習の習慣づけやモチベーションアップ・維持などの精神的なものまで、ぼんやりと含まれてしまう・・・。 中学入試は親子の受験と言われるように、親の介入なしの合格も難しく、その分、親御さんに対してのサポートもサービスとして付加されることが期待されているのです。

中学受験塾の担う、このサービス対象のあいまいさ、不確かさ、中学受験塾に対する顧客からの期待値と要求度の高さ。
これが中学受験塾側から見れば、現場での臨機応変、柔軟性をもって対応、対処すべき案件を生み出すといえるのです。
たとえば、親子げんかした!もう中学受験自体やめる!というようなご家庭内のトラブルにも対応することがあります。
親子で煮詰まっているので、第三者として冷静に意見を述べ、親子間の調整をすることで、再び受験に向かう態勢を整える手助けをする、といった事例は、おそらくどこの中学受験塾でも起こっていることではないでしょうか。
塾内で起きた友人関係のトラブルも、当然対処の範囲内です。
モチベーションが下がっているお子さまへの声掛け、面談等も行われます。
課題をしないお子さまを呼び出し、叱責する塾もあります。
が、こういう場合は、こうだというマニュアル化が非常に困難。
かつ、がちがちにマニュアル化してしまうと、途端に現場が硬直化を起こして、全体の不満足につながるという、なんとも難しいサービスを行っているのが中学受験塾なのです。
だからこそ気をつけたい塾とのつきあい方。
サービス対象があいまいさを含んでいる分、気を付けなければ過剰にサービスの提供を求めるクレーマーママになってしまう、逆にせっかくサポートしてもらえるのに、遠慮して言い出せずにチャンスを逃してしまう、等々、行き過ぎも引っ込みすぎもお子さんにより良い環境を与える結果にはつながりません。
親としてどういう姿勢、ありかたで塾とつきあえば、後悔の少ない受験ができるのか。
そしてどのようなお子さんが塾側のサポートを成績に反映させて合格を勝ち取るのか。
塾とのおつきあい、実はなかなか奥が深い!
相手は子ども。 小学生。 初等教育の段階です。
まだまだ社会のルールも身についていない、やわらかな存在。
こちらのちょっとした働きかけでいかようにも変わりうる危うさを持っています。
指導方法も中学生以降とは異なりますし、講師との相性が成績を左右する割合も高い。
ちょっとした働きかけ次第ですくすく伸びるポテンシャルも秘めています。
中学受験は、子どもと接する立場の人間の対応がダイレクトにお子さまに影響する、特殊性を持っているのです。
だからこそ親が塾とどう関係を結ぶかで、親子で受験生活の居心地、精神的安定が変わってくる!
「塾を信じておりますので」の丸投げ型は大変危険。
「塾なんてお金目的よっ!」のヒステリー型はもっと危険。
塾の特性を知り、最強の味方とするべく、どう働きかければ、「○○○塾」を「ウチの子の塾」に変えられるのか。
プロとして見た立場からお話しさせてください。

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。

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塾選び

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中学受験の塾選び

中学受験をすることにしたご家庭がとる選択肢は3つ

  1. 集団塾
  2. 個別指導塾・家庭教師
  3. パパ塾・ママ塾(通塾せず、家庭での指導)

いずれかに入塾すること。
実際は、3はほとんどなく、1を選択するご家庭が多いのが実状でしょう。
1と2の併用も多そうです。では、それぞれの良い点・問題点を挙げましょう。

集団塾、個別指導塾・家庭教師、パパ塾・ママ塾の良い点・問題点

1.集団塾

良い点

  • 仲間がいるので、通塾が楽しい
  • 集団授業の中で、ほかの子の考え方や意見を聞いて刺激を受ける可能性がある
  • 時期に合った受験情報が提供され、必要なカリキュラムが組まれていて、安心できる
  • 定期的にテストがあり、自分の位置や実力をたしかめやすい

