村岡 樹先生 国語

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  • 元早稲田アカデミー講師:【国語】のエキスパート!

経歴・バックグラウンド

村岡 樹 むらおか いつき

※講師名はペンネームです。

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国語では/『整理』をもとに/解いていく

初めて授業を受けていただくお子様によくお話しする「探し物」の話についてお話ししましょう。
「自分の部屋(あるいは、勉強机)は整理整頓されてますか?」
こんな質問をすると、いろんな反応が返ってきます。「きれいです!」「まぁまぁかな?」「いや~…」などなど。まぁどこまで事実を話しているかはさておき、こんな質問を続けます。

「お家の方に、学校のプリントを持ってきてと頼まれたときに、すぐにお目当てのものを持ってくることができるのは『整理整頓されている部屋』の子かな?『そうではない部屋』の子かな?」
こう聞くと、言うまでもなく「整理整頓されている部屋の子!」という答えが返ってきます。
何の話なんだろう…?という声も聞こえてきそうですが、ちょっと考えてみてください。
そうすると国語でも同じ作業をすることが分かります。

国語の入試問題には、「文章」と「設問」があります。そして国語の問題を解く作業というのは、結局「設問で指示されたことを、文章から探す」という作業が中心になります。 これは先ほどの「お家の方に言われたことを、『お部屋』から探してくる」という作業とそう大差はありません。とするなら、国語においてなかなか答えの根拠(探し物)が見つからない原因は、探し物が見つからない原因と同じだと考えることができます。

【答えの根拠(探し物)が見つからない原因】
  • ① 探す場所が整理されていないから (=部屋の整理整頓ができていない)
  • ② 何を探すか分かっていないから (=探すものを理解していない)

この2点を解消すれば、探し物はきちんと見つかるようになるといえます。

では、上記をふまえて「国語で何をすべきか」ということを考えてみましょう。
先ほどの「探し物が見つからない原因」を国語に置き換えると、

  • ① 探す場所が整理されていないから ⇒ 「文章」の整理
  • ② 何を探すか分かっていないから ⇒ 「設問」の理解
といえます。結局、「文章の整理」と「設問の理解」というこの二つの力を鍛えることが国語で行うべきことだといえるでしょう。

文章は/『分ける』と『分かる』/深くなる

さて、先ほど「文章の整理」と「設問の理解」が重要だと申し上げました。
ここからは「文章の整理」についてお話しします。

「文章の整理」のために必要なこと、それは「分ける」作業です。
例えば、本棚に本を入れていくとき、ランダムに入れるのではなくあるまとまりで収納していくはずです。それと同じように、文章も同じような内容同士をまとめていくことが整理することにつながります。そしてそのための作業が「分ける」という作業です。

先程の本棚の話を思い出してください。本棚全体を「文章全体」そして、その中に入っている本を「段落」と置き換えましょう。同じ段には同じ種類の本を入れるのと同じように、同じ内容の段落をまとめていく。そうすることで、文章全体がすっきりと見えるわけです。想像してみてください。本棚に整然と並んだ本の背表紙…美しくありませんか?「すっきりしたなぁ~」と思えませんか?
そして、この文章を分けることを通じて、「文章構造」への視点が養われていきます。

「一つ目のまとまりと二つ目のまとまりは「対比関係(=逆・対照関係)」にある。あっ、大事そうなのは一つ目のまとまりだな…あーこの内容をふまえて三つ目の話をしているのか!」

なーんて、理想的な姿を書いてしまいましたが、こんな形で文章を読めるようになれば、しめたもの。お子様の読みは、表面的な読みからより深い読みへガラリと変わっていくのです。お子様がこんな風に文章を読み解いていたら…かっこいいですよね。

問いチェック/『中身』と『形』/確実に

ここからは「設問の理解」に話を進めていきます。
「設問の理解」とは、①「出題者の意図や解答の方向性をつかむこと」、②「解答の形式をつかむこと」の2点をさします。当然ですが、この2点がきちんとそろっていなければ、不十分な解答とみなされます。
この作業をしっかりと行っているかどうかで、国語のテストの結果はがらりと変わります。たまに「読書経験豊富」だけど「結果がなかなかでない」というお子様がいらっしゃいますが、そういうタイプのお子様は「自分流の読み方で、自分流の解釈をする」という状態だからこそそうなってしまっていることが考えられます。
この「設問の理解」はセンスでも感覚でもありません。地道な訓練できちんと克服していく部分となります。

