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投稿日:2019年07月30日

テーマ: 算数

受験算数のコツ!算数オリンピック・トライアル問題の考え方

みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。

今年も6月16日(日)に、算数オリンピックのトライアル大会が開催されました。
算数オリンピックの問題の中には、難しいもの・ややこしいものが多く出題され
ていますが、その問題を考える上での「一歩目」は、中学入試の難問を解く時と
同じです。今回は、その「一歩目」を実際の問題を使って解説していきます。

問題2(表現を一部変更しています)
1から9のうち、異なる6個の「秘密の数字」を入力すると開く金庫
があります。「秘密の数字」はABCDEFのような6ケタの数字で表
されています。
4人のスパイが「秘密の数字」についての情報をつかんできました。
この情報をもとに、金庫を開けるための数字を答えなさい。スパイ1 「AとBとCの3つの数字の合計は16です」
スパイ2 「AとDとEの3つの数字の合計は22です」
スパイ3 「AとCとFの3つの数字の合計は15です」
スパイ4 「BとDとFの3つの数字の合計は 8です」

この問題では、消去算で解けるかな?と思いますが、その方法では行き詰って
しまいます。大切なのはすべての可能性を調べてみるという行動力です。
「え~、そんなの面倒くさい~」と言っていては難問を解くことはできません。
答えは必ず1つ存在するわけですから、全ての可能性をしらみつぶしに探すこと
で確実に正解にたどり着けます。この「確実に」がとても価値のあることだと理解
できれば、算数の成績はもう一段階上がることでしょう。

(解説)
1から9までのうち異なる3つの和が8になるのは、
(1,2,5)か(1,3,4)の2通りです。
同様に和が22になるのは、(5,8,9)か(6,7,9)の2通りです。
その結果、スパイ2とスパイ4の数字の組み合わせは
(1,2,5)と(5,8,9)、(1,2,5)と(6,7,9)、(1,3,4)と(5,8,9)、(1,3,4)と(6,7,9)の4通りです。
スパイ2とスパイ4のヒントでは「D」だけが一致しています。
つまり、先ほどの4通りの組み合わせのうち「同じ数字が2つ入っているもの」が
正しい組み合わせとなります。それは(1,2,5)と(5,8,9)だけです。
よって、D=5が確定します。
残りは、AとEが8と9のどちらか、BとFが1と2のどちらかになります。

次はスパイ1とスパイ3のヒントを見てみましょう。
A+B+C=16、A+C+F=15 と「A+C」が共通しています。
このことから、BはFより1大きい数だとわかります。
よって、B=2、F=1が確定します。
そして、A+C=14となり、A=9だとC=D=5となって、「全て異なる」という条件に
矛盾します。したがって、A=8、C=6、E=9が確定し、
秘密の数字は826591となります。

このように可能性が限られているときは、その全てを確かめるほうが「確実」で
あり、結果として「速い」ことになるわけです。
ジグソーパズルを作るときも、最初は図柄を見比べてピースを探していきますが、
最後、全部青色の空のピースになったのであれば、一つずつ入るものを探して
いくほうが、結果として完成にたどり着きやすいのです。

もう1問ご紹介いたします。

問題9(2)
今日は2019年6月16日です。これを20190616というように、
8ケタの数として考えることにします。
今日から考えて初めて8ケタの数が99の倍数になるのは西暦
何年何月何日か答えなさい。

この問題は探すべきものが何なのかはわかりやすいのですが、
解答までの距離(どれくらい20190616と離れているのか、すぐ近くにあるのか、
それともかなり調べないといけないのか)が分かりづらいため、書いて探し出す
ことをためらってしまいます。
そこで、この問題を解くのに必要なことは、隠された規則性を見つけ出す洞察力です。

(解説)
まずは20190616を99で割ってみましょう。
20190616÷99=203945あまり61
したがって、20190616より大きく、そして最も近い99の倍数は
20190616+(99-61)=20190654となります。
しかし、2019年6月54日は存在しません。
この次に大きい99の倍数は、20190654+99=20190753です。
この2019年7月53日も存在しないわけですが、ここで「洞察力」を働かせ
ましょう。6月が7月になると、54日が53日になっています。
つまり、99の倍数であれば、月が1増えると日にちが1減るというわけです。
そうすると2019年では、8月52日、9月51日、10月50日、11月49日、
12月48日となりますが、どれもダメです。

次は2020年になります。
20200101÷99=204041あまり42、より2020年の日付で最初に99の倍数と
なるのは、20200101+(99-42)=20200158です。
この後は先ほどと同じように、月・日が増減していきますが、
20201247まで調べても日付になるものは存在しません。

しかし、気づきましたか?20191248も20201247も99の倍数なのです。
つまり、「1年増えるたびに同じ月であれば日にちが1減る」わけです。
そうすると、最初に日付が99の倍数になるとしたら、12月31日になるので、
47-31=16 あと16年経ったときとわかります。
2020+16=2036
つまり、2036年12月31日の20361231が最初に99の倍数になる日付です。

算数オリンピックのトライアル問題は、このように手を動かして答えに近づいて
いく行動力を要する問題や、作業してみて規則を見つける洞察力を要する問題
がよく出題されます。開成中や灘中を目指されるお子様は、ぜひトライアル問題
に取り組んでみて、行動力・洞察力を鍛えてみてはいかがでしょうか。

算数ドクター