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投稿日:2019年05月24日

テーマ: 算数

間違えやすい「平均の速さ」を理解しよう

こんにちは!
受験ドクターのRS講師です。

今日は「平均の速さ」についてのお話です。
最後にちょっとした裏ワザも教えちゃいますからね。楽しみにしておいてください。

さて、「平均の速さ」
これ、生徒はものすごくよく間違えるテーマなのです。

問題:「A地とB地を自動車で往復しました。行きは時速40㎞、帰りは時速60kmでした。往復の平均の速さを求めなさい。」

生徒:「はーい。50㎞でーす。」

というパターンですね。
正しい答えは48㎞です。

どうしても「平均」という言葉のイメージが先行するので、「足して個数で割る」という方向に頭が行ってしまいます。
すると、(40+60)÷2=50km/時とやってしまうわけですね。
何を隠そう、勉強に不真面目だった少年時代の私も、模試でこの問題が出たときに同じように書いたことを今でも覚えています(笑
ある意味、6年生の夏休み前ごろの、その生徒さんの算数の理解度を把握するのに、この1問をぶつけてみるだけで大体の予想がついてしまうぐらい、この問題は深い理解を必要とする問題です。

さて、「平均の速さ」という言葉ですが、そもそも「速さ」は最初から「平均」されたものだということをご存じでしたか?
例えば、60km離れたおばあちゃんのお家に遊びに行くのに、2時間かかりました → 60÷2=時速30kmというわけですが、こんなことは実際にはありえませんよね。
山も谷もあり、信号などもあります。ずっと時速30㎞で進むことは不可能です。
途中に止まったり動いたりと、いろいろな時間を合計して2時間かかったから、1時間あたり「平均すると」30㎞進んだ。だから時速30㎞だと言っているにすぎません。
すなわち、速さとは、1時間や1分間あたり平均してどれだけすすんだかを求めているわけで、「平均」と言われなくても最初から単位あたりの平均量を求めているのです。

もう一度問題を見てみましょう。
「行きは時速40㎞、帰りは時速60㎞です。往復の平均の速さを求めなさい。」
40と60の平均じゃなかったら、いったい何を平均すれば良いのでしょうか?

ここで、速さの定義に立ち返ってみて下さい。
速さとは、「どれだけの距離」を「どれだけの時間かかって進んだか」を割って平均したものです。
しかし、この問題では、距離が書かれていません。
実は、これはどのような距離で計算しようが結果は同じになるのです。

試しにやってみましょう。
距離を120㎞としてみます(割りやすいので)
こうすれば、往復240㎞の距離を進んだことになります。
行きに120÷40=3時間、帰りに120÷60=2時間かかります。
ということは、「240㎞の距離」を「3+2=5時間」かかって進みました。ということです。
1時間あたりの平均を求めると、240÷5=48㎞/時 です。

では、距離を300㎞としてみましょうか。
往復で600㎞の距離となります。
行きに300÷40=7.5時間、帰りに300÷60=5時間です。
600÷(7.5+5)=48㎞/時、確かに同じですね。

時速60㎞と40㎞で往復すると、平均時速は必ず48㎞となるのです。
なぜでしょうか。
面積図を使って説明してみます。
面積図は、「かけ算で表せるものは、面積に置き換えることができる」という考え方から生まれたものです。ここでは、「縦」=「速さ」、「横」=「時間」とすることで、長方形の面積が「距離」を表すことになります。

平均の速さ1

これを面積図で表すと次のようになります。

平均の速さ2

ここで、ポイントになるのは、「同じ距離」を進むとき、速さの比と時間の比は逆比になるというところです
往復するのですから、距離は同じです。
時速40㎞と時速60㎞のように、速度の比が2:3だとすると、かかる時間の比は3:2となり、二つの長方形の面積は同じになります。
この二つの長方形の縦を揃えて平均化したものが「平均の速さ」なのです。

平均の速さ3

面積全体を横の長さ⑤で割るという求め方も良いですが、面積図から平均を求めるときは、移動する部分の面積(緑と赤のところ)のみに注目して解くというのが王道です。
赤い部分の面積=緑の部分の面積となっていますから、横の長さが3:2なので、縦の長さが2:3となります。

平均の速さ4

というように、平均時速は48㎞となりました。

このように往復の距離が何㎞であろうと、平均時速が同じになるのは、「面積図内で移動させる部分の面積が、速度の比によって決まっているからだ」と言えます。

ということで、ここから一つの公式のようなものを作り出すことができます。

平均の速さ5

食塩水のてんびん法について触れたブログ
http://www.chugakujuken.com/koushi_blog/shibata/20180824.html

でもご紹介したてんびんの線分図を利用してみましょう。
時速40㎞と60㎞の平均時速は、差の20㎞を速度比の2:3で8:12に分け、40+8、もしくは60-12となるとわかります。

平均の速さ6

食塩水のてんびん図とは比が逆になる点が異なりますし、逆比になっていないので、てんびん図というには些か違和感がありますが、求め方の原理は同じです。
このように往復の平均の速さは、与えられた二つの速さ比によって決まるわけですね。

仕上げに少し練習問題をやって終わりにしましょう。
(1)行きが時速30㎞、帰りが時速60㎞のときの平均時速

(2)行きが時速24㎞、帰りが時速40㎞のときの平均時速

(3)行きが時速42㎞、帰りが時速56㎞のときの平均時速

答え
(1)
平均の速さ7

答え40km/時

(2)
平均の速さ8

答え30㎞/時

(3)
平均の速さ9

答え48km/時

それでは今回はこのへんで。
(^.^)/~~~

算数ドクター