問題で/『重ねて』聞いて/深めつつ/自分の思考/さらに高まる

自分の授業では、よく「自分で作った問題」を解いていただきます。昔取った杵柄というか、前職では問題作成に携わることが多かったためにそうしているのですが、この「自作の問題」、個別指導だからこそより効果を発揮します。
例えば、算数の問題で、「ダイヤグラムを使った速さの問題」に弱いお子様がいたとしましょう。この子にこの問題を理解してもらうための最も一般的な方法は、①「原理原則の理解」と②「類題でのトレーニング」だと思います。
算数ならば、こういう学習の仕方は分かりやすいですし、取り組みやすいですね。単元も明らかになっていますし、教材にも事欠かない。うらやましい限りです。
ですが、国語ではどうでしょう。単元という単元がない、設問のタイプもバラバラ…ピックアップしてやらせたいと思っても記述は採点が難しかったり、なかなか類題演習自体がハードルの高いことではないかと思います。だからこそ、やみくもに演習を続けるしか手がなかったりするわけです。
私は教材作成を行う際に、次の点に気を付けています。
1つ目は、「テーマの共通性」。
例えば「環境問題」。「自分の国の発展ばかりに注力して、地球全体がダメージを受けるようになった。だからこそ自分の国だけでなく周りの自然のことも考えていくべきだ」という内容の説明的文章と、「自分勝手なふるまいをして、友達との間でトラブルがおきてしまった。それを解消するために友達を思いやる気持ちを持つことの大事さを考えるようになった」という内容の物語文があったときに、結局これらの話は「利己(自分のことばかり考える)」から「利他(周囲のことを考える)」という流れをたどっているといえます。
このように説明的文章であっても文学的文章であっても、突き詰めていくと「同じテーマ・考え方」を述べているというケースは意外と多くあります。この「同じだ!」と気づける力を持つためには、文章を深く理解する必要があります。この「文章への深い視点」を養うために「見た目は違うけど、中身は同じ」という文章をいくつも繰り返していくことで「文章の奥にあるもの」をつかめるようにしていくのです。
2つ目は、「設問の共通性」。
たとえば、初回授業で総合タイプの問題を取り組んでいただいた際に、お子様が「複数の心情を書く記述」の問題に弱いということが明らかになったとしましょう。次の授業の教材は当然「複数の心情を書く記述」中心にしたいですよね。しかし、市販の教材は当然お子様にだけ合わせて作られているわけではありません。ただ、やはりお子様にマッチしたオーダーメイド教材を使っていった方が効果は高いわけです。だからこそ、何度も同じような考え方で取り組める問題を作成して授業を行うようにしています。
当然時期によっては、総合タイプの問題で「基礎的な力」をつけていく必要もあります。その際には自作の問題を使わないケースもありますが、特に小6の直前期、受験校も定まり、その学校に合わせた学習を行いたいという方にはうってつけかもしれません。

指導実例
●指導実例

ある日、A君とB君は、学校の校庭へ遊びに行きました。
A君は、周りから「鉄棒の神様」といわれるほど鉄棒が上手な少年です。A君自身も、「三度の飯より鉄棒!」を公言するほどの鉄棒好きでした。そんなA君がわき目も降らず鉄棒へ向かって走っていくのを、運動音痴のB君はぼうぜんとするばかりでした。
A君は鉄棒に手をかけるやいなや、ぐるぐるとまるで体操選手のように回り始めました。A君の得意技の一つの「大車輪」です。小学生ではなかなか難しいであろう大技を軽々と披露するA君に、B君はただただぼうぜんとするだけでした。A君は鉄棒の上から、B君の間の抜けた顔を見てはにやにやしていました。
しばらくぐるぐると回ったA君もちょっと疲れたのかそろそろ着地しようと鉄棒から手を放しました。
そのときです。
タイミングがずれたのか、手を滑らせたのか、バランスを崩し、大きな音を立てて転んでしまいました。転んだA君は砂まみれになり、ズボンのお尻も破けていました。A君が、得意だった「大車輪」でこれほどまで失敗するのは初めてでした。痛いのか、それとも別の理由なのか、A君は目に涙を浮かべていました。
鉄棒の下でうずくまっているA君に近づいていったB君は、彼の肩に手を置きながら、
「まぁ、そんな日もあるよ。そんなに落ち込むなよ。」
と言いました。すると、A君はB君の手を払いのけ、走り去っていきました。

