メニュー

投稿日:2011年08月18日

テーマ: 算数

記憶に残る受験生 Part.3

今回は、ラスト1ヶ月で驚異的な伸びを見せた生徒のお話。

 

彼女がドクターに入塾したのは新6年生の3月。

体験授業の際に聞いたところによると、「SAPIXでの算数の偏差値が55程度で、αクラスまでもう一歩。志望校が御三家で、αにいないと話にならないので、なんとかしたい。」とのこと。

ただ、その割には根本的な部分が理解できていない、比の使い方が身についていないという印象を受けました。

ひたすら問題を解きまくりなんとか点数をとっているという、サピ生にありがちなタイプで、恐らく6年のマンスリー・組分けはズルズルと後退するのではと感じ、「早いうちに手を打たないといけない」と体験授業中ずっと考えていたのを今でも覚えています。

 

嫌な予感通り、夏休みに入るまで成績は下降し、偏差値50を切る事態に。

原因は①5年生のときの解法に固執していること(つまり、比を使って考える意識が浸透していないこと)、②頭の中で処理する分量が多く、図を書いて考える意識がないこと、の2つであることは明白でした。

 

入塾以来、耳にタコができるほど授業のたびに注意して促していたのですが、次の授業のときには元に戻ってしまっており、同じことの繰り返し。

テストのときに速さの問題で進行図を書いたためしがない、相当算で線分図を書いたためしがないという彼女は、「難問を解く段階になって、図の書き方がわからないと言い出しても遅いんだよ。泣くのは自分なんだから。」という私の言葉を聞き入れ、天王山の夏休みに入ってからようやく改心し、図を書いて考えることをドクターの授業以外の場でも実践するようになりました。

 

夏休み中はサマーサポートのフォローに加えて、基礎トレと四科のまとめでスピード練習を行い、予習シリーズで速さと比の単元を基礎からやり直し、分野別プリントと様々な学校の過去問からの抜粋で平面図形の強化を図るという一連の学習をこなしてもらいました。

夏休みを過ぎても典型題の解法定着が今ひとつだった彼女は、サピの平常授業よりもドクターの授業とSSを優先し、志望校合格にむけてコツコツと必要な学習を積み上げていきました。

 

しかし、算数の成績は徐々に上向いてきてはいるものの、他科目の伸びが今ひとつで、早稲アカのNN選抜テストでは基準点に届かずに受講資格さえ得られず、四谷の合不合判定テストでも4教科偏差値60ちょっと、過去問も6割~7割の得点が精一杯、サピオープンも散々な結果に終わり、ご両親からは2月1日はチャレンジさせるが、2月2日の第2志望校に合格できるように、その対策に比重をかけたいとのご相談がありました。

一方で、彼女自身からは「一生懸命頑張るから見捨てないで」と。

同時期に同じ志望校のAさんを私が担当していたこともあり、その生徒と比較して見捨てられる気がしたのかもしれません。

 

(Aさんは弱冠12歳にして見た目が完全にギャル。体験授業の際に「講師の良し悪しの判断基準は、教え方よりも、顔と服装と匂い。先生ならOK。」と言い放った個性派。合不合判定テストで算数135点のときに「メチャ悪かった」とつぶやき、145点のときに「まぁまぁだけど・・・なんで満点とれなかったんだろう」と表現するツワモノ。最終的にはNN1組5位以内にまで登りつめ、余裕で受験を終えたAさんも【記憶に残る受験生】としていずれブログに登場してもらう予定です。)

 

Aさんの破竹の勢いを見て、自信をなくしたのでしょう。

「担当する生徒を見捨てることはない。手を抜くこともない。」と伝えたうえで、「他人と比較するのではなく、過去の自分と比較すること。過去の自分と比較して、できるようになっているのであれば、それでいい。昨日できなかったことが今日できるようになっているのであれば、向上している証だから。」

そんな話をしたところ、大粒の涙を流しながらうなずいていました。

10月・11月あたりが彼女にとって一番キツイ時期だったと思います。

 

12月に入り、合不合判定テスト、日能研のセンター模試と、立て続けに算数が120点を超え、授業内での問題演習の正答率も目に見えて上昇し、彼女曰く「なんか、最近解けるようになってきた気がする」

 

サピの冬期講習期間中は、講習を終えてからその足でドクターに来て授業を受ける毎日。

疲れも見せず、集中も切らさずに取り組む姿を見て、何とか間に合わせてあげたいという思いでいました。

 

1月中の受験は1校だけにとどめ、志望校の出題傾向に沿った問題演習を続けましたが、スピード・正確性も申し分なく、いつの間にこんなにできるようになったのかとこちらも驚くほどの伸びを見せてくれた彼女。

算数は万全の状態と言えました。

 

そんな算数の勢いそのままに、本番でも力を発揮してくれ、無事合格。

「サピの偏差値50とれない時期があっても、NNの選抜から漏れても、ドクターに通って先生に教えてもらえば御三家に合格できるって証明してみせたから、偉いでしょ」と笑顔で話していました。

 

ドクターに通ったから、私に教えてもらったから、ではなく、彼女自身の頑張りがすべてです。

どんなに彼女が頑張ったか、このブログの文面からはわからないと思いますが、私が傍で見ている限り、誰も真似できない領域の頑張りでした。

正直頭の下がる思いでいます。

 

 

「御三家に合格できる生徒」は、普通の受験生と比べて、『覚悟』が別次元です。

ギャルのAさんもやりたい放題のように見えて、実は『覚悟』が半端なく、見た目とのギャップに感心していました。ギャルが5時半起床で2時間学習してから学校に行っているなんて想像つかないですよね。

 

そこに甘さは微塵も感じられないのです。

 

 

さて・・・・・『覚悟』して頑張ってみる?