はじめに

お子さんは、算数は得意ですか、苦手ですか。
あるいは、好きですか、嫌いですか。
よく、「好きと得意は別物」と言われますね。
たしかに、それは正しいと思いますが、「好きだから得意になった」

というように"好き"と"得意"が密接に関係しているのも事実です。
私自身、中学受験を経験しました。算数が好きだったので、自分からすすんで難しい問題にも取り組み、得意教科と言えるようになっていきました。

問題には必ず原因があります。
その原因をきちんと把握してから対策を打たないと、効率が悪いばかりか、いっこうに問題が解決しない可能性もあります。まずは「自分を知る」必要があるわけです。

では、私はなぜ算数を好きになることができたのでしょうか。
それには、大きく分けて2つの原因があったと考えています。

1つは、「計算力」です。
私は小学2年生、3年生の2年間だけでしたが計算力を鍛えるための習い事をしていました。その習い事は、学年ごとの計算内容をマスターするまで、ひたすら似たような形式の計算問題を繰り返していきマスターすれば次の学年の計算内容へ進む、というドリル形式のものでした。
これが結構しんどい!
同じような問題をひたすら解いていく、いわば"作業"的なものですので、「またこれかぁ…」と感じることも多くありました。 ですが、2年間毎日計算をみっちりやったおかげで、小学校の授業、あるいは5年生から通い始めた進学塾でも、計算力だけは周りよりズバ抜けていました。
がんばった甲斐がありました。
子供って、周りから注目されると嬉しいんですよね。
嬉しいから、さらに頑張る。

このことによって、計算・数に対して自信を持つことができるようになり算数の学習も優位に進められたと言えるでしょう。
そしてもう1つは「わかりやすい先生・信頼できる先生との出会い」です。
これが算数を好きになった、一番大きなきっかけですね。
私は、小学5年生から進学塾に通い始めたのですが、そこで幸いにも運命的な出会いをすることができました。
「わかりやすい」というのは、もちろん1問1問の説明がわかりやすいということもありますが、私は"強調すべきポイントはとことん強調!それ以外はさらっと"というのも「わかりやすい」指導のポイントだと考えます。
私が通った塾は集団授業でしたが、算数の先生はものすごくメリハリのある授業展開を
されていました。大事なポイントを話すときは声のトーンが変わり緊張感があるのですが、そこを過ぎると、急に和やかな口調に変わり、笑いも取る方でした。
そのおかげで、「大事なポイント」で集中力が途切れる子は全くいませんでした。

極端な話、「大事なポイント」さえしっかりとおさえられれば、他の部分は"おまけ"にすぎないのです。
プロ講師たるもの、この「大事なポイント」をいかに定着させるか、に一番注力しなければならないと考えています。
また、小学生相手ですので、いかに「子供がイメージしやすい表現・具体的な現象に言い換えて説明するか」という点も強く意識して指導にあたっています。

指導法

①【重要ポイントの徹底】

各単元におけるエッセンス、重要ポイント=根本原理の理解を最優先に考えます。
お子さんが正解した問題でも、"より効率よく解く方法"や、"他に応用が利く考え方"などがあるものに関しては、その1問にとことんこだわって指導していきます。

②【計算力の強化】

計算力というのは、短期間で"目に見えて上がる"ものではありません。「毎日、コツコツと積み重ねる」ことで、じわじわとですが着実についてくるものです。ですから、ほとんどの塾に存在する"毎日の計算トレーニング"については必ず取り組んでもらいます。
また、覚えておくべき数値、くふうなどが存在するのも事実ですので、そういった値の暗記も徹底していきます。

③【生徒の考え方を大切に】

算数は、基本的に答えは1つですが、その1つの答えにたどり着くまでの道順は何通りもあります。ですから、お子さんの最終的な解答が間違えてしまっていた場合、あるいは、解説のやり方と全然違っていたとしても、ひょっとしたら、考え方自体は正しいのかも知れません。お子さんに自信を持たせるため、楽しく解いてもらうためにも、そういった点1つ1つにも細心の注意を払い指導にあたります。

指導実例

2015年度、城北中学校で出題された平面図形の問題を例にとってみます。

【問】

下の図のような三角形ABCがあり、AEとDCの交点を
Fとするとき、
DF:FC=□:□
です。

この問題、難易度としてはやや易しめと言えるでしょう。
ところが、この問題の考え方には、"平面図形が得意になる"要素がぎっしりと詰まっているのです。どのようなアプローチの仕方があるのかを見てみましょう。