問 「A君はB君の手を払いのけ」とありますが、この時のA君の気持ちをていねいに説明しなさい。

この問題では「A君の気持ちをていねいに説明しなさい」とあることから、心情記述の問題だと分かります。(設問の理解①「出題意図・答えの方向性の理解」)そして、それさえわかれば、どういう形で攻めればよいかが分かります。(設問の理解②「解答の形の理解」)

【心情記述の型】 【背景】+【きっかけ】+【とらえ方/意味】+【心情】
心情を問われた際にはこの「心情記述の型」で解答を作っていくことにしましょう。
そして、この型があるからこそ、この後の解答に至るための作業が明確になります。
  • 1.傍線部から心情を考える。(身体表現を心情にする)
  • 2.きっかけをつかむ(チカクのきっかけ)
  • 3.背景をつかむ(三種類の背景)
  • 4.きっかけのとらえ方をつかむ(意味づけの作業)
この4つの手順を踏んでいきましょう。

1.傍線部から心情を考える。(身体表現を心情にする)

傍線部の反応(言動・様子)に線が引かれ心情を問われるというのが、入試国語の中では一般的な出題の形式となります。
今回の「A君はB君の手を払いのけ」もその一つ。「手を払いのけ」が反応と言えます。そして、この反応を気持ちに置き換えていくのがこの段階。気持ちの言葉にすぐできればそれでいいですが、まずは「誰(何)に対するプラス/マイナスの気持ち」という方向性は決めていきたいところです。
「手を払いのけ」…B君に対するマイナスの気持ち

2.きっかけをつかむ(チカクのきっかけ)

きっかけは「近くにある自分や他人の言動・様子」や「感覚的に知りえた情報など」を探します。今回であれば「鉄棒の下でうずくまっているA君に近づいていったB君は、彼の肩に手を置きながら、『まぁ、そんな日もあるよ。そんなに落ち込むなよ。』と言いました。」がそれにあたります。B君の言ったこと、ですね。

3.背景をつかむ(三種類の背景)

背景とは「きっかけの意味を考えるために必要な情報」です。背景は三つのポイントで探していきます。
①「きっかけのきっかけ」(今回であれば「B君の発言が生まれた原因」です。当然A君の失敗ですね)
②「きっかけの修飾語」(B君の発言がきっかけなので、B君に対しての説明を加えます。「運動音痴」です。)
③「きっかけの対比」(B君の発言はA君に対しての慰めですが、その反対の状況が今まではありました。「A君は鉄棒を得意としている」そして「B君は運動音痴である」といういわゆる「上下関係」と考えられます)
このように整理していくと「得意だったはずの鉄棒を失敗してしまい、さらにそのことを運動音痴のB君に慰められてしまった」という【背景】+【きっかけ】が分かりますね。

4.きっかけのとらえ方をつかむ(意味づけの作業)

これは、「背景+きっかけ」と「反応」の両方の情報をふまえて考えていくことになります。
「背景+きっかけ」

ここから考えれば、「B君の慰め」をマイナスにとらえているA君というのは分かりますね。しかも、B君はA君からすれば、運動ができない存在(下の存在)として見下していると考えられます。(本文中にも「A君は鉄棒の上から、B君の間の抜けた顔を見てはにやにやしていました。」とあります。)したがって「見下していた相手からの同情」というきっかけ、そしてそれに対して「手を払いのける(マイナスの反応)」をしたことをふまえて考えれば、A君は、「自分のプライドを傷つけられるもの」としてとらえたことも理解できるでしょう。

このように考えていきながら解答を作っていくと、
得意だった鉄棒で失敗してしまい、見下していた運動音痴のB君から同情されてしまったことで、自分のプライドが傷つけられてしまったように感じ、怒りをあらわにしている。 という解答が作れるでしょう。

中学入試においては、丁寧に正確に記述するということが重要です。そのためには、情報をざっくりと説明するのではなくより細かく説明をしていく練習が効果的です。
まずは、型による思考をしていきながら、型を自在に使いこなせるようになるのが最初の一歩。型がないところに「型破りな思考」はありえません。学年が上がれば、その型を自在に使いこなしていく中で「型破りな(型を超えた)思考」が生まれていきます。それこそが、最難関校でも求められるお子様の「思考力」につながるものだといえるでしょう。

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