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投稿日:2017年03月08日

テーマ: 算数

面積図でアプローチ!速さの差集め算

こんにちは。前回のブログで、次回は速さを面積図で、と予告しておいてから日にちが経ってしまいました!

久しぶりの更新になります。

 

今回は速さの問題を図で整理するときに使いこなしたい面積図、ということで、速さの差集め算を扱います。

 

「速さの差集め算」というのはどんなタイプの問題か。さっそくですが、次の問題を見てください。

 

【問題】

同じマンションに住んでいるジュンコさんとケンタくんがどちらも7時56分に家を出て学校に向かいました。

ジュンコさんは分速90mで行ったので始業時刻の9分前に着き、ケンタくんは分速50mでゆっくり歩いたので3分遅れで到着してしまいました。家から学校までは何m離れているでしょうか

 

 

登場するのは速さの異なる2人の人物。それぞれの速さは与えられています。

時間についてはどうでしょう。「何分かかった」とは書いてなくて、基準になる時刻に対して何分早かった、とか何分遅れてしまったという微妙な手がかりですね。

 

この問題、普通塾で教わるときは、「同じ時間歩いていたら」という仮定をして考えるんですね。

 

どのような状況かというと、

 

ジュンコさんは9分前に学校に着いちゃうんだけれど、学校に着いてもそのまま歩き続けて9分ぶん学校を通りすぎてしまう。というわけです。

つまり810mのオーバーランですね。

ありえない想定ではありますが・・・笑

 

一方で、分速50mのケンタくんが3分遅れということは、学校の手前3分ぶん、つまりあと150mのところで始業時刻を迎えることになります。

 

そうして、同じ時間で比べると「150m手前で止まってしまう人」と「810m通り過ぎた人」では

進んだ距離に150+810=960mの差ができているというわけですね。

 

この960mの差が「なぜ」ついたかといえば、1分あたり90m進むのか、50m進むのかのちがいです。

つまり1分につき90-50=40m差がつくのだから、960mの差がつくためには24分進んでいることが必要です。

つまり、先ほど仮定した「同じ時間歩いていたら」の同じ時間は24分だということがわかります。

 

そして、実際にはジュンコさんはその9分前に学校に着いていたので

家を出てから学校に着くまでにかかった時間は 24-9=15分

したがって、家から学校までの距離は90m/分×15分=1350mだとわかります。

 

ケンタくんで考える場合は、学校に着くまでにかかった時間は24+3=27分

家から学校までの距離は 50m/分×27分=1350mと、同じ結果が得られます。

 

 

と、まあここまでは普通に中学受験の塾で教わる解き方の流れです。

 

ところで、この問題で、お子さんが困ってしまうのはそもそもの話

 

「同じ時間歩いていたら」と仮定する

 

という発想が出てこなかったらどうするの。ということです。

 

ここで持ち合わせておいてほしいのが

 

「問題文の情報をそのまま図にして解く」というアプローチです。

 

 

今回の問題では「速さ」の情報と「時間」に関する情報がありますが、距離については一切触れられていません。

通常速さの状況図では、まず道を描き、登場人物の移動の様子を線で描き入れ、線の始点の脇に人物名、その下に「速さ」の情報をメモ、動きを示す線の下に、その動きにかかった「時間」の情報を描き入れます。

面積図と差集め算 1

 

この状況図には、距離の情報は長い距離は長い線として、短い距離は短い線として描かれるため、そのごとく「目に見える」という長所がある一方で、速さと時間の情報は、あくまで距離の情報に付随する「メモ」にすぎないという弱点があります。

 

そこで、速さと時間の情報を「見える化」する方法はないだろうか、というと、これこそが面積図なのです。

 

先ほどの問題をあらためて面積図で整理してみましょう。

 

「ジュンコさんは分速90mで行ったので始業時刻の9分前に着き」

面積図と差集め算 2

 

「ケンタくんは分速50mでゆっくり歩いたので3分遅れで到着してしまいました。」

面積図と差集め算 3

それぞれの場面をシンプルに描いた、これらの面積図を、統合します。

 

 

すると、どうでしょう。

面積図と差集め算 4

 

この部分は、タテ・ヨコともに数字がわかっているので、

50×(9+3)=600

面積図と差集め算 5

 

2つの場面で2人が進んだ距離は同じですから、この部分も同じ600になっていることがわかります。

面積図と差集め算 6

こうして、問題文の場面「そのまま」に

ジュンコさんが家を出てから学校に着くまでの時間を知ることができました。

面積図と差集め算 7

あとは、問題で聞かれていることに応じて、何を問われても答えられる材料がそろったはずです。

 

 

 

【まとめ】

この問題のように、速さが変化する、あるいは2種類の速さが与えられているという場面で、時間についての手がかりがある場合、速さの問題であっても面積図を描いてみることも有効なケースがあります。

今回は距離の「差」が分かっている(=0)という2つの場面でしたが、これが、

距離の「和」とかかった時間の「和」の情報であれば、今度はつるかめ算の面積図が完成します。

 

通常の状況図に加えて、面積図も駆使した情報整理術で速さを得意にしていきましょう!!

算数ドクター