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投稿日:2022年08月05日

テーマ: 算数

問題対応力up!~場合の数の見極め③~

皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。

算数の「場合の数」をテーマについて3回に渡ってお話ししていますが、今回はいよいよ実践編です!

これまでに、順列と組み合わせの使い分けと重複無く場合分けすることの重要性についてお話ししてきました。そのことを理解したうえで、様々な学校の入試問題でよく出題されるような典型パターンの問題で練習すれば、多くの問題に対応できるようになるでしょう。

今回は、そこまでの練習を積んだ人に向けての内容です。
計算処理を使って作業を減らし、解くために必要な時間を短縮することができるようになりましたが、実戦的な問題では計算しただけで完了するのではなく、計算と具体的な書き出しを組み合わせる問題がよく出題されます。条件に当てはまるものを具体的に書き出すことが場合の数の考え方の大元にあることを忘れないようにしましょう。

では、そのような特徴のある問題を見てみましょう。

問題
5個の数字1,2, 3, 4, 5から異なる3つの数字を選んで, 2けたと小数第1位で表わせる数(□□.□の形)を作り, 小数第1位を四捨五入すると何通りの整数ができますか。

数字を並べて、数を作る典型題の発展的な問題です。
十の位、一の位、小数第1位の3つの数を並べることになるので、数字の並べ方は順列の考え方を使って5×4×3=60より60通りあります。数を並べた後に四捨五入をするので、そのまま解答とはなりません。

実際に小さい順に書き出してみましょう。
まずは十の位の数が1の場合から書き出してみます。
20220805_blog1

四捨五入のルールの通り、小数第1位に5が並び繰り上がると、一の位の数が1大きくなることが特徴です。
しかし、実際に書き出された数は、12・13・14・15の4つであり、一の位の数を2から5の数字から選んだだけのように見えます。

このあと、十の位の数を2から5に変えて調べていくと、くり返しが起こりそうなので4×5=20より20通りの整数が書き出されそうです。

ここでしっかりとブレーキをかけてください。そのまま終わるのであれば、四捨五入という特徴的な条件が全く影響していないことになります。影響しないのであれば条件として与えるでしょうか?

十の位が2の場合について書き出してみましょう。
20220805_blog2

先ほどと同じように小数第1位に5が並び繰り上がると、一の位の数が1大きくなっていますが、気がついたでしょうか?

21.5を四捨五入したときに、22という十の位と一の位が同じ数になる整数が生まれています!
カードを並べて整数をつくるだけの問題とは、ここに大きな違いがあるわけですね。

同様に32.5から33、43.5から44が生まれます。
54.5は十の位と小数第1位に同じ数が並んでいるため、55は生まれません。

解答としてまとめます。
・十の位が1、5の場合は、4通り
・十の位が2、3、4の場合は、5通り
⇒4×2+5×3=23より23通りの整数ができる。

考え方のポイントを整理してみましょう。
①順番が関係あるかないかから、順列と組み合わせの考え方のどちらを使うか見極める
②重複が発生しないように、場合を分けて整理する
③特徴を見抜くために基本に立ち返り具体的に書き出す

様々な分け方がありますが、このポイントを何番まで使って解く問題かによって場合の数の問題の難度が変わるととらえることも一つの方法です。全ての問題において今回お話しした③までの考え方を使うわけではありません。むしろ、①②の考え方ができていれば解決できる問題の方が多いと言えるでしょう。しっかりと考えて解いたはずなのに、自分の解答と模範解答が合わないような問題は③の考え方まで必要だった可能性が高いので、解説なども参考にしながら問題対応力を高めていきましょう!

家庭学習の際は、ある程度の時間をかけて処理能力を磨くトレーニングをおこなって欲しいのですが、制限時間があるテストにおいては、場合の数の問題だけに時間を費やすわけにはいきません。その点においては規則性に関する問題も同じ特徴を持っています。

テストの時間を有効に使うためにも、場合の数の問題は①~③のどこまでの考え方を使うことになるか見極め、時間内に解くと判断するのであれば出来る限り短時間で正確に作業と計算を進めましょう。見極めたうえで解かないと判断して、他の問題に費やす時間を十分に取ることも算数の全体的な得点を高めるためには有効な考え方です。そのような判断ができるように、日々の学習の中で対応できる問題パターンを増やしていきましょう!

目指せ問題対応力UP!
それでは、またお会いしましょう!

算数ドクター