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投稿日:2016年10月31日

テーマ: 理科

2017年入試に出る! 地震のしくみ④

算数・理科担当の大木快です。

阿蘇山が噴火しましたね。火山灰も広い範囲で大量に降り積もったようで、土石流などの2次災害が懸念されます。

火山灰は流水の作用を受けた砂や石とは違い、一つ一つの粒が角ばっているので、目に入ると傷がつきやすいなど、なかなか厄介なもののようです。

今から約300年前の富士山の噴火では関東地方でも広い範囲で降灰があったといいますから、少なくとも目の前で今起こっていることから、私たちは教訓を得ていかなくてはいけませんね。

 

今回は、地震シリーズ4回目。地震に伴う液状化について解説するとともに、

入試でどう聞かれるのかというパターン研究も行います。

 

まずは基本のメカニズムから。

液状化の起こる条件

1 砂粒を多く含む、柔らかい地盤

2 地下水位が高い

3 震度5以上の揺れ

 

まず通常時の地面の中は、砂粒同士が互いに接触しています。スクラムを組んで安定しているということですね。

地震の振動によってこの結びつきが失われると、砂と土壌中の水が混ざり合い、安定を失います。

さらに行き場を失った水は、地表に噴出します。

こうして地盤が安定を失うと、建物の基礎が沈み込んで傾くなどの被害が起こります。

受験生の皆さんは知識としてここまで押さえれば十分でしょう。

2011年の東日本大震災では、浦安市などで液状化の大きな被害が注目されました。この地震の特長はとりわけ揺れている時間が長かったこと。このことが、大きな被害につながったとみられています。

 

1964年の新潟地震で4階建ての団地が横倒れになっている写真を見たことはありませんか。理科資料などでよく載っているのですが、これも液状化によるものだそうです。

液状化の特徴なのですが、この建物は時間をかけてゆっくりと倒れていったらしく、横倒れにこそなっていますが人的被害はなかったそうです。ある意味びっくりですね。

 

さて、液状化は、地震に関するキーワードのうち入試で聞かれる代表格ですが、ここからは出題のタイプを以下のように分類して、受験生に何を求めているのかを考えたいと思います。

なんだか国語みたいですね。

 

パターン① 現象の名前を答えさせるタイプの問題

「…このように地震の揺れによって地中の水分が流れ出し、家屋が傾いてしまったり、マンホールが浮き上がったりしてしまう現象を何というでしょうか

□□□現象 の空欄に漢字で答えなさい。」

クイズの懸賞で商品名を答えるのに似ていますね。このくらいのことは勉強する中できちんと覚えてほしい、というのが出題の意図です。

 

パターン② 液状化のメカニズムについて考える問題

液状化の起こった土地での具体的な被害や、液状化そのもののメカニズムについて触れた後、どのような土地で起こりやすいか、もしくは液状化を防ぐためにどのような対策が有効かを答えさせるタイプの問題

易しくするために4択にする場合もありますが、選択問題は難しく設定することもできるので注意。

液状化に関する知識そのものがすでに一般的なものになっています。最近の地震でも被害の状況が繰り返し話題になっているので、大人の間ではすでに地盤・土壌に対してどんな工事が有効か、といったことまで、一般的な知識になってきました。

このような問いであれば、答えが決まっているので、考察問題から知識問題の範囲に移ったといえるでしょう。例えば、このような問いに対しては、

・地盤を薬剤で固める

・基礎の杭をより深く打ち込む

などの答えが考えれられます。対策はしやすいですね。

 

パターン③ さほど一般化されていない、しかしながら重要な事実をデータから読み取らせる実験観察問題

例えば、ですが…

粒子の大きさと液状化の起こりやすさの関係が分かる数表を与えておいて、どういう条件下で液状化が最も起こりやすいかを答えさせる、というタイプの問題。

実は粒子の大きさで液状化の起こりやすさは異なっていて、泥や粘土といった大きさでは起こらないんです。例えば作問者がこれを出題のポイントにするとしましょう。

実験観察の問題では、結論を出す前に、与えたデータから計算をさせることがあります。しかもそれは与えた数値を計算するだけだったりします。なぜでしょうか。

それはデータから重要な事実や法則が読み取れることを、受験生に「実感」させたいからということだと私は考えています。

出題者が感じた感動を受験生にも実感してもらいたい、そして科学の世界に興味をもってほしい、という思いです。そのためのお約束の「計算」というわけです。一般に桁数の処理が大変なので、ミスには注意。

頻出の数値計算としては、地球と月の距離や、光の速さを与えられた実験データから求めていくというもの。

光の速さは、ガリレオの時代には速すぎて計れませんでしたが、これを計る装置を考えた人ってすごくない!? 私はすごいと思います。未知なるものへの到達ですから感動もします。ですので、このような問題を扱う際は、単に答えを出して終わり、にはしません。出題者の伝えたい感動を共有してこそ、もともと問題が持っていた教育的な意味が生きてくるからです。

さて本題に戻ります。

一見して未知のテーマが与えられたとき、まず考えるべきことは、次の2つです。

①解答の材料がリード文に書かれている

長大なリード文の中に、解答するための材料がそのまま埋め込まれていることがあります。接続語から文の展開を考えて、ここで○○に触れているから、○○の求め方が分かる、というふうに読んでいきます。

②数表やグラフのデータから法則を導き出せる

読み取るのは大変でも、データのこの部分に注目してほしい、というポイントを踏まえて作問されているので、少し時間をかけて、このデータから何が分かるのか、を考えることが求められます。

 

実際には根拠やヒントは探しても見つからない問題もあります。そのときはあきらめましょう。出題者の考え方も様々ですから、しょうがない。

よく練られた問題では、このあたりの作りこみがしっかりしているので、解き終わったときに「あー、そういうことか」というスッキリ感があります。

小学生が未知なるものと戦って、戦いの後、「あー、そういうことか」と言いながら何かを学びとっている、そんな問題は間違いなくいい問題ですね。

 

次回に続く

理科ドクター