問題点

  • ともだちトラブルにまきこまれやすい
  • 授業を聞いていなくても、進む
  • 授業中、わからないとき、質問しにくい
  • 志望校対策が手薄(添削指導の不足)
  • わが子に合った弱点補強がしづらい
  • クラスの変動に一喜一憂し、本来の目的(志望校合格)と関係のない部分で精神的に振り回される可能性
  • 下位クラスだと自分で自分に見切りをつけやすく、モチベーションが低下する

2.個別指導塾・家庭教師

良い点

  • その子に合った指導ができる
  • わからないことがその場で質問できる
  • 志望校合格に必要なカリキュラムが組める
  • 弱点補強ができる
  • クラスの変動がないため、精神的に安定する
  • 授業を聞いていない、ということがない
  • 志望校対策が万全にとれる
  • ともだちトラブルにまきこまれない

問題点

  • 業者の当たり外れが大きい
  • 指導者の質にばらつきがある
  • 指導者の質にばらつきがある
  • コスト高

3.パパ塾・ママ塾

良い点

  • コスト安
  • 通塾時間がかからない
  • うまくいけば、親子の絆が深まる

問題点

  • 受験に必要な知識にもれができる可能性
  • 受験情報にプロのアドバイスが足りない点
  • 親子関係が崩壊する危険性
  • めりはりがなく、緊張感の持続が困難な点
  • 教材選びがむずかしく、むだもでやすい点
  • 受験一色で気分転換しづらい点
  • 親子共にストレスがかかりやすい点
  • プロに頼っていると得られる安心感がない点

ワタクシのお勧めは、当然、1と2。個人的には2です。(テストは他流試合をするように組めるのでテスト馴れ不足は補えます。)
良い業者、講師に当たるよう、早い時期から動いていると、長期にわたって信頼できる講師にお任せできるメリットもあります(まあ、手前味噌になりますが・笑)。では、一番選択するご家庭の多そうな集団塾選びのポイントをお話ししましょう。

集団塾の選び方

よく会社帰りのお父様が、遅くにパンフレットだけ取りにいらっしゃいますが、パンフの検討だけで決めるのは危険です。そこで!忙しいおかあさまのために、塾選びのポイント5カ条、お教えします!!!

集団塾の選び5カ条

  1. お子さんの帰宅時間から、通塾できる範囲にどんな塾があるか、ピックアップする。
  2. 実際、生徒のいる時間帯に、雰囲気を知るためにも該当校舎に足を運ぶ。
  3. できるだけ、校舎の責任者と話をする。
  4. できるなら休み時間までいて、通っている生徒の様子、スタッフの対応、講師の生徒への接し方を見ておく。
  5. 入塾テストを受けてみる。体験授業もあれば受けてみる。

1.当然ですね。ただ、6年時から時間は貴重ですが、お子さんに合った塾、信頼できそうな塾に出会えることはもっと貴重なことですので、通える範囲内の遠近は選択の考慮に入れない方が良いと思います。

2.塾によっては、モニターなどで授業の様子を見ることができます。 見るポイントは生徒の集中度。 特に後方や端の生徒さんに注目しましょう。そこが参加していなければ、人数が多すぎて、講師の力量が足りていないということです。

3.校舎は校舎長で決まると言っても良いでしょう。
合格を出す校舎は、校舎長に吸引力があります。
お話してみれば、仕事に対する熱意の有無はすぐにわかります。
また、校舎の合格実績を気にする方が多いのですが、大手塾の場合、講師の移動も多いので、あまり参考にはなりません。カリキュラムは変動しないので、校舎別より、塾全体の合格の傾向を見てください。
中小規模の塾の場合、そこのカリキュラムによる志望校の得意不得意がダイレクトに校舎の合格数に反映しますので、校舎による合格実績は参考にした方がベター。

4.休み時間は校舎の実態を知るのに、格好の時間帯。
単に騒がしいかどうか、ではなく(小学生の元気はあたりまえ)、生徒に対するスタッフや講師の対応をチェックしてください。

