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投稿日:2016年06月07日

テーマ: 算数

図はいつ描くの?

こんにちは。受験ドクターのEです。

 

受験ドクターでは私たちプロ講師が親御さんからの学習相談を無料で承っています。

今回はそのような中でよくお受けするご相談内容をご紹介します。

 

・いくら計算練習を繰り返してもミスが一向に減らないんです。

・同じような問題なのに少し文章が変わると途端にできなくなるんです。

・確認テストではそこそことれるのに範囲の広い実力テスト

(組み分けテストやオープンテスト)になると点数がガタッと落ちてしまうんです。

 

この時期に実施される小学6年生の志望校判定サピックスオープンや合不合判定テスト、志望校判定テストもまた、範囲が広い実力テストタイプですので、お子さんにこのような症状が見られると気になるところだと思います。

 

上記の傾向があるお子さんの場合

実は単に演習量を増やすのではなく、「やり方」を工夫することで改善する可能性があります。

 

計算ミスが多いお子さんは、まずその手順をよく観察してみてあげて下さい。

問題によって処理の仕方がバラバラになっていませんか?

 

あるお子さんは、分数のわり算をするときに、頭の中で逆数にしてかけ算に直したものを途中式として書いていました。けれど、ある場面では逆数にしたのにわり算のまま書いてみたり、かけ算に直したのに逆数になっていなかったり・・・

 

塾で勉強しているお子さんでも、計算は各自に任されていて案外「我流」の計算スタイルができあがってしまっているケースは多いものです。

 

頭の中でどんどん処理を進めるお子さんは同時にいろんなことをやろうとします。

それはそれで素晴らしい能力です。

けれど、複数のことを同時に意識し続け、注意を払い続けるというのは集中力の必要な作業ですし、コンディションが悪ければ即ミスにつながる「危険な習慣」とも言えます。

 

演算記号2つや3つぐらいであればまだ何とかなりますが、学年が上がって演算記号が5つぐらい並び括弧も絡んだより複雑な、ステップの長い計算になれば「我流」による行き当たりばったり処理は即、ミスの温床になります。

 

そこで、ミスを防ぐ鉄則の第1は、「1ステップ1処理」です。

帯分数を仮分数に直す。わり算を逆数のかけ算に直す。得られた計算結果を次のステップの式にあてはめる・・・

ミスが多いお子さんの場合は、時間がかかっても良いので、計算問題を処理していく1つ1つのステップをはっきり意識させて、「1つのステップで1つの処理」を徹底させましょう。

ミスを防ぐ鉄則の第2は、「処理プロセスの定型化」です。

わり算の筆算で「たてる、かける、ひく、おろす・・・」と唱えるように、まず何をして、次に何をするのか、という一連の処理を、同じタイプの計算についてはできるだけいつも同じ手順になるようにします。

次に何をしたらいいんだっけ?といちいち悩んでいるようでは当然すらすら計算することはできません。

また、すらすらやっているようでも、その時々で処理の順番が変わってしまうお子さんは要注意です。先ほどの鉄則1でプロセスを細分化したときに、プロセス内の処理に時間がかかるのではなく、プロセスとプロセスの「間」に時間がかかるタイプのお子さんは、ここが弱い可能性があります。

 

さてここからがいよいよ今回の本題です。

この計算問題の処理と、タイトルの「図はいつ描くの?」がどうつながるのでしょうか。

 

実は、文章題を練習してもしばらくすると忘れてしまう、という傾向があるお子さんは、計算問題でいうところの「行き当たりばったり処理」に陥ってしまっている可能性があるのです。

 

実は文章問題処理においても鉄則の第1は、「1ステップ1処理」です。

 

そのステップはどこから始まるのか。

そう、ここが大切ですね。

文章問題では、問題を「読む」ところから始まります。

 

この時に、お子さんは問題を「読み過ぎて」いませんか?

 

えええええっ。いつも口を酸っぱくして「よく読みなさいっ!!」って言っているのに、読み過ぎてないかってどういうこと???

 

 

はい。お子さんは先々まで読み「過ぎて」いることが多いのです。

原則は「1ステップ1処理」です。

 

「ある商品を原価200円で仕入れ、」とあれば、そこですぐ図を描きましょう。

もちろん、線を引っ張って200円、と書き込むだけの、ただそれだけの図です。

 

「原価の2割のもうけを見込んで定価をつけました。」と続けば、その線を伸ばして、伸ばした部分に〔0.2〕と書き込み、原価の部分に〔1〕と書き入れていきます。

 

図が描けない、というお子さんの多くは、授業で教わった「完成形」を初めから描こうとしがちです。

 

けれど、図はあるものではなく、問題文を読んでいくうちに、「次第に出来上がっていくもの」なのですね。

 

この発想の転換ができると、初めて見る問題に対しても、とりあえず問題の情報を図に整理してみよう!と手を動かして考えられる可能性が高まります。

 

初めて見る問題で、いきなり完成形の図が浮かぶはずはないのですから。

 

描いているうちに、「見覚えのある形になってきた」…

あ~っ、これアイツだ~!!

 

こんな感覚が得られてくると、算数の楽しさが増してきます。

 

 

多くのお子さんは、ひとしきり問題の文章を読み進め、頭の中で「なんとなく」整理して、記憶を頼りに「それっぽい」図を思い出して当てはめます。いや、面倒くさいので図すら描かないことも多いですね。実は面倒くさがるのもある意味当然です。この方法では、図を描く作業はほとんど問題を解くうえで効果がない、ただ処理時間を増やすだけの作業になってしまっていますから。

 

集団塾ではどうしても、先生がさらさらさらっと描き上げた完成した図、あるいはテキストや解説に載っている出来上がった図が印象に残りやすいので、その図が完成するまでの途中プロセスを飛ばして、この問題はこの図、という風にセットで覚えてしまうお子さんも多いように見受けられます。

 

図は「描きあがるまで」にドラマがあります。

ぜひ、問題文をそのまま図にするプロセスを「定型化」して、問題文に導かれるままに図を描き加えていって、「気がついたら見慣れた図が仕上がっていた!!」という感覚を掴んで頂きたいですね。

 

範囲の決まった毎週の学習で、テーマ別に繰り返し練習する時も、既に結論が分かっているから最初から完成形が描けるんだけれど、ここできっちり順を追って図を完成させる。この意識が大切なのです。

 

次回も引き続きこのテーマで詳しく掘り下げて参ります。

ご期待ください。

算数ドクター