メニュー

投稿日:2023年06月02日

テーマ: 算数

【文章題】つるかめ算の世界⑩

皆さま、こんにちは!

さて、前回はいもづる算(不定方程式)の答えの候補を見つける際の、ちょっとしたコツについて解説しました。

 

偶数・奇数や倍数に注目すると、答えの候補を絞り込むことができるということでした。

今回はこれを利用して、実際の入試問題で出題された少し複雑ないもづる算を考えてみましょう。

いもづる算と言えば、女子最難関のひとつである桜蔭中学がとても有名です。

桜蔭中学で実際に出題された問題にチャレンジしてみましょう。

 

【まずは立式してみる】

まずは問題を見てください。

 

ダウンロード

 

前回までの問題と違う点は、わからないことが3つあるということです。

6個入りの菓子箱、9個入りの菓子箱、ばら売りのお菓子、それぞれの個数を求める必要があります。

大変そうに感じますが、コツをおさえればわりと簡単に解くことができます。

いもづる算の基本はまずは立式してみることでしたね。

6個入りの菓子箱の個数を〇、9個入りの菓子箱の個数を△、ばら売りのお菓子の個数を□として立式します。

すると、以下のような式ができますね。

少しでも数を簡単にするために、両辺を20で割っておきます。

 

ダウンロード (1)

 

さあ、ここからこの式を成り立たせる〇と△と□を探さないといけません。

やみくもに探しても切りがないので、うまくポイントをおさえて手早く処理したいです。

 

【偶数・奇数や倍数に注目する】

まずは、前回解説した偶数・奇数という点に注目してみます。

40×〇は〇がどんな数でも偶数、6×□は□がどんな数でも偶数になります。

そして439は奇数です。

ということは、59×△は必ず奇数にならないといけないことがわかります。

偶数+偶数+偶数の答えは偶数ですが、偶数+奇数+偶数なら答えは奇数だからです。

 

ダウンロード (2)

以上のように式を見ることができると、△にあてはまる数は1,3,5,7の4つしかありえないことがわかります。

 

△が7を超えると、それだけで439を超えてしまうので、7より大きい数を考える必要はないです。

これがわかるだけで、答えを探す作業は格段に楽になります。

あとは、この4つに関して、場合分けをしてひとつひとつ答えを確認していく作業になります。

これも大変なように感じるかもしれないですが、コツをおさえれば答えはすぐに見つかります。

ためしに、△が1の場合を考えてみましょう。

△に1をあてはめて、式を少し整理してみると以下のようになります。

 

ダウンロード (3)

 

上の式を見て、式を成り立たせる〇と□がすぐにピンと来ますか?

ここでも、前回解説した倍数という点に注目してみます。

20×〇は10の倍数で、190も10の倍数なので、3×□も10の倍数でないといけません。

□はばら売りの個数を表していますが、問題の条件でばら売りの個数は20個以下となっています。

ですから、□の候補は10か20のどちらかしかありえないです。

 

ダウンロード (4)

 

ここまで来れば、あとは□に10と20をあてはめてみて確認するだけです。

□が10のときは、〇は8になります。

□が20のときは、〇は6.5になってしまいますが、〇は個数なので小数になってしまうのはダメです。

ということで、△が1のときは、〇は8で、□は10しか答えがないことがわかりました。

 

【1の位に注目する】

では、次に△が3のときを考えてみましょう。

先ほどと同様に、△に3をあてはめて式を整理してみます。

すると、以下のようになります。

 

ダウンロード (5)

 

ここでも、この式にあてはまる〇と□を考えるわけですが、この場合はどう考えたら簡単でしょうか?

ここでは1の位に注目するという、ここまでに紹介してなかった新しいコツを使ってみます。

20×〇は〇がどんな数であっても1の位は必ず0になりますね。

しかし、答えの131は1の位が1です。

ということは、3×□の答えは、1の位が1であるような数にならないといけないことがわかります。

 

ダウンロード (6)

 

よって、□にあてはまる数は7か17です。

九九の3の段を考えてみてください。

3の段で1の位が1になるのは、3×7=21だけです。

ですから、□にあてはまる数は7か17しかないことがわかるのです。

あとは△が1のときと同様に、□に7と17をあてはめてみて確認するだけです。

□が7のときは、〇は5.5なってしまうのでこれはダメです。

□が17のときは、〇は4になりこれはOKです。

ということで、△が3のときは、〇は4で、□は17ということがわかりました。

 

【残りは自分でやってみよう】

△が5のときについては、ここまでお伝えしたコツを意識して、ぜひ自力で求めてみてください。

〇が3で、□が4と求められれば正しく求められています。

また、△が7のときは、この式を成り立たせる〇と□はありません。

これも、ぜひ自分自身で確認してみてください。

ということで、答えは以下の3つになります。

6個入りが8個、9個入りが1個、ばら売りが10個

6個入りが4個、9個入りが3個、ばら売りが17個

6個入りが3個、9個入りが5個、ばら売りが4個

 

【最後に】

いかがでしたでしょうか?

桜蔭中学の入試問題でも、正しくポイントを押さえて考えれば、答えはすぐに見つけることができます。

特に、桜蔭中学を受験するなら、今回のような作業はノータイムで反射的にできるようになる必要があります。

そこまでのレベルにたどり着くには反復練習するしかないので、頑張ってたくさん練習しましょう。

 

ここまで10回にわたって、つるかめ算の基本から応用まで順番に見てきました。

最初のブログにも書いたように、つるかめ算は他の分野の問題の中で使うことも多く、非常に重要です。

中学受験の算数の重要な基礎力のひとつなので、ぜひ理屈を正しく理解して丁寧に練習してください。

必ず様々な問題で役に立ちます。

頑張ってください。

次回からは、まったく新しいテーマを扱っていきます。

お楽しみに。

 

では、また次回お会いしましょう!

 

算数ドクター