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投稿日:2018年08月16日

テーマ: 理科

花火の色の科学――「炎色反応」の話

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

昨日、自宅の近所で、毎年恒例の花火大会が行われていました。
食後のデザートにスイカをかじり、少し涼しくなりはじめた風を感じながら花火を眺める……
やはり、花火は夏の、重要な風物詩の一つという気がします。
(残念ながら、今年は授業をしていたので見られませんでしたが……)

実際に、毎年お盆の頃になると、各地で多くの花火大会が行われています。
しかし、昨年のゲリラ豪雨による落雷事故の影響で、開催日を秋にずらすところもあるようですね。
安全が最優先ですから仕方ないのでしょうが、個人的には少し残念な気がします。

さて、夜空を飾る色とりどりの花火。
単色の花火もきれいですが、様々な色に変化する花火も華やかで良いですね。
皆さんは何色の花火がお好きでしょうか?

あの花火の色には、「炎色反応(えんしょくはんのう)」というものが使われています。
過去にも、中学受験の問題になったことがありますので、これを今回のテーマにしてみましょう。

① 「炎色反応」の思い出

子どもの頃、私は親せきの老夫婦(直接の祖父母ではない)の隣に住んでいました。
正確に言うと、土地の一部に住まわせてもらっていたのです。

その土地には広い庭があったため、秋になると落ち葉を集めて焚火をするのが恒例行事でした。
(私の場合、焚火そのものよりも、焼き芋の方が楽しみでしたが……)

実際に落ち葉焚きをした経験のある方には頷いていただけると思いますが、
落ち葉だけを燃やそうとしてもなかなか燃えません。
そこで、古新聞やチラシなどを一緒に燃やしていました。

早く焼き芋ができるように(?)火を見張っていた私は、そこでちょっとした発見をしました。
カラー印刷されたチラシが燃えるときに、炎に色がついていたのです。

その様子を見て、ちょっとしたアイディアが浮かびました。
「水色のチラシを燃やせば、当時大好きだった水色の炎ができる!」と考えたのです。

さっそく横に積んであるチラシの束をあさると、きれいな青空を背景に印刷したチラシがみつかりました。
これで、美しい水色の炎を見ることができる!
期待に胸を躍らせながらチラシを炎の中に投入すると……なんと、緑色の炎が上がりました。

幼かった私は大混乱。
「まあ、緑色の信号のことを『青信号』って言うくらいだから、青と緑は同じなんだろうな」
という理由にならない理由で自分を納得させて、そのことは忘れてしまいました。

② やっと謎が解けた! 高校時代の化学の授業

緑色の炎のことは記憶の片隅に追いやられ、部活に遊びに忙しかった高校時代、
当時から好きだった化学の授業で「炎色反応」について学習しました。

金属を燃焼させると、その金属の種類に応じた色の炎ができるというのです。
冒頭でお話しした花火も、火薬の中に金属の成分を混ぜて、炎に色をつけています。

金属の種類と炎の色は、次の通りです。

花火 色

この授業を聞いて、私の頭の中では、様々な記憶が一瞬でつながりました。

先述の、落ち葉焚きで見た、「水色のチラシ」と「緑色の炎」。
中学校の授業で聞いた、「銅を含む水溶液は青色になる」という話。
そして、「銅の炎色反応は青緑色になる」ということ。

おそらく、落ち葉焚きの時にときに燃やしたチラシの青い色は、銅を使ったインクだったのでしょう。
そして、そのチラシを燃やしたことで、銅の炎色反応が起こって青緑色の炎が上がったのです。

幼い頃の謎が、十数年越しに解決した瞬間でした。
私が化学専攻の道に進んだ最大のきっかけは、この時の感動だったのだと思います。

③ 再び「花火」の話

一般的な打ち上げ花火(漫画に出てくる爆弾みたいな形をしています)は、
大きく分けると3種類の火薬でできています。

一つ目は、花火を上空まで打ち上げる火薬。
二つ目は、上空で花火を球形に破裂させる火薬。
三つめは、きれいな色に光って、花火の形を見せるための火薬です。

この三つ目の火薬のことを、職人さんは「星」と呼ぶそうですよ。
やはり、夜空で輝くからでしょうか?
何だか、粋な名前ですね。

この「星」は、中心となる芯の周りに、金属を混ぜた火薬をまぶして作ります。
ここで混ぜる金属の種類によって、何色に輝くかが決まるのです。

どのタイミングで燃えて、何色に光るのか……
とても緻密な計算と、長年の経験によって美しい形ができているのですね。
たまには、そんな職人さんたちの想いを感じながら花火鑑賞をするのも良いものです。

ちなみに、線香花火で遊んでいると、小さな火花みたいなものがチリチリって飛び出してきますよね?
あれは、火薬の中に混ぜた鉄粉が燃えた時の反応です。

炎色反応ではありませんが、これも金属を利用していたのですね。

理科ドクター