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投稿日:2022年06月24日

テーマ: 理科

発泡入浴剤~身近な科学の話⑤

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

梅雨、真っただ中ですね。
関東甲信の梅雨明けは平年値が7月19日ですから、
明けるのはまだまだ先かもしれません。
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私は雨が嫌いなので、早く梅雨が明けてほしいのですが……
梅雨が明けるということは、
オホーツク海気団を押しのけた小笠原気団の温暖湿潤な
空気に包まれるということでもあります。

つまり、梅雨が明けた途端に、いきなり蒸し暑い夏がやってくるのです。
それも嫌だなぁ……こうなるとただのワガママですね。

ところで、暑くなってくると、入浴時に湯船にはつからず、
シャワーだけで済ませてしまう人も多いらしいですね。
でも、きちんと湯船につかった方が疲れもとれるし、
夏バテの予防にもいいらしいですよ。

最近では、メントールなどの成分が入っていて、
入浴後に涼しく感じるような入浴剤もあります。
上手に利用して、蒸し暑い夏を快適に乗り切りましょう!
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そんなわけで、今回の身近な科学は「発泡入浴剤」がテーマです。

お風呂に入れるとシュワシュワと泡を出す発泡入浴剤。
そもそもあの「泡」の正体って、なんの気体かご存知ですか?
正解は「二酸化炭素」です。

地球温暖化防止の観点から、すっかり悪者になってしまっている
感のある二酸化炭素ですが、お風呂のお湯に溶けていると
血行促進効果があるのだそうです。

皮膚から吸収された二酸化炭素が血管を押し広げることで、
血管が太くなり、血液が流れやすくなるのです。

では、その二酸化炭素は、どのように作っているのでしょうか?
せっかくですから、ちょっと問題(クイズ?)にしてみますね。

第1問
次の中で、二酸化炭素が発生するものをすべて選びなさい。
① ろうそくを燃焼する
② 石灰石(炭酸カルシウム)に塩酸を加える
③ 重そう(炭酸水素ナトリウム)に塩酸を加える
④ 重そう(炭酸水素ナトリウム)を加熱する
⑤ 酸化銅に炭素の粉末をまぜて加熱する
⑥ 生物の細胞内で呼吸が行われる
⑦ 炭酸飲料を放置する
⑧ ドライアイスがとける

さて、第1問の答えは分かりましたでしょうか?
なんと、正解は「全部」です!
中学受験に関わるものだけでも、こんなにあるのですね。

では、次の問題です。

第2問
第1問の選択肢①~⑧の中で、発泡入浴剤から二酸化炭素が
発生する仕組みにもっとも近いものを選びなさい。

さあ、ここが今回のブログの本筋ですよ!

ほとんどの入浴剤に、成分として「重そう(炭酸水素ナトリウム)」が
含まれていることを知っている人にとっては、
もしかすると2択の問題だったかもしれませんね。
でも、その2択で間違えた人も意外に多いのではないでしょうか?

炭酸水素ナトリウムが、お風呂のお湯で加熱されて?
いえいえ、違います。
正解は③の「重そう(炭酸水素ナトリウム)に塩酸を加える」です。

もちろん、入浴剤の中には塩酸なんて入っていませんよ。
でも、塩酸の代わりに「コハク酸」や「フタル酸」などという成分が入っていて、
これらがお湯に溶けることで酸性になり、重そうと反応するのです。
おうちに発泡入浴剤があるという人は、ぜひ成分表を見てみてくださいね。

この、「発泡入浴剤」に近い仕組みを選ばせる問題は、
過去に中学入試でも出題されています。
身近な科学として、ぜひ覚えておいてください。

次回も「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

理科ドクター