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投稿日:2019年02月26日

テーマ: 社会

筑駒社会にひそむ算数

「人権に関連して述べた文として正しくないものを、つぎのアからオまでの中からすべて選び、その記号を書きなさい。」
これは今年2019年の筑波大学附属駒場中学校の社会で出題された問題です。さてみなさん、この問題の答え方、いったい何通りあるか分かりますか?

みなさんこんにちは、受験ドクター算数・国語科の久米です。私はいろんな学校の国算理社4教科の試験問題を解いて、その学校のアドミッション・ポリシー(どのようなことに重点を置いて入試を行うか、どういう学力を持った生徒に入学してほしいか)を考察するという趣味を持っております。各校の入試問題のタイプを把握しておくと、自分の教えている生徒さんが入学後に馴染めるかどうかの参考資料にもなりますし、偏差値だけでは測れない真の合格可能性が分かります。また、確実に合格を取りに行く第3志望・第4志望の学校で、入試問題の相性が合うかどうかの重要な指標としても使えます。
たとえば、首都圏男子の最難関校、筑波大附属駒場の理科・社会では選択肢問題では、いくつかの選択肢の中から2つの答えを選ぶ問題や、条件に当てはまるもの全てを選ぶ問題が出題されます。選択肢問題の場合、5つの中から1つを選ぶ問題だと答え方は5通りしかありません。筑駒の受験生層では差がつきにくいことが予想されます。だから筑駒の選択肢の出題形式は複雑なものになっているのでしょう。学校が的確かつ迅速な情報処理能力を求めていることも分かります。
さて、冒頭の問題の答え方が何通りか考えていきましょう。これを生徒さんに聞くと、塾で習った積の法則を使って反射的に5×4×3×2×1=120通り!と答えるお子さんが多いんですね。120通りは5つの答えを全部使った時の並べ方なので、考え方が少々ずれています。今回はアイウエオの中から何個選んでもいいので、1つ選ぶたびに次の選択肢が減っていくという考え方は使えません。さて、どう解けばいいでしょうか。落ち着いて条件を考えてみると、意外と簡単に解けるかも?

筑駒 社会




いかがでしたか?それでは、これから解説をいたします。選択肢のアイウエオのそれぞれについての場合の数は、答えとしてふさわしいかふさわしくないかの2通りしかありません。しかも何個選んでもいいので、お互い独立して考えることができて、積の法則が使えます。

ア→○か×の2通り
イ→○か×の2通り
ウ→○か×の2通り
エ→○か×の2通り
オ→○か×の2通り

積の法則から、2×2×2×2×2=32なので、冒頭の問題の答え方は32通りあるということになります。
(別解として、答えが0個の場合→1通り、答えが1個の場合→5つから1つをえらぶので5通り、答えが2個の場合→5つから2つを選ぶので10通り、答えが3個の場合→5つから2つを選ばないので10通り、答えが4個の場合→5つから1つを選ばないので5通り、答えが5個の場合→5つ全部を選ぶので1通り、全部足し算して1+5+10+10+5+1=32通りというのもあります)
適当に答えを書いたら32分の1しか◯にならない、つまり期待正答率3%の問題ということになります。さすが筑駒の問題、といったところでしょうか。
次回は今回の話の続きで、学校をタイプ別に分けた時のアドミッションポリシーの概要をお話ししたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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