【解法1】

下の図のように点Dから辺BCに平行な直線DGを
引いて考えていきます

ここで大切なのは、"なぜこのような補助線を引くのか"ということです。
もちろん、この補助線を引くことによって、下の太線のクロス型(蝶々型)の相似ができ、今求めたいDF:FCはDG:ECと等しくなるからですね。

こうすると、三角形ADGと三角形ABEがピラミッド型の相似になりますので

初めてこのタイプの問題を解くとき、あるいは、このタイプの問題が苦手で手が止まってしまう場合に、「点DからBCに平行な補助線を引いてごらん」というようなヒントの与え方はあまりよくありません。
最終的には、"この補助線を引くという発想が自力でできる"ようにならなければ意味がないのです。ですから、私は「今求めたいDF:FCが直接相似比になるようなクロス型を作ってごらん」というヒントの与え方をします。
「ここに補助線を引いたからクロス型ができたね」ではなく「クロス型を作りたいからここに補助線を引くんだね」というように、順番が逆になっただけですが、この違いが後々大きな力の差として表れてくると私は考えています。

【解法2】

下の図のように、辺AEの延長線と、点Cから
辺ABに平行に引いた直線とが交わる点をHとして
考えていきます。

お気づきになられたでしょうか。
これも「今求めたいDF:FCが直接相似比になるようなクロス型を作る」という目的から生まれる補助線ですね。下の図の太線のクロス型です。
この場合、求めたいDF:FCはAD:CHと等しくなります。

こうすると、三角形ABEと三角形HCEもクロス型の
相似になりますので、

と求められます。
上記の【解法1】と【解法2】は、どちらも「今求めたい辺の比が直接相似比になっているクロス型の相似を作る」ということに着目した解法でした。
もちろん、はじめのうちは、うまく補助線を引くことができずに苦戦するかも知れません。
しかし、苦戦することも重要なのです。「苦戦すればするほど、その問題が自分の中に残る」からです。 わからない問題(自分にとっては難しく感じる問題)を、簡単にあきらめて解説を見る・聞くだけでは、なかなか力はつきません。
自分が「つらい」と思ったときに、「もうひと踏ん張り」頑張ってみることが、さらなる成長には必要なのだと思います。
では、次はクロス型の相似から離れて考えていきましょう。

【解法3】

下の図のように、点Dと点Eを直線で結んで
考えていきます。

こうすると、求めたいDF:FCが、三角形ADE (赤)と 三角形ACE (青)の面積比によって求められます。

(受験Dr.・根本原理カード077「逆さ富士型」)
それぞれの面積が、全体(三角形ABC)の何分のいくつ にあたるのかを考えていくと、

と求められます。
さらに…

【解法4】

下の図のように、点Bと点Fを直線で結んで考えていきます。

こうすると、求めたいDF:FCが、三角形ABF (赤)と四角形AFBC (青)の面積比によって求められます。

(受験Dr.・根本原理カード079「ブーメラン型2」)
三角形ABF (赤)と三角形ACF (黄)の面積比がBE:ECと等しくなりますから、5:2とわかります。

(受験Dr.・根本原理カード078「ブーメラン型1」)
同じように、三角形ACF (黄)と三角形BCF (緑)の面積比がAD:DBと等しくなりますから、3:4とわかります。

よって

となりますので、
DF:FC=15:(6+8)=15:14
と求められます。

いかがだったでしょうか。
今ご紹介したように、たった1問にこれだけの解法が存在するのです。
この1問を解くだけであれば、もちろん上記の解法のうち1つだけ身についていればよいのです。
が、それだけでは他の問題、応用レベルではつまずいてしまいます。
このような重要ポイントが詰まっている問題については、その場でとことん触れたいのですが、集団授業ではなかなかそうはいきません。一人ひとりの状況を事細かに把握することも難しいので、その子にふさわしい、その子が本当に必要としている"ピンポイントの指導"ができないのです。
しかし、個別指導であれば可能です。目の前のお子さんの状況を把握しながら、その子に不足しているポイントだけ重点的に触れて補っていけばよいので、効率よく学習を進めていけます。
さあ、ぜひ受験Dr.の個別指導で、一緒に楽しく算数を学んでいきましょう!