5.入塾テストや体験授業を受けたからといって、入塾の義務はありません。

実際の指導が味わえる体験授業は、塾選びの貴重な判断材料です。
帰宅後、お子さまの率直な感想を聞いてください。
体験後の講師の話もわが子のどこを見てくれているか、選択の判断材料として重要です。
通り一遍のことを言うようであれば、ハズレ。(「まじめにとりくんでいましたよ」「楽しそうでしたよ」「計算ミスしましたよ」的な抽象的かつ表面的な感想はいずれもいただけません。)
授業時の子どもの様子が思い浮かぶように具体的かつこまやかな報告をするなら○。
弱点とそれへの今後の対応まで話してくれるようであれば◎です。
入塾テストも塾選びには欠かせません。
その塾でのスタートが上・中・下位のいずれのクラスか、知っておいた方が塾選びの参考になります。
わが子の性格とあわせて、下位でも委縮せず、じっくりいこうとするタイプか、せめて中位にいないとやる気を失うタイプか、上位だと気後れするタイプか、など考察しましょう。
(注:Nでは、通常、初めから最上位クラスにはしません。どんなに出来るお子さんでも、上から2番目のクラスからのスタートです。もし、いきなり最上位なら、迷わず入塾を!大切にされます・笑。それくらい優秀と認められたということです。)
では、実際各塾、どのような特色があるのでしょうか?
実は春野家では、SAPIX、日能研、市進と3つの塾を体験いたしました。
実は個別も家庭教師も体験しております。元日能研講師としてのプロの視点から、それぞれの特色をお話しいたします!
各塾の特色はこちらをクリック ⇒

春野 陽子のプロフィール

日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
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塾選択時の心構え

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よくある塾選びの質問

受験成功した先輩ママにあやかろうと、通わせていた塾のことを聞くお母様は多いです。(勿論ワタクシもかつてはその一人。)
ところが、相談すれば、必ず帰ってくる答えの定番が実はコレ。
「そうねえ、ウチの子どもには合っていたわねえ・・・。でも、あくまでウチの子には、よ。先生が好きで、室長さんも親身になってくださって・・・でも、お宅に合うかどうかはわからないわ。ためしに行ってきてお話し聞いてきたら?」
こちらとしては大いに迷っているからこそ、ズバリ!「良い塾よ~~。オススメよ!」という後押しがほしいのが本音。
でも実はこの先輩ママたちの答えの定番こそ、真実をついているのです。

個別指導塾には相性がある!

いわくウチの子に合っていたからといって、年度も性格も異なるあなたのお子様に合うかどうかは保証のかぎりではない
これをひっくり返すとウチの子に合わないと思った塾も、あなたのお子様に合わないとは限らないということでもあるのです。これは真実。大手の塾では、毎年2月に講師やスタッフ移動があります。つまり、そもそも構成メンバーが異なる。
そして、人と人との相性なんて微妙かつ個人的なものに普遍性を求めるのは無理がある。ましてや小学生。
そのときのちょっとしたタイミングの良し悪しで、人を苦手に思ったり、やたら尊敬したり、はよくあることなのです。
同じ台詞だって、子どもの性格によって、タイミングや情況によって、効果のあるなしが分かれるところ
だからこそ、事前のリサーチは徹底的に。自分の目で見、確かめ、最後は直感を信じるしかないのです。
入るまでは両目を見開いて、入ってから「こんなはずでは…」のリスクの可能性を少しでも減らす。
入ってからは、大事なポイントと、大目にみるポイントを分け、的確な対応で塾を最大限「利用」できるよう、画策する。
相手があまりにひどいようなら、退塾も致し方なし、傷が浅いうちに撤退!も一つの方法。
何がわが子に必要なポイントであるかを把握し、次の塾選びに活かしていく・・・。母は忙しいのです。
モノグサものの親は、わが子の伸びるチャンスをつぶしてしまうのです。

では、塾選びの際の自分でできるチェックポイントをお話しします。→塾選びへ
もう入塾してしまったという方は、今いる塾のチェックポイントを挙げておきました。コチラへ→こんな親子が成功する!

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