教育方針 と 入試 について ― 校長先生 山崎元男先生

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教育方針 と 入試 について ― 校長先生 山崎元男先生

(インタビュー ; 分析・執筆 ; 龍崎講師-元日能研講師)

御三家のこれまでの閉鎖的なイメージを払拭するためもあってか、武蔵中のみ2005年度より、塾向けに丁寧な対応をしてくれるようになりました。そこで、かなり突っ込んで色々聞いてみました。
どうぞご参考にしてください。

1.武蔵中学の「教育方針」と「入試の考え方」についてお聞かせ下さい。

武蔵では、理念として「自調自考」を掲げています。武蔵は服装・髪型・持ち物などについて規制する校則はありません。武蔵は「自由」な学校であるとよく言われると同時に、この「自由」がゆえに逆に心配なさる親御さんも見えます。しかし武蔵の目指す「自由」はそのような表面的・形式的なことではなく、「自らで考え、どうするべきかを自分で判断し、その結果に自らが責任を負う。」ということです。

もちろん、生徒の判断が不適切な場合には教員と保護者が協力して正しい判断に導く必要がありますが、本人に考えさせることを基本 としています。自由を尊重することと身勝手を許すこととの違いは判断が難しいのですが、ただ生徒にすべてを任せたり、逆に規則ずくめで縛ったりすることはどちらもよい教育とは思えません。本当の意味での自由と自立を理解した人物を育てる教育を武蔵は目指しています。

2.大学への進学実績は数年低迷していますが、どのようにお考えですか?

国公立大学への合格数は、全国5位。私立大学への合格数は、全国4位と、なかなかの実績と自負しております。御三家と言われておりますが…(苦笑)。しかし、東大合格数などで低迷しているのも事実です。高校2、3年の授業が大学入試に合っていなかったのが原因と考えられるため、2、3年前から私校長を含め全教師が問題意識を持って大学受験にも対応できる授業をするべく、ただいま取り組んでいるところです。

ただし、武蔵は単に大学受験だけのための教育は目指して折らず、国外研修をはじめ、第二外国語の強化、特別授業などで、「人間力の育成」に力を入れています。

「武蔵は、生徒の面倒見が悪いのではないか?その理念である「自調自考」ができる一部の生徒だけしか面倒を見ないのか?」と言われることがありますが、入学した当初から「自調自考」ができる子などいる訳はなく、そのような「自調自考」ができる人間になって欲しいと願い、手間はかかりますが、6年かけて身につけさせようと継続的に教え続けていくよう努力しています。

3.「入試問題」、「採点基準」、「見たいところ」を教えてください。

まず「入試問題」についてですが、私自身は「思考力を問う良い問題」と考えていますが、評判が悪いのも事実ですので、傾向は変えないが、検討はしたいと考えています。

次に、「採点基準」ですが、具体的にはお教えできませんが、「配点は事前に決めており、操作することはありません。」

記述中心の問いとなっており「知識的到達度を見たいのではなく、将来性(理解力・思考力)を、見るようにしています。」

4.インタビューを終えて。

学校説明会に出席された親御さんの話ですが、生の授業を見学できないのかと聞いたところ、断られたらしく、その理由として、「教師は、日々、真剣勝負で授業をしております。そのような授業に興味本位で見学されても困る。」と言われたそうです。この親御さんは、「ちょっと高飛車なのでは」と、少々批判的な意見をお持ちのようでした。

しかし、我々プロの講師としては少々違う見方をしています。これは「プロ意識の現われ」のような気がします。「我々は真剣勝負で授業をしていますので信じて任せてくださよ!」ということではないでしょうか。

何はともあれ、御三家で、塾向けに門戸を開いてくれたのは武蔵だけなのも事実です。しかも、校長自ら対応してくれるとは思いもよらず、非常に感謝しております。どうもありがとうございました。