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投稿日:2011年08月11日

テーマ: 算数

「タレースの定理」

今回の「基本を考えよう」は「タレースの定理」です。「タレースの定理」
というと聞きなれませんが、

    「直径に対する円周角は、直角である」

図で表すと

です。ABが直径の場合、円周上のどの点Pをとっても、角APB(円周角)
は直角になります。みなさん、よくご存知ですよね。

これを「タレース(タレス、ターレス)の定理」と言います。

「タレースの定理」はこれだけでなく、「対頂角は等しい」「二等辺三角形
の底角は等しい」など5~6個の定理を指します。今では当たり前のことば
かりですが、紀元前6世紀ころのことです。

紀元前6世紀と言っても古すぎてピンときません(笑)。しかし、日本では当
時、弥生時代であることを考えると、タレースさんのすごさがなんとなく解
ります。

     タレースさんとはどんな人物か 

タレースさんは古代ギリシャの数学者、哲学者、科学者です。

地面に棒を立てて、その影の長さでピラミッドの高さを言い当て、王様を驚
かせただとか、日食を予言して有名になったとか、オリーブの豊作を予想し
て、一儲けしたとか、さまざまな逸話があります。

当時、エジプトでは測量術が高度に発達していました。しかし、それがどう
して正しいのか、誰も証明しておらず、興味もなかったようです。

タレースさんは、「なぜ、そうなるのか」を証明し、図形に論理を組み込み、
論理で世界を考えることを確立しました。

科学、哲学、数学の創始者として、ギリシャの七賢人の一人に挙げられてい
ます。

    なぜ、直径に対する円周角は、直角なのか

では、なぜ、直径に対する円周角は直角になるのでしょうか。

タレースさんは次のように証明しました。

まず、下図において、点Pと中心Oを結ぶ補助線を引きます。

   半径はすべて等しいので

      直線OA = 直線OP = 直線OB

   になります。

つまり、

      三角形OAP と 三角形OBP は二等辺三角形

です。

上の図のように二等辺三角形の底角は等しいですから

      角OAP = 角APO = 角ア

      角OBP = 角BPO = 角イ

になります。

三角形の内角の和は180度ですから、

     角ア + 角ア + 角イ + 角イ = 180度

つまり

     ( 角ア + 角イ ) × 2 = 180度

     角ア + 角イ = 90度

になります。ですから

     角BPA = 90度

になるわけです。

今回の「基本を考えよう」は「タレースの定理」でした。