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投稿日:2018年02月14日

テーマ: 算数

N進数を攻略しよう

みなさん、こんにちは。
算数・理科を担当している大木快です。

今回は算数の学習法についてお話ししたいと思います。

ひとつの単元をマスターしていく手順として

①仕組み(=根本原理)の理解
②必要な操作・作業の手順を覚える
③出題パターンに慣れる

の3段階を考えます。それでは今回の問題です。

0,1,2の3つの数字を使って小さい順に
1,2,10,11,12,20,21,22,100,101,102,110…
と数字を作っていきます。

(1)2019番目の数字を求めなさい。
(2)2020は何番目の数字ですか。

手順① 仕組み=根本原理の理解

まず、N進数の問題であることは、学んでいれば分かるはずです。

では、何進数でしょうか?

2進数と答えるお子さんが多くいます。なぜでしょう。

「数字が2までだから、2進数」と考えてしまうわけです。こういう間違いをする場合は、位取り記数法の意味を確認する必要が出てきます。
いつも使っている10進数を

1,2,3,4,5,6,7,8,9

と書いていきます。「十」という数字はありますか?
「10」でしょうか。でもよくみると1と0ですね。

そうなんです。

10進数には「十」がないんです。

1円玉を10枚集めると、10円玉に交換して、1つえらくなる(位があがる)という事なんですね。

では10進数で使っている数字は何種類でしょうか。

0,1,2,3,4,5,6,7,8,9 …0を含めて10種類ですね。

これと同じように考えると、
2がないのが2進法…0,1の2つの数字を用いる 1が2個集まると位が1つ上がる
3がないのが3進法…0,1,2の3つの数字を用いる 1が3個集まると位が1つ上がる
と、無理なく全体像が分かってきます。

続いて、2進数のトレーニングをクイズ形式で行いましょう。小さい順に数字を書いていきますよ。
1
10
11

この次は?

「20」にしたくなるお子さんが少しいます(30%くらい)。

2桁目の2は偉くなって1つ位が上がるので
100 が正しいですね。さらに続けます。

101
110
111

この次は?

今度こそ、と思いながらも、やはり「200」にしたくなるお子さんが、います(30%)。さっきの100はうまく答えられたのに(!)正解は1000でした。
こんな風にクイズ形式で学べば、楽しくN進数が攻略できそうです。

手順②=必要な操作・作業の手順を覚える

N進数で必要な操作は

・10進数→N進数
・N進数→10進数

この2種類の変換です。このうち

・10進数→N進数

は、Nで連除(繰り返し割り算して余りを出す)する方法が一般的です。

・N進数→10進数

では、N進数の各位がどのような数を表しているかを把握し、個数をかけて集計していきます。

(1)2019番目の数字を求めなさい。
(2)2020は何番目の数字ですか。

この問題文は、次のように言い換えることが出来ます。すなわち

(1)→10進数の2019を3進数に変換する
(2)→3進数の2020を10進数に変換する

こうなると、覚えた作業をそのまま適用すればクリアできることがわかると思います。先ほどの言い換えをスムーズに行うためには
「○番目」→10進数
を意識できることが必要です。

物を数えるときに私たちが一般的に用いているのは…10進数です。

7番目の次が10番目だと、困りますよね?

ところがこの重要な事実、当たり前すぎるからか、問題文にははっきりと書かれていない!

つまり、ここの理解が不十分だと、
作業は覚えたけど、何をどうすればよいのかが分からない
ということになります。

①の理解を伴わないで②の技術練習だけ頑張っても得点につながらない、ということなんです。理解の部分がいかに大切か分かりますね。

手順③=出題パターンに慣れる

今回のは標準レベルの問題です。しっかり訓練されていれば取りこぼさない(はずの)問題です。あとは、いくつかの出題パターンのバリエーションになじんでおきたいところです。

N進数の出され方として、いくつかの頻出パターンがあります。

・ダイヤルの回転やマス目に書かれた●印の記号でN進数を表現しているもの
・使う数字に特殊性があるもの(4と9を使わない部屋番号など。いわゆる変則N進数)

これらは、与えられた記号や図形や変則の数を、通常のN進数に変換した後、②の基本操作に進みます。頻出のパターンに慣れておけば、得点できる可能性は高まりますね。あ、これはN進数かな?という意識で問題に対応することができるようになります。

いかがでしたか。今回のおさらいです。

①仕組み(=根本原理)の理解
②必要な操作・作業の手順を覚える
③出題パターンに慣れる

平常の学習では②の技術の部分に目が行きがちですが、前提となる①の理解ができているのとそうでないのとでは、かなり違う結果になることがわかります。

さらに「N進数はできるんだけど、この問題でN進数を使うのがわからなかった」という場合、③の問題の出され方に対する訓練が足りていないことが原因とわかるので、その練習を積めば、得点できるようになります。

ところで、
3進数は三振数でもあります。ダジャレではありませんよ。
ストライク3個で1アウト
アウト3個でチェンジ…

これを3進数と言わずして何というのでしょう。

まだあります。

ボール4個でフォアボール→1塁へ進む
1塁→2塁→3塁→4塁まで進むと1点。つまり「押し出し」と言うわけで、こちらは4進数になっています。
最近は男子でもフォアボールを知らないことが普通にあるので、この話をする前に野球のルールを知っているか確かめるようにしています。

わかりやすい身近なN進数なんですけどね(笑)

またお会いしましょう。

算数